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“言葉の力”とは、映画『ドストエフスキーと愛に生きる』公開直前イベントが開催

2014/02/21 15:40掲載
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“言葉の力”とは、映画『ドストエフスキーと愛に生きる』公開直前イベントが開催
 2月22日(土)より、東京・渋谷「アップリンク」、六本木「シネマート」で公開される映画『ドストエフスキーと愛に生きる』。その公開直前プレ・イベントが下北沢にあるブックストア「B&B」で開催。ゲストには、ドキュメンタリー映画監督・作家の森 達也をはじめ、字幕翻訳者の太田直子、劇団「地点」の演出家・三浦 基を迎え、本作の魅力や制作における“翻訳”、そして“言葉”が持つ意味について語られました。

 『ドストエフスキーと愛に生きる』は、ウクライナ・キエフで生まれたスヴェトラーナ・ガイヤーが、生涯をドストエフスキー文学の新訳にかけ、翻訳に情熱を注ぐ姿を追うのと共に、スターリン、ヒトラーという二人の支配者に翻弄されたヨーロッパ近代を浮き彫りにしたドキュメンタリー映画。

 今回のイベントではまず、予告を流し作品を紹介。横浜中華街「KAAT」にて3月14日(金)より公演となる〈悪霊〉の稽古の真っ只中という三浦は、主演のスヴェトラーナの翻訳作業に注目。「原作を一度自分の体に取りこんで消化して、俳優と共に表現を完成させていく僕の仕事と似ていて親近感を持ちました。演出という作業は、翻訳に似ていますね」(スヴェトラーナは、翻訳をする際に、一度翻訳した文章を第三者にタイピングさせ、その後別の人間に、仕上がった文章を朗読させて練り上げていくという方法で翻訳を行なっている)。

 太田は、「外国語を母国語に訳すのが普通なのに、主人公のスヴェトラーナさんはロシア語をドイツ語に訳しており、逆である。これは翻訳家からすると、とてもすごいことで、普通はなかなか出来ないこと。また彼女の丁寧な暮らしぶりが翻訳にも反映している」と絶賛。

 一方、森は、「カメラワークが斬新。最近のドキュメンタリーは手振れ感や、カメラを持ったまま振り向いたりという演出が多くみられるが、本作は映像が動かず、見事なまでに対象をフィックスして捉えている。そのため、観客は彼女に憑依されることがない。ドキュメンタリー作品は普通なら撮り進むうちに感情移入しがちだが、それをあえてしない禁欲的なカメラワークはみたことない。凄いです」と、ドキュメンタリー映画監督ならではの見地を語りました。

 また、イベント終盤では本作のキーワードである“言葉の力”についても触れ、現在の政治家を例に挙げ、「政治家は言葉が大切な生き物なのに、軽くなっている。言葉をあまり大切にしなくなってきている。日本人は言葉を文章として残していく、アーカイヴすることがもともと苦手だったが、戦後ますます深刻になってきている。文章に対しての緊張感がなく、しゃべり言葉によって意識が形成されているから。我々はもっと言葉を考えなければならない」、「10年前の海外のドキュメンタリーや報道番組は全て字幕テロップだったのに、今はほぼ日本語のヴォイスオーバーなんですよ。理由は明らかなんですよ。見るのが楽だから。だけど本人の“声”って大事なんですよね。それぞれのパーソナリティーがあってこその声なのに、日本のメディアは楽な方に行ってしまっている。“声”という大事な問題を軽視してしまっている」(森)と、現代の日本のメディアの問題点も指摘。

 これに続いて、「政治家は言葉が大切というならば、日本語自体の構造がすごく難しくなってきている。毎日ドストエフスキーの『悪霊』と向き合い稽古しながら思うのは、明らかに根底に流れている文脈は決定的に違う。ただ、敢えて翻訳し挑戦することで、演劇にも果たせる役割がある」(三浦)、また最後に、「言葉は人を傷つけることも出来るし、人を救うことも出来る。多くの人が一斉に同じことを言う社会は気持ち悪い。周りと同じ考えで無事でいられるというのではなく、もっと自分自身で言葉を選び考え、決して他人の言葉が自分の言葉と同じと思ってはいけない。だからこそ言葉を意識的に考え生きていければならない」(太田)との意見が寄せられました。
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