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.ENDRECHERI.、〈END RE ME〉&〈Ballad of FUNK〉を開催 ライヴ・レポート到着

ENDRECHERI   2023/10/18 12:52掲載
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.ENDRECHERI.、〈END RE ME〉&〈Ballad of FUNK〉を開催 ライヴ・レポート到着
 .ENDRECHERI.が開催した全国ツアー〈.ENDRECHERI. LIVE 2023 END RE ME〉。9月6日の兵庫・神戸国際会館 こくさいホール公演を皮切りに、全国5ヵ所で行われました。さらにそのツアーを完遂するやいなや、10月10日から新たなツアー〈.ENDRECHERI. Ballad of FUNK〉をスタート。

 前者はファンク、後者はバラードを軸にした異なる公演内容ですが、その中から9月29日の神奈川・パシフィコ横浜公演と、10月17日の東京・TOKYO DOME CITY HALL公演についてレポートします。

[ライヴ・レポート]
 オープニングの「END RE CHERI」が流れる中モニターに映し出されたのは、幾何学模様や宇宙空間、龍、堂本剛の顔の構造がわかるような解剖図と思わしきものなど、さまざまな写真や素材がコラージュされた映像。公演を重ねるごとにアップデートされていくこの映像は今回も見応えがあり、一瞬にして観客を.ENDRECHERI.のディープな世界へと誘ってくれる。会場の熱もみるみるうちに高まり、クラップの音も大きくなっていく中、ついに幕が上がり登場したのは、奇抜な衣装やアイテムを身に纏った.ENDRECHERI.とバンドメンバーたち。まず披露されたのは「Super funk market」。冒頭から圧巻の熱を孕んでおり、その仕上がりっぷりは1曲目と思えないほどだった。続けて「MYND」など数曲が披露されたが、どの曲も音が塊となって迫ってくるようで、少しでも気を抜けば置いていかれるような感覚に陥るほどだった。

 お馴染みのバンドメンバーたちの中で見慣れない人物が一人いた。剛の歌に合わせて手話を披露する女性、その人物は手話アーティストのペン子だった。後のMCで語られたが、さまざまな垣根を超えて.ENDRECHERI.の曲をたくさんの人に届けたいという想いから剛自らネットでリサーチし、彼女に出演オファーをすることになったという。「全ての人に曲を届けるのは難しいけど」と語る剛だったが、目標に向けて一歩ずつ前進していく彼の姿勢が素晴らしいと思った瞬間だった。

 このツアーでは 最新アルバム『Super funk market』から「依存 BEAT」「cho_cho_chocol@te」「Pretty Phantom」など新曲もいくつか披露されたが、特筆すべきは、自分らしく生きることの大切さがストレートに綴られた「I, Knew Me」ではないだろうか。

〈I. know me 僕を君を生きなきゃ〉〈イメージ. 文字. 言葉に/さらわれないように〉

 そもそも、自分らしく生きていく未来は彼が求めていたものだった。自己表現のきっかけを与えてくれたファンクなど、自分が心から好きだと思える音楽を追求したい。そして、音楽を通じて本当の自分を知ってほしい。そういった想いから始動したソロプロジェクトが.ENDRECHERI.の前身にあたる「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」だったが、ENDLICHERI☆ENDLICHERIのライヴが初めて開催されたのも横浜だった。あれから約15年。彼は歩みを止めることなく、他者からの理想やイメージに囚われることなく、音楽と向き合ってきた。このライヴ中にも観客やバンドメンバーに「ここでは自分を解放してほしい」という言葉を投げかけており、それに応えるように、バンドメンバーは思い思いのプレイを展開していった。演奏面でもMCでも一人一人の見せ場がしっかりと設けられていて、それぞれの個性が起こす化学反応の爆発力を体感しつつ、.ENDRECHERI.バンドが唯一無二のグルーヴを生み出せる理由というのを垣間見た気がした。何より、圧倒的に自由度が増した.ENDRECHERI.のライヴは、その場に居るだけで幸福感でいっぱいになるような、愛しかない空間だった。

 その翌月にスタートした〈.ENDRECHERI. Ballad of FUNK〉。出演者はキーボーディストのGakushiと.ENDRECHERI.の2人だけで、ファンク公演の時に映し出されたOP映像はなく、開演時間を迎えて彼らが登場すると自然な流れで演奏も開始された。「LOVE VS. LOVE」「Everybody say love」と続けて披露されたあと、剛は「バラードとして改めて過去の曲を歌うとエッジの効いたものが多くて…今日は皆さんの心をズタズタにするかもしれません」と語っていたが、彼の歌声には痛みを乗り越えていく力強さが宿っていて、むしろ聴いていると気持ちを鼓舞されるような感覚だった。

 その後の「シンジルとウラギル」ではピアノを、「愛詩雨」ではアコースティックギターを演奏しながら歌うこともあったが、基本的にはキーボードの旋律に乗せて歌うというシンプルな構成によって、彼の類稀な歌唱力はいつにも増して際立っていた。声量を出す必要のあるバラードを歌う際、突発性難聴の後遺症に苦しめられることもあったというが、病気のことを感じさせないほどの歌声であったこと、そしてこのバラード公演に至るまで彼が試行錯誤を重ねた日々を思うと、「美しい」とか「圧巻」とか、そういう言葉で簡単に表現してしまいたくなくなるほどの歌声だった。

 一方で、MCでは「ラブソングを歌う気にはなれないけど、提供曲として作ったり、誰かを意識しながら歌うことはできるかも」という話の流れから、即興でラブソングを披露したり、阿吽の仲である剛とGakushiのトークで会場が沸く瞬間も多々あった。Gakushiは.ENDRECHERI.の楽曲を制作する上で重要なキーパーソンであるが、この公演でのやりとりや、Gakushiの秀逸なアレンジによってさまざまな曲が違和感なくバラードに生まれ変わっていたことに、剛が彼に全幅の信頼を置いていることにも納得がいった。

 一曲一曲歌うごとに、ひとつひとつの言葉に想いを込めながら、楽曲の制作秘話などを語る剛。「Eye brow / BLUE」は、コロナ禍で大変な思いをしている医療従事者の人々が〈隙間時間で少しでも笑えることができれば〉という想いから開始したInstagramへの写真投稿によって誕生したことなど、どのエピソードからも、他者に寄り添う彼の優しさが感じられた。特にラストに披露された「街」で、故郷の奈良の景色を思わせる写真を見つめながら、〈痛みまでも見失いたくない〉と歌う姿が強く印象に残っている。

 ファンク公演もバラード公演も公演内容は大きく異なれど、彼が伝えたいテーマは「自分を生きることを諦めないで」ということに尽きるのだろう。本当の自分で生きることができない苦しみ、反対に自分らしく生きることと、そんな自分を受け止めてもらえる喜び。今回のツアーは、その2つを強く実感している彼だからこそ、そしてどんな時も愛と平和を信じている彼だからこそ、生み出せる時間だったのではないかと思う。


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