【CDJスタッフ選】アコースティック・ギターが響き渡る名盤!

2007/06/15掲載
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路上で熱唱するストリート・ミュージシャンも、白いギターを大事に磨き続けるお父さんも、その魅力に取り付かれたが最後、生涯離れられない“アコースティック・ギター”。どこでも奏でることのできる気軽さと愛しさとを兼ね備えたアコギ名盤をCDJスタッフがセレクト!
 梅雨空を見つめては、アンニュイかつノスタルジックなため息を漏らす午後。雨に濡れながら〜と囁く言葉もどこか空しい……。梅雨入り直前 or 真っ只中の6月、ついついボンヤリとお部屋に閉じこもりがちな皆様へオススメしたいのが、CDジャーナル・ムック『アコースティック・ギター・ミュージック 名盤350』。ロック〜ポップスはもちろん、フォーク〜ブルース〜ジャズ〜カントリーまで、広範なジャンルからアコースティック・ギターのサウンドが特に印象的な作品を徹底的にご紹介。押入れに眠っていた白いギターを爪弾きながら、解説を追うのもまた楽し! 名盤の素晴らしさを改めて味わうことのできる一冊です。

 名盤をBGMに、ギターを引っ張り出したはいいものの、あれれれ……。さっきまでやる気に燃えていた気持ちも萎えてしまう、腕の衰え。今一度!と奮起するならば『acoda-acoustic guitar selection』も揃えておきましょう。DEPAPEPE押尾コータローゴンチチなど、ゆったりとしたライフ・スタイルのために選ばれた「聴けば気持ちいい」アコースティック・ギターの名音源を全15曲収録。加えて、小沼ようすけによるアコギ・ワンポイント・レッスンが収められたDVDも封入。観て聴いて、ひとりレッスンに励むのも梅雨の有意義な過ごし方なのでは。

●『acoda-acoustic guitar selection』特設サイト:http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/acoda/index.html


〜CDJスタッフ・セレクト“アコギ名盤”〜



ライ・クーダー/『パリ、テキサス』オリジナル・サウンドトラック

ヴィム・ヴェンダース監督作品『パリ、テキサス』で流れてくる、スライド・ギターの美しい音色。テキサスの美しい風景と暗闇に消えていく冷たい金属音の温度差が、互いのプラスマイナスを埋め合い一つの時間を紡ぎあげていく。ボトルネック奏法から生まれる音の震えはまるで、愛を探し彷徨う寡黙な主人公・トラヴィスの心象を代弁しているかのよう。一切の無駄を排除したアコースティックだからこそ、聴く者は“映画的な時間”に耳を傾け、切なく悲しいメロディを自らの心に響かせようとする。本作を観てない方でも、感情に何かしらの変化が起こるであろう必聴の一枚。(酒)



ロッド・スチュワート/アンプラグド

93年発表(録音は92年)のロッド・スチュワートのMTVアンプラグド・ライヴ盤。目玉となったのはジェフ・ベック・グループ〜フェイセズ時代から付き合いのあるギタリスト、ロン・ウッドの参加。ロッドのヴォーカルも良いのですが、ロニーのギターにも耳を傾けてほしいアルバムです。かつてのヒット曲を中心に、「ステイ・ウィズ・ミー」など70年代のフェイセズのナンバーもいくつかとりあげ、自身のキャリアを反映した味わい深いギター・プレイを披露。ロッドのような「オレがオレが」のヴォーカリストの横にいると、事実以上にロニーの人柄の良さが伝わってくるような気がして素敵です。(吉)



友川かずき/無残の美

1986年にリリースされたアルバム。友川かずきはいわゆるフォーク・シンガーのイメージの強いアーティストであり、自身はヴォーカル/アコースティック・ギターを用いて楽曲を披露。この音源は実弟や親友だったたこ八郎氏にささげたという楽曲も収録され、荒々しく生々しい“感触”をくっきりと聴くものの心に残していく。特に古家恭子によるピアノの旋律、脈動を連想させる頭脳警察にトシこと石塚俊明が“つむぐ”野性的なビートが繊細にアコースティック・ギターの調べと詩的な友川かずきの世界をよりいっそうきわだたせている。間欠泉がごとく噴出するセンチメンタリズムと哀悼の想いが交錯する狂気の名盤。(服)



アズテック・カメラ/ハイ・ランド、ハード・レイン

アコースティック・ギターと聞いたら、やっぱりネオアコ。太陽の光が降り注ぐキラキラ感と、どこか寒々とした曇り空を思わせる空気感が同居。パンクの時代が過ぎ去り、シンセやニューウェイヴが広がる中で、アコギをかき鳴らし、“ジョー・ストラマーのポスターがはがれても何も貼らずに冬へと飛び出す”ささやかなる反抗心。12弦ギターのきらびやかな響きと、力強いカッティングで綴られる楽曲たちは、10代をとうに過ぎた今の僕にも、まだまだ勇ましく聴こえるから不思議。枯れた感じの“アンプラグド”なアコースティック・サウンドよりも、キラキラしたアコースティック・サウンドが好きな人にオススメするネオアコの金字塔。同じ空気感を感じるカジヒデキの「IVY IVORY IVY」もオススメ。(千)



アメイジング・ブロンデル/大英帝国

アコースティック・ギターというと、トラッド・フォークが思い浮かぶ。その筋の音はそれほど詳しくはないが、このアルバムはよく聴いた。英国の3人組が1972年にリリースした作品で、『England』というそのものズバリの原題、素晴らしいジャケットでも人気の高いアルバムだ。中世の宮廷音楽に根差した、たおやかで気品に溢れる作風であり、北欧やアイルランドのトラッドとはまったく異なる魅力がある。アコギよりもストリングスやフルート、リュートなどの古楽器類が印象的なのだが、そのベースになっているのはアコギならではのアルペジオだと思うので、挙げさせてもらった次第。爽やかに晴れた日、午後の紅茶のお供には最高の1枚だ。(敬)



ボブログIII世/スクールバス

厳密に言えば“アコースティック”ではない気もしますが、ピックアップを付けてるだけだから問題無し!と自分を納得させてみました。シカゴ生まれのアリゾナ育ち、自作ヘルメットを小粋に被った不審すぎるナイスガイ、来日時には『笑っていいとも!』出演を果たしてしまった嵐を呼ぶトラッシュ・アーティストの1stアルバム。ガッチャガチャなストロークから放たれるドスの効いた暴走ブルーズ、残念ながらその表情は全く伺えませんが(ヘルメットはフルフェイス)、きっと恍惚とした笑みを浮かべているに違いありません。ドゥー・ラグの元メンバーなんて経歴も忘却の彼方へすっ飛んでいく傑作!(星)



ジュエル/心のかけら

人間の本質に迫る鋭い歌詞をギターの弾き語りスタイルで歌い上げる、米国アラスカ育ちの女性シンガー・ソングライターの1st(1995年発表)。「フー・ウィル・セイヴ・ユア・ソウル」「ユー・ワー・メント・フォー・ミー」「フーリッシュ・ゲームス」のヒットで1,000万枚を超えるセールスを記録した代表作であるとともに、簡素な力強さが魅力の、彼女の原点を捉えた名作。ニール・ヤングとの活動で知られるベン・キースの的確なプロデュース・ワークも冴え、包容力の大きさを感じさせるサウンドを展開。繊細なヴァーカルはアナタの心に安らぎをもたらしてくれるはずです。(徳)
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