2005年も音楽・映像界に大きな功績を残した、愛すべきアーティストの方々が旅立っていきました。至福の時間を過ごさせて貰ったアーティストへの感謝の意味を込めて、CDJournal.com的考察をもとに思い返してみました。
■J-POP
メジャー/マイナーにかかわらず、時代を開拓し続けてきた“先駆者”の訃報が印象的でした。

2003年には完全ドキュメント映画『タカダワタル的』も公開され、新しい支持層を確立していたフォーク界の大御所
“高田渡”が4月16日に死去。行きながらにして“伝説”と呼ばれた彼、倒れた場所が公演先だったというのも実に“らしい”と感じた方も多いのでは。
アイドルとして華々しいデビューを飾った後、「Temptation(誘惑)」「1986年のマリリン」など大ヒット曲を連発。ミュージカルやドラマなど、常に新たな目標へと挑戦を続けてきた歌手
“本田美奈子.”が死去。各ワイドショーでも報じられた、彼女のソプラノ・ヴォーカルが響き渡る「アメイジング・グレイス」は今も耳に。
日本はもとより、世界中のロックンロール・フリークスから愛される
“ギターウルフ”のベーシスト、関口秀明(ベースウルフ)が38歳という若さで死去。オルタナ/ガレージ/ハードコア・パンク・・・・・・幾多ものシーンやジャンルを飛び越えて活躍してきた、彼らの歴史の重みを改めて痛感しました。新メンバー加入!という朗報は既に届いているはず。

関西のオルタナティヴ・シーンにて活躍してきたドラマー、“China”こと西浦真奈。在籍していた
DMBQのUSツアー中に事故に巻き込まれ死去。まさしく“遊園地”なDROOPのステージングをはじめ、JESUS FEVER、MUSIC START AGAINST YOUNG ASSAULT、
少年ナイフ、
羅針盤・・・・・・。そっと自分の中に留めておきたいディスコグラフィの数々。今も光り輝いております。
■洋楽
どこを見渡しても、ある意味時代を遡ったかのようなリリースが相次いだ洋楽シーン。海外から届けられた訃報にも、ある種ノスタルジックな響きが。

1992年リリースの傑作『グレイヴ・ダンサーズ・ユニオン』でもお馴染み
“ソウル・アサイラム”のオリジナル・メンバー、ベーシストのカール・ミューラーが死去。食道ガンを患っていた彼のためにベネフィット・ライヴが開催されるなど、USインディ・シーンならではの“NETWORK OF FRIENDS”を痛感したニュースでした。
メタリカの元ベーシスト、ジェイソン・ニューステッドが新加入し復活を果たしたメタル・バンド
“ヴォイヴォド”のギタリスト、デニス“Piggy”ダムールが死去。2003年リリースのフル・アルバム『ヴォイヴォド』に続く新作に向け、活動を開始した矢先・・・・・・という話がなんとも。

超名曲「Rumble」をはじめ、スカした存在感がひた走る音源の数々。様々なシーンから大いなるリスペクトを受けたギタリスト
“リンク・レイ”が死去。
クエンティン・タランティーノ監督の出世作『パルプ・フィクション』サントラではじめて耳にした方も多いことでしょう。「パワーコードの生みの親」としてだけではなく、常人には到底辿りつけないエキセントリックかつ味のあるギターワークに痺れたもの。
■映画

「日本のおばあちゃん」こと
“原ひさ子”、「日生のおばちゃん」こと
“中北千枝子”、日本でも大ブームを巻き起こしたカラテ映画『ベスト・キッド』出演“ミヤギさん”でお馴染み
ノリユキ・パット・モリタ、韓国映画『ブラザーフッド』にて印象的なヒロインを演じていた
イ・ウンジュ・・・・・・そこにいるのが当たり前のごとく、作品を支えていた名脇役。
岡本喜八(『独立愚連隊』『日本のいちばん長い日』)、
石井輝男(『網走番外地』シリーズ)、
ロバート・ワイズ(『ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』)・・・・・・そんな脇役にもスポットを当てつつ、強烈なオリジナリティを発揮した作品作りに執念を燃やした名監督。どちらが欠けても成り立たない、映画界の功労者が数多く亡くなった1年でもありました。

何かと慌しい間に過ぎ去ってしまう年末年始。除夜の鐘をBGMに、心静かな一時を過ごすのも悪くないのでは。
『Stairway to Heaven』を片手にR.I.P。