第74回カンヌ国際映画祭にてグランプリ＆フランソワ・シャレ賞、第93回ナショナル・ボード・オブ・レビュー脚本賞、外国語映画賞などを受賞し、第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞にノミネート、本年度米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストにも選出された『英雄の証明』が、4月1日（金）より全国順次公開。この度、本編映像とアスガー・ファルハディ監督のコメントが公開されています。

　ベルリン、カンヌ国際映画祭にて数々の賞に輝き、『別離』と『セールスマン』で米アカデミー賞外国語映画賞を2度も制した世界的な巨匠ファルハディ。日常の中に生じた小さなひび割れのような出来事が、人生を根底から揺るがす事態に発展していく様を、サスペンスフルかつ情感豊かに描出する傑作を世に送り出し、世界中の観客たちを魅了してきました。本作では、人間の倫理観を問う普遍的なこのテーマを追求するにあたって、いまや絶大となったSNSやメディアの影響力に着目。主人公の振れ幅の大きな運命を通して、真実というものの曖昧さや、社会に潜む欲望とエゴを現代的な切り口であぶり出す予測不可能なヒューマン・サスペンスとなっています。

　この度、美談の“英雄”に祭り上げられた男が一転、SNSで持ち上がった疑惑に翻弄される本編映像が公開されました。借金のため刑務所に服役しているラヒムは、休暇中に拾った金貨を返却したことで、「正直者の囚人」とマスコミに取り上げられ、一躍有名人となります。仕事を斡旋してもらえることになり、意気揚々と面接に出向きますが、なぜか雲行きは怪しくなります。「あなたを採用する前に事実確認をしたい」と面接官より言われ、金貨の持ち主の電話番号や住所を矢継ぎ早に聞かれるも、何も答えられないラヒム。さらに、この善行が作り話かもしれないとSNSなどでウワサとなっており、疑念を抱いていると告げられます。驚きを隠せないラヒムでしたが、「息子に誓って嘘はついていない」と伝えると「なぜ誓う必要が？」と冷たく突き放されてしまいます。

　ラヒムの時に人をイラつかせる微笑について、ファルハディ監督は「この映画に登場するのは言わば“グレー”な登場人物たちです。型にはまっておらず、一面的でもないのです。日々の生活に登場する実在の人物のように、この映画の登場人物たちには陰影があり、また、彼らは相反する感情を持つ傾向があり、決断しなければならなくなると苦悩してしまうというわけです。ラヒムの微笑は、数ヵ月間のリハーサルでどのような演技をするか絞り込んでいく中で段々と露になってきたラヒムの特徴です。彼の日常生活の一部である“グレー”な性格を与えるにはどうすれば良いかということだったのです」と話しています。どんどん追い込まれてしまうラヒム。彼は本物の“英雄”か、それとも世の中を騙す“ペテン師”なのか。真相はぜひ劇場で。


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