1983年にニューヨークのハーレムで誕生、全世界で2,500公演を果たし、アフリカン・アメリカンのミュージカルとして史上最高のロングランをほこる「Mama I Want to Sing(ママ・アイ・ウォント・トゥー・シング)」。日本でも1988年の初来日公演が大きな話題を呼び、ゴスペル・ブームのきっかけとなった本作。生誕30周年を迎えたことを記念し、東京「東急シアターオーブ」(12月4日〜12月8日)、大阪「森ノ宮ピロティホール」(12月10日〜12月13日)、東京「アミューズ・ミュージカルシアター」(12月16日〜2014年1月5日)で上演されます。
「Mama I Want to Sing」ママ・アイ・ウォント・トゥー・シング
Text:森近知子
1988年、日本でミュージカル「Mama I Want to Sing」が上演されました。本場のゴスペルクワイヤの迫力は当時の日本に大きな影響を与え、当初7週の予定だった公演が11週に急遽延長となり、日本にゴスペルブームが巻き起こりました。あれから25年。再びあの感動のミュージカル「Mama I Want to Sing」が日本を揺るがします。
このミュージカルは1960〜70年代にかけて世界的に活躍した歌手ドリス・トロイの物語。黒人差別がまだ色濃く残る1960年代、黒人街ハーレムの人々は色々な想いを教会にて歌という手段を使って神に捧げました。人種という壁が広い未来を描けなかったこの頃、歌手になりたいというドリスの夢は無謀でした。夢を叶えた後のブラックミュージックに大きな影響を与えたドリスの物語をミュージカルとして描いたのはドリスの実の妹であるヴァイ・ヒギンセン。アメリカでは1983年に初演されてから30年間ロングラン公演されているこの作品が「The Next Generation」とした新シリーズとして登場。今作はヴァイの娘であり、ドリスの姪でもあるノエル・ヒギンセンがドリスを演じます。
「今回ドリスを演じるのは娘のノエルよ。演じる側が世代交代しているようにお客さん側も前回観て頂いた方はもちろん、そしてその子供や孫たちにも楽しんでもらいたいわ」ヴァイは初演から新シリーズの今作も物語の流れを作るDJとして出演。物語のよいスパイスとなっています。
ルーツも気になりますが、このミュージカルの見どころは何と言っても圧巻のゴスペル・クワイヤ。彼らが歌うとその迫力から会場は一瞬にしてブラック・チャーチと化してしまいます。このゴスペル・クワイヤはヴァイが設立した「Gospel For Teens(ゴスペル・ フォー・ティーンズ)」という無償の音楽教育プログラムの優秀者たちが演じているのです。
「ゴスペルは私たちの魂なの。私たちのDNAが脈々と伝わっているのよ」ヴァイは、この「Gospel For Teens」を通して“想いを歌に込めることの大切さ”“歌うことの素晴らしさ”“歌の持つパワー”をティーンに伝えています。
「ママ、私歌いたい!」歌が大好きだった少女の熱い想い、歌・音楽の持つ大きな力は年月を経ても何も変わらない。脈々と受け継がれる歌うことの楽しさ、素晴らしさ、パワーをアメリカの本場ハーレムより彼らは日本へ運んできます。踊って、歌って、手を叩いて。本場のゴスペル・クワイヤによって歌というものの素晴らしさ、感動を全身で感じて下さい!!