今年でデビュー30周年を迎えるAOR系シンガーの第一人者、
稲垣潤一が
山中千尋トリオをサポートに迎え、8月26日、東京・丸の内コットンクラブでライヴを行ないました。
両者は昨年夏に箱根・彫刻の森美術館で開催された自動車会社のイベントで初共演。今夏、葉山マリーナで開催されたジャズ・イベントには稲垣がゲストで参加し、今回は山中千尋トリオがサポートをつとめました。
3度目の共演となる両者、“どうして今までやってなかったのか?”と思ってしまうほど、稲垣のヴォイスとジャズ・トリオの相性は良く、会場となったコットンクラブの佇まいと相まり、アダルトな雰囲気の一夜に。
前半に演奏された稲垣の代表曲でもある「夏のクラクション」。原曲は陽の光が眩しい真昼のイメージであったのに対し、山中トリオではムーディーかつクールな真夏の夜に一変! 中盤はスタンダード・ナンバーのコーナー。かねてから“スタンダード・ナンバーを日本語詞で歌ってみたかった”とMCで語った稲垣は、このトリオのサポートを得ることで長年の夢を実現。
驚いたのは、稲垣の選曲のセンスの妙。
ナット・キング・コールの名曲「ロンリー・ワン」を
美空ひばりが歌った歌詞で、映画『黒いオルフェ』の主題歌「オルフェの唄」は
ペギー葉山のヴァージョンで……といった具合に、ストレートなカヴァーではなく、絶妙な変化球を披露、さらに
水原 弘や、
ちあきなおみが歌った
永六輔・
中村八大コンビの「黄昏のビギン」といったセレクトも! 『男と女』シリーズでは、J-POPやニュー・ミュージックのスタンダード曲をデュエット仕様でカヴァーに挑んだ稲垣、60年代の日本語洋楽へジャズ・コンボ・スタイルによるアプローチは、デビュー30周年を迎え、新たな方向性を示してくれそう。
なお、稲垣潤一の最新アルバム
『30周年記念ベスト 〜テーマ・ソングス〜』は10月26日リリースを予定。こちらもお楽しみに。