独自のスタンスと存在感を武器にハイペースなリリースを続ける22歳のラッパー・
Itaqと、8月にリリースした「Water Boys」をはじめ過去作でも度々コラボし、現在は3DCG作家としても活動する実弟Dirty Kiyomiyaで2017年に結成した兄弟クルー、那須ワイルドボーイズが、初の公式リリースとなるEP『Wild Tape』を11月4日(金)にリリース。
那須ワイルドボーイズは、2017年から不定期でSoundCloud等に楽曲を発表してきたものの、“Itaqが頼んだ時だけDirty Kiyomiyaがラップをする”という性質もあってか纏まった作品集はおろか、公式リリースも無いまま5年の時が経過しました。しかしItaqの上京にあたり、地元那須での最後のプロジェクトとして『Wild Tape』の制作は進められ、遂に完成。日の目を浴びることとなります。
全曲のビートを栃木県那須郡を拠点に長きに渡って国内グライム・シーンを支え続けるビートメイカーのNegatinが担当、収録曲3曲全てがソリッドでダークなUKドリルビートとなっています。Itaqのスキルフルで小回りの効くラップには言葉遊びも散りばめられ、様々なビートアプローチが聴き手を飽きさせません。しかし、そこに突如として現れるDirty Kiyomiyaの濁流の如きフローは、ファニーな物語を描き出す常に混沌としたワードセンスによって聴き手を撹乱し、また、他に類を見ない表情豊かな野太い発声が強烈な印象を刻みつけること請け合いです。
アートワークを担当したのは、Itaqと今回で5回目のコラボとなるグラフィッククリエイターのITO AOI。木と金属のテクスチャーをあしらったオリジナルロゴが印象的なジャケットとなっています。
そして、ジャケット写真と那須ワイルドボーイズとしてのアーティスト写真、リリースと合わせて公開された「Furin Kazan」のMVを撮影したのが栃木県小山市を拠点に活動し、Itaqの「幸福」のMVも制作したカメラマン兼映像作家のabokado boy。「Furin Kazan」は、那須ワイルドボーイズによる初のEP『Wild Tape』の1曲目を飾る楽曲で、ItaqとDirty Kiyomiyaの暴発するような勢いをそのままパッケージしたドリル・ソング。言葉遊びとタイトで身体的な高速ラップを披露する兄のItaqと、破綻したリリックを低音の響くナイスヴォーカルで濁流の如く連打する弟のDirty Kiyomiyaが対照的な美を生み出し、聴く者を最後まで飽きさせません。地元那須の大先輩であるNegatinによるドリル・ビートも、霧がかった山々のようなダークでスモーキーな情緒を描き出しています。
撮影は、ItaqとDirty Kiyomiyaの通っている温泉「五峰の湯」と、無数のロケスポットを擁するチート寺こと「雲巌寺」にて敢行。2人のグライミーなバイブスと天真爛漫な遊び心を存分に楽しめる作品となりました。なお、このMVの撮影はItaqの上京直前に行われ、途中登場する軽自動車は撮影から間も無くして惜しくも手放されました。
ヒップホップ的な正解に囚われず、北関東の山々を彷彿とさせる荒々しさを提示する那須ワイルドボーイズの『Wild Tape』は、群雄割拠の国内ドリル・シーンにあってまさに斜め上からの襲撃となるに違いありません。