フォルクスワーゲンのCMで使用されている曲について、たくさんのリサーチ依頼をいただきました。ご存知の方も多いようですが原曲は66年のボビー・ヘブの名曲「サニー」です。この記事を書くにあたって、曲を思い浮かべても、マーヴィン・ゲイ、クリス・モンテス、果ては堺正章まで、イージー・リスニング系も加えたら膨大な数の名演名唱が浮かんできますが、何と「サニー」のカバーは軽く500曲を超えるって、知ってますか？　ジャズスタンダードと言っても過言では無いですね。過剰に転調を繰り返す曲の構成は、実に器楽的なので、ソウルジャズ系のミュージシャンにも良くとり上げられます。(そう言えばコーネル・デュプリー率いる“ソウルサヴァイヴァーズ”も毎年、来日公演でこの曲を演奏していますね！)私もこの曲好きですよ。

　さて、問題はワーゲンのCMで誰が歌ってるかって事でしたね。なかなか良いアレンジでしたが、こちらはCM用のオリジナルで、残念ながら、CD化の予定はありませんが、歌っているのはKEVIN A BIDDLEというシンガーで、編曲は長沢ヒロさん、ギターは角田順さん、シンセサイザーは山中剛です。このKEVIN A BIDDLEなる人物、あまり有名ではありませんが、ドラムもこなす才人で、地元のフィラデルフィアではサンタナやステッペン・ウルフの前座も務めたそうです。今後の活躍に期待したいですね。

　さて、「サニー」をCDでお探しの方には、上記したクリス・モンテスのヴァージョンをオススメしましょう！　A&Mのレーベルイメージを象徴するような激甘なアレンジと、中性的な声がマッチした名演名唱です。これが一番とっつきやすいんじゃないでしょうかね？　名曲オンリーの『タイム・アフター・タイム』に収められているので、ひとつどうぞ！