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中川英二郎、初の単独オンラインライヴのレポートが到着

中川英二郎   2021/10/07 14:03掲載
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中川英二郎、初の単独オンラインライヴのレポートが到着
 日本を代表するトロンボーン奏者として国内外で活躍する中川英二郎が、初の単独オンラインライヴ〈Eijiro Nakagawa SOLO_Exhibition“Hitori Monsters”〉を10月1日に開催しました。ゲストの本田雅人とのセッション、メンバーが自宅で撮影した映像に中川が生演奏を加えたユニット“SLIDE MONSTERS”のリモート・パフォーマンス、バーテンダー扮して出演したシークレットゲストのエリック・ミヤシロを交えた演奏など、充実の内容だったライヴのレポートとメイキングムービーが公開されています。

 また、このオンラインライヴのアーカイブ配信が見られる視聴チケットは10月8日(金)まで購入可能。CD付き視聴チケットの購入者は10月15日(金)までアーカイブを楽しむことができます。

[ライヴ・レポート]
 先週末10月1日(金)、世界的トロンボーン奏者の中川英二郎によるオンラインライブ 「Eijiro Nakagawa SOLO_Exhibition “Hitori Monsters”」のライブ配信が行われた。“個展”をコンセプトにした本公演は、タイトルを「ひとりモンスターズ」と銘打ち、その名の通り全編に渡り中川のオリジナル作品が演奏され、なおかつトロンボーンひとりのパフォーマンスで構成をする、という中川英二郎名義として初めての単独オンラインライブとなった。

 冒頭、額縁に収まった中川のアップから始まる小粋な演出で、テーマが「個展」であることを提示。有観客ライブの形態を配信するものではなく、コロナ禍で培われた“映像配信のためのライブ”であることが最初の数秒間で感じとれ、期待が高まる。

 ライブは中川のルーツであるディキシーランド風の楽曲『Life is beautiful』からスタート。続いて演奏された『Heaven's kitchen』は2015年のアルバム「Trisense」より、優しいメロディーが印象的なナンバー。“一発撮り”を意識したホワイトバックのスタジオで、ストイックな演奏が繰り広げられる。

 ライブハウス風のステージに移動し『Boot City』を披露。ここからはルーパーを使用し今回のメインの一つでもあるトロンボーンソロの可能性を拡張する意欲的なセットが続く。中川の代表曲『Into the Sky』は、2007年のアルバム「E」に収録されたピアニスト・小曽根真とのデュオが有名だが、こらちもルーパーを用いたアレンジに。青いレーザーが本人を包み込む、ライティング・インスタレーションとも呼べる幻想的な演出と、空に向かって飛び立つような高揚感のある楽曲が実にマッチしており、入念な準備と演出が施された見事な映像作品であることを感じさせる印象的なシーンだった。

 4曲ノンストップで披露されたが、ここで今回のゲスト、サクソフォンの本田雅人が登場。バーコーナーのセットをバックに、本田が中川を待ち受ける。先輩でありながら多くのステージで共演してきた仲間である本田とのトークは、これまでのストイックな緊張感とはうって変わってアットフォームな雰囲気に。本田とのトークもそこそこに、2人だけのセッションに移る。

 中川のメジャーデビューアルバム「EIJIRO NAKAGAWA & FUNK'55」より『Scramble』を2人でセッション。当時16歳だった中川が初めて作曲した曲だそう。このコンビではお馴染みになりつつある『Rodeo Clown』を演奏した後は、中川がリスペクトを込めて「僕は絶対に書けない曲」と話す、本田がT-SQUARE時代に作曲したヒット曲『MEGALITH』を披露した。

 ここで、2年連続で来日ツアーが中止となっているSLIDE MONSTERS(中川がプロデュースをするトロンボーンユニット)がリモートで登場。アメリカとヨーロッパ、そして日本と国を跨ぐ“トロンボーンモンスターたち”が集結するこのユニットは、日本ツアーを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け2年連続の中止に見舞われた。今回は11月に発売予定の最新アルバムからタイトルチューンで新曲の『Travelers』を演奏。それぞれの自宅で撮影した映像と、中川がスタジオから生演奏で参加する一夜限りのコラボレーションが繰り広げられた。

 再びバーコーナーでのトークに戻り、吹きっぱなしの中川をみた本田が「喉が渇いたでしょ」と問いかけると、バーテンダー扮するエリック・ミヤシロ(トランペット)が登場。笑いに包まれる中、シークレットゲストとして演奏に参加する運びに。

 中川とエリックの共演曲は、2人が参加しているユニット「侍BRASS」のナンバーから『SASUKE』。エリックのフリューゲルホルンによる超絶技巧によるアドリブソロが光り、忍者をテーマにした日本的な旋律に、独特な世界が広がった。

 いよいよライブはラストスパートに突入。コロナ禍で誕生したSUPER BRASS STARS(中川、エリック、本田)が一同揃い、満を持して演奏したのは『Secret Gate』。こちらも中川の代表曲のひとつでSLIDE MONSTERSの最新アルバムにも収録されている。元々はトロンボーンソロのための楽曲だが、本田のサックスがメロディーを奏で、エリックのトランペットがバッキングをすると、あたかも大編成のバンドが演奏しているように聴こえ、この3人の圧倒的な実力に舌を巻かざるを得ない。

 トークを挟んで最後の楽曲は『12 Colors』。小曽根真 feat. No Name Horsesのために作曲されたこの楽曲は、フィナーレにふさわしく、オーディエンスに寄り添うような暖かなメロディーと、中川の得意とする3拍子の推進力で未来に向かった前向きなパワーを感じさせるものであった。

 本編終了後は、メイキングムービーにのせたエンドロールが流れ、SLIDE MONSTERSによる『Secret Gate』のミュージックビデオがフル尺解禁された後に、アフタートークも行われた。

 アフタートークでも話されていたことだが、コロナ禍におけるライブエンタテイメントは、開催出来る/出来ない、ということに一喜一憂することも多い。今回もそういった経緯から生まれた公演ではあるが、状況を逆手にとって、あたかもミュージックビデオをライブ配信しているかのような高水準のクオリティでライブ配信を実現し、前向きなクリエイティビティに転換したことは特筆すべきものがあった。それは中川の楽曲がポジティブかつ、優しさをもったメロディーであることと、映像監督・藤井大輔、ライティング・空本朋之ら、最高峰の制作チームが結集した映像によって改めて示され、オーディエンスの心に刻まれたに違いない。来年、演奏活動40周年&メジャーデビュー30周年の記念イヤーを迎る中川の活躍ににさらに期待したい。

 なおアーカイブ配信が見れる視聴チケットは10月8日(金)まで購入可能。CD付き視聴チケットの購入者は15日(金)までロングアーカイブが楽しめる。



セットリスト
Eijiro Nakagawa : Life is beautiful
Eijiro Nakagawa : Heaven's kitchen
Eijiro Nakagawa : Boot City
Eijiro Nakagawa : Into The Sky
Eijiro Nakagawa : Scramble
Eijiro Nakagawa : Rodeo Clown
Masato Honda : MEGALITH
Eijiro Nakagawa : Travelers
Eijiro Nakagawa : SASUKE
Eijiro Nakagawa : Secret Gate
Eijiro Nakagawa : 12 Colors


Photo by Yusuke Kitamura

中川英二郎「Eijiro Nakagawa SOLO_Exhibition“Hitori Monsters”」特設サイト
slidemonsters.jp
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