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ヤコブ・ブロ&ジョー・ロヴァーノ、ポール・モチアンに捧げるトリビュート・アルバムをECMから発表

2022/10/07 13:16掲載
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 ビル・エヴァンスキース・ジャレットのトリオで活躍し、多くの名盤に携わったドラマー、ポール・モチアンが2011年に80歳で亡くなってから11年。デンマーク人ギタリストのヤコブ・ブロと米国人サックス奏者のジョー・ロヴァーノが、3人のベーシスト(ラリー・グレナディアトーマス・モーガンアンダース・クリステンセン)、2人のドラマー(ジョーイ・バロンホルヘ・ロッシ)とともに制作したトリビュート・アルバム『ワンス・アラウンド・ザ・ルーム トリビュート・トゥ・ポール・モチアン』を、11月4日(金)にECMから発表します。アルバム発売に先駆けて、収録曲「Song To An Old Friend」が先行配信中です。

 収録曲はブロとロヴァーノによるオリジナルを2曲ずつと、モチアンが作曲した「ドラム・ミュージック」の全5曲。2021年11月にデンマーク・コペンハーゲンのThe Village Recordingスタジオでレコーディングされました。

 モチアンとビル・フリゼール(g)とのトリオで30年間(1981〜2011)活動したロヴァーノは、「ポールはほとんど毎日、ニューヨークのセントラルパークの貯水池の周りをジョギングしていて、その儀式にちなんだ〈Once Around the Park〉という曲があったんです。コペンハーゲンのレコーディングでは、スタジオの中で全員がある種の円形の状況に集まっていたので、曲を演奏したりソロを取ったりしながら、部屋の中を回っているような感じだったのでこのタイトルにしました。バンドスタンドやスタジオで演奏するたびに思うのは、音楽は深い呼吸と耳を澄ませるものでなければならないということです。楽器の名人芸を披露するのではなく、即興の技術、その場にいること、音楽と一緒にいることが大切なのです」とこのアルバムについて語っています。

 モチアンの2005年リリースのアルバム『Garden of Eden』でECMデビューしたブロは、「私がポールの音楽でとても好きなのは、彼の演奏と作曲の両方における美的感覚です」「自分の曲でもスタンダード曲でも、それがポール・モチアンであることはあきらかでした。彼が人々をまとめ、バンドを組織する方法もまた刺激的でした。個人的には、ポールの作曲するハーモニーの世界は、私が自分の曲作りに何か個性を求めるうえで欠かせないものでした。徐々に、私の曲はポールの曲に直接関係するものから、彼の影響やアイディアをより北欧的なトーンにつなげられるようになりました。私は、詩篇であれ民謡であれ、子供の頃の音楽と関わり始め、様々な影響を受けた世界との間に橋をかけ始めました。ポールのインスピレーションが、私の声を育ててくれたのです」とコメントしています。

 ブロとロヴァーノが初めて一緒に仕事をしたのは2009年、コペンハーゲン・ジャズハウスで3夜にわたって行なわれた、アンダース・クリステンセン、ドラマーのヤコブ・ホイヤーとのトリオにサックス奏者が加わった時でした。「彼の音、リズム感、表現力にはずっと魅了されてきました。ジョーの演奏からは、いつもジャズの深い歴史が感じられるのと同時に彼は独自の音色と音楽へのアプローチを持っています。彼のハーモニーの世界も前を向いているんです」とブロはロヴァーノの音楽を語ります。

 ロヴァーノは、この若いギタリストのサウンド、つまりハーモニーの煌めきやターリングライン、ループしたアトモスフェリックについて言及し「ヤコブはビル・フリゼールの偉大な弟子でありながら、音楽と人生について独自のヴィジョンを持っている」「彼はリード・ギター・プレイヤーではないんだ。どちらかというとオーケストラのようなサウンドで、とてもクリエイティヴ。このアルバムの構想には、本当に彼の力が必要だったのです」とその才能を称賛します。

 ロヴァーノは本作品のために、12音でドローンをちりばめた「As It Should Be」(そのタイトルは、1985年にECMからリリースされたモチアン / ロヴァーノ / フリゼール・トリオの1stアルバムのタイトル曲「It Should've Happened a Long Time Ago」を暗示している)を提供しました。この曲とロヴァーノが提供しているもう1曲「For the Love of Paul」は、ダブルドラムをうまく使ってアンサンブルのダイナミズムを高め、一方、ブロはバラード調の「Song To An Old Friend」(メロディのほとんどはロヴァーノが担当)とフォーク風の「Pause」を作曲し、ブロの親密な演奏がベースの下流で織り成しています。ロヴァーノのアイディアからアレンジされたグループ即興曲「Sound Creation」では、アンサンブルのオーケストラ・サウンドを雰囲気たっぷりに表現し、織り成すメロディはすべてその場で考案されました(ロヴァーノは途中でテナー・サックスを持ち替えて東ヨーロッパのリード楽器タロガートでラインを追加している)。

 このアルバムで唯一モチアンが作曲した「Drum Music」では、バロンとロッシがそれぞれ単独で、さらに一緒にも演奏しています。「この曲はポールが僕とビルと組んだトリオのテーマ曲のようなものだった」「私たちはいつもセットの最後にこの曲を演奏し、時にはテーマだけを演奏し、時にはテーマから飛び出すこともありました。このアルバムでは、この曲を深く掘り下げたんです。とてもパワフルな音楽に仕上がりました」とロヴァーノは語っています。

 アルバムの録音セッションを、ブロは「このグループのミュージシャンの数とみんなの忙しいスケジュールを考えると、みんなで可能な日をどうにか見いだし、それが、たまたまポールが去った日と同じになる確率はどれくらいあるでしょうか?このcovidの時代にみんながコペンハーゲンに来ることができたのは奇跡的なことでした。パリからジョー、ロンドンからラリー、ニューヨークからトーマス、スイスからホルヘ、ベルリンからジョーイが来て、私とアンデルスとで合流しました。スタジオには、温かくオープンな雰囲気が漂っていました。みんなポールとつながりがあって、なんだか彼が部屋の中にいるような気がしたんです」と振り返っています。



ヤコブ・ブロ、ジョー・ロヴァーノ『ワンス・アラウンド・ザ・ルーム―トリビュート・トゥ・ポール・モチアン』
JakobBro-JoeLovano.lnk.to/OAtRPR
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