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クイーンやスパークスの遺伝子を受け継ぐバンド、いませんか?

2006/04/07掲載
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 昨年の復活から話題の途切れることがないクイーン、2月に新作をリリースしたスパークス。ともに特徴的なヴォーカルが印象的なバンドですが、彼らのようなバンドは現代にいないものか? そんなことを考えた方、いるのではないでしょうか。そこでオススメするのがザ・ダークネス! クイーンを生み、スパークスを認めた英国期待のバンドです。
■ザ・ダークネスとは?
 ザ・ダークネスは英国ノーフォーク州で結成された4人組。ジャスティン(vo,g)とダン(g)のホーキンス兄弟を中心に、エド・グラハム(ds)、フランキー・ポーレイン(b)という編成で2000年に始動しました。2003年に発表したデビュー・アルバム『パーミッション・トゥ・ランド』は、英国だけで150万枚を売り上げるという大ヒットを記録。伝統的なハード・ロックを基盤に、80年代の煌びやかさとキャッチーさを兼ね備えたサウンド、全身キャットスーツに身を包むというジャスティンの奇抜なファッションと、超個性的なファルセット・ヴォイスが渾然一体となり、一躍国民的バンドとなりました。その人気は、同国のブレア首相がファンであることを公言したほど。ある種の社会現象とも言うべき過熱振りを見せ、『パーミッション〜』は米国でもゴールド・ディスクを獲得しています。

 
 昨年にはフランキーを解雇。新たにリッチー・エドワーズを迎え、2ndアルバム『ワン・ウェイ・チケット・トゥ・ヘル…アンド・バック』(写真)を発表。異常なほどのセールスを記録した前作にはさすがにかなわないものの、順調な動向を見せ、全英トップ10シングルも連発するなど相変わらず注目の的です。4月20日からは2度目の来日公演がスタートすることになっています。

■クイーン『ジャズ』
 そんなザ・ダークネスは、常々クイーンからの影響を公言。『ワン・ウェイ・チケット〜』のプロデューサーには、初期クイーンのお抱えプロデューサーだったロイ・トーマス・ベイカーを迎えたほどで、同作では確信犯的にクイーンを思わせる多重録音ヴォーカルを随所で聴かせています。ジャスティンとダンがクイーンのフェイヴァリット・アルバムとしているのが、78年の『ジャズ』(写真)。クイーンのアルバムの中では比較的地味な今作を挙げるのことからも、その愛着が伺えます。

 『ジャズ』はクイーンがポップでコンパクトになっていった時期の作品で、セルフ・プロデュースだった前2作に対し、ベイカーを再び起用。「バイシクル・レース」や、最近はCMでも話題の「ドント・ストップ・ミー・ナウ」といった人気曲が収録されています。あのコーラス・ワークやギター・オーケストレーションが一部で復活し、ポップ感とドラマ性が絶妙なバランスを聴かせるという点では、ザ・ダークネスに繋がる要素があるかもしれません。

■スパークス『キモノ・マイ・ハウス』
 実はザ・ダークネスがデビューした頃、スパークスからの影響を指摘した人物やレビューはほとんど存在しませんでした。ところが昨年8月、ジャスティンの息抜きソロ・プロジェクトであるBritish Whaleが突如シングルを発表。それがなんと、スパークスの名曲「ディス・タウン(This Town Ain't Big Enough For The Both Of Us)」のカヴァーだったのです。

 改めて同曲が収録されている『キモノ・マイ・ハウス』(写真・74年)を聴いてみると、なるほど、この独特のポップ感は確かにジャスティンは影響を受けているかも、と思わせます。軽快な「アマチュア・アワー」などは、そのままザ・ダークネスが演奏してもおかしくないほど。「自分に恋して(Falling In Love With Myself Again)」「Thank God It's Not Christmas」といったユーモア溢れる歌詞もしかり。そして、スパークスもラッセル・メイルのファルセット・ヴォイスが売りのひとつです。余談ながら、ジャスティンがカヴァーした「ディス・タウン」のPVには、本家のラッセルとロン・メイルがゲスト出演しています。

■その他
 その他、ザ・ダークネスのルーツとされているバンドとして真っ先に挙げられるのがAC/DC。『パーミッション〜』は全体的にアレンジがシンプルで、AC/DC的リフ・ワークが満載です。『ワン・ウェイ・チケット〜』においても、タイトル曲のイントロなどはAC/DCの「地獄のハイウェイ」を想起させるもの。また、兄・ジャスティンがド派手なシンガー兼リード・ギタリスト、弟・ダンは黙々とリフを刻むというビジュアル・イメージは、マルコム&アンガスのヤング兄弟を正反対にしたかのようです。

 もうひとつ、多大な影響を受けたとされるのがシン・リジィ。ダンがライヴで必ずシン・リジィのTシャツを着用するのは有名な話で、そのロゴがラメになっているデザインは、リジィのファンも入手したがる一品だとか。ザ・ダークネスはツイン・リードを多用するわけではありませんが、ギター・ソロの入れ方やフレージングなどからは、スコット・ゴーハム&ブライアン・ロバートソン在籍時のリジィを思わせる部分があるのは確か。『ワン・ウェイ・チケット〜』収録の「ヘイゼル・アイズ」などは、彼らへのオマージュと言ってもいいかもしれません。

 上記で挙げたバンドのうち、ひとつでも好きで最近のバンドはチェックしていないという方、ザ・ダークネスにチャレンジしてはいかかでしょうか? その際は以下にご注意を。

1. 基本はロックンロール・バンド。クイーンそのものを期待してはいけません。
2. ジャスティンのファルセット・ヴォイスはあまりにも強烈。最初はギョッとするでしょうが、慣れるとそれも快感に。
3. ブラック・ユーモアがお嫌いな方は試さない方が良いかも?

 ベテランのロック・ファンも、若いバンドを一緒に盛り上げていきませんか?
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