昨年末に急逝した
森田芳光監督の遺作、『僕達急行 A列車で行こう』(2012年3月公開)が、いよいよ9月14日に
Blu-ray&
DVDとなって登場。発売を記念し、9月7日(金)東京・新宿バルト9にて森田監督の3作品を上映するオールナイト・イベント〈『僕達急行 A列車で行こう』Blu-ray&DVD 発売記念!森田芳光オールナイトで行こう!〉が開催されました。
イベントでは『僕達急行 A列車で行こう』、デビュー作『の・ようなもの』、ファンに人気の高い『ときめきに死す』の3作品が35mmプリントで上映されたほか、『の・ようなもの』で主演をつとめた
伊藤克信氏、プロデューサーの三沢和子氏、『の・ようなもの』『ときめきに死す』『僕達急行』で編集を担当した川島章正氏、『の・ようなもの』『僕達急行』で助監督をつとめた杉山泰一氏と、森田監督縁の人物が登壇するトークショウも開催。
青年落語家の姿を描いた『の・ようなもの』について三沢プロデューサーが「主人公を探すためにあらゆる寄席に行って若手を見たけど、役にぴったりの人がみつからなくて」と語ると、「『全日本学生落語名人決定戦』という番組で(僕が)敢闘賞をもらったのを監督がたまたま観てたんですよね」と、『の・ようなもの』での俳優デビューについて伊藤氏が明かしました。同作は森田監督にとってもデビュー作となっており、助監督の杉山氏は「現場では、新人とは思えない振る舞いで、プロの俳優さんに的確に演出されてました」と裏話を披露。
また「毎回、(監督から)いろんなテクニックを見せてもらってびっくりする」と語るのは編集の川島氏。「『ときめきに死す』のエンディングで、駅へ向かう3人のシーンを、車の上にカメラを置いて360度回して撮りました。当時初めて見たテクニックでした」とコメント。さらに、「森田監督は、ロケ地を決めるとき、空気感と四季温度を大事にしていた」と三沢プロデューサーが話すと、杉山氏が『僕達急行』での徹底したロケ地探しについて「舞台となる九州へ製作部と先に乗り込み、青春18 切符で九州の列車を乗りつぶしました。各駅停車だから眠れなくて、ずっと車窓の風景を眺めながら、汽車の通るポイントや舞台のラストになる駅を探してましたね」と語りました。
会場には、往年のファンはもちろん、訃報をきっかけにファンとなった方々も。「伊藤克信さんの話が聞けて満足!」「『ときめきに死す』は公開時以来の鑑賞! 大画面で観れて良かった」「訃報をきっかけに、森田監督の作品のファンになりました。コメディやサスペンスの描き方が好き」といった感想が寄せられ、充実のイベントとなりました。