シンガー・ソングライターの
藤原さくらが、2月23日(月・祝)にキャリア初となる武道館公演〈藤原さくら 10th Anniversary 武道館大音楽会〉を開催しました。
[ライヴ・レポート] 藤原さくらのデビュー10周年イヤーを締めくくる一夜限りの公演には多くの観客が集まり、日本武道館は祝祭感と温かな空気に包まれていた。
バンドマスターには2月18日(水)にリリースしたアルバム『uku』を共に制作したドラマー・石若駿が参加。加えてMarty Holoubek(b)、井上銘・閑喜弦介(g)、渡辺翔太(key)、松井泉(perc)、ermhoi(cho)、Taikimen(mp)と、藤原の昨今の楽曲制作を支える実力派ミュージャンたちが集結。
開演時間になるとBGMが徐々に波の音に変化し、そして緩やかにニューアルバム『uku』収録曲『My summer』のイントロが奏でられ幕を開けた。一気に南国的な空気を感じさせる世界観に引き込まれると、続いて披露されたのは『Angel』。今の藤原の軽やかなムードを感じさせる。そして『Dance』のイントロで「皆さんこんばんは~!藤原さくらで~す!」との声に観客は一気に盛り上がり、自由に体を揺らして楽しむ姿が見られた。
本公演は藤原の10周年を祝うライヴ。アルバム『uku』をはじめとした近年の楽曲、そしてこれまでの10年間にリリースしてきた楽曲が織り交ぜられ、10年間の歩みをたどるような構成で観客を楽しませていた。今の藤原、そして石若を中心に現在の彼女の音楽性を体現するバンドによる新しい解釈で楽曲が披露され、作品の魅力がより鮮やかに浮かび上がる。また今回の公演にはVJとしてアーティスト・VIDEOTAPEMUSICが参加しており、ステージ上に下ろされた薄い幕に映像が映し出され、照明演出とも調和し、音楽の世界観をより立体的に演出していた。
中盤は「生活」「Give me a break」「Cigarette butts」と2020年ごろまでのミッドチューンが続き、ステージはだんだんとオレンジ色に変わり日が暮れると、藤原はセンターステージへと歩みを進めた。一人ステージに立ち「10年いろんなことがありました。デビューしたての頃に歌った歌を、遠いところまでたどり着いたなという気持ちで歌います」と、ギターの弾き語りで「500マイル」を語るように歌った。観客はその息遣いも感じるような歌声にじっくりと耳を傾けた。続いて石若が呼び込まれ、藤原が自身の姪に向けて愛を綴った楽曲「sunshine」を披露。ドラム・キーボードを鳴らす石若と時折目を合わせながら息のあった演奏を見せた。
続いて始まったのは「daybreak」。ここから夜明けへと向かっていく。「my dear boy」「Just one girl」と演奏され、濃度の高い音の粒が開場全体に広がり、会場は息を呑むのような幻想的な空気に包まれた。
そしてライヴも終盤。これまで多くの人に愛されてきた楽曲「Soup」「春の歌」「Super good」を立ててづけに演奏し、会場からは歓声が上がり盛り上りは最高潮に。「Soup」では藤原の10年間を振り返る映像が映し出され、彼女のこれまで積み重ねてきた音楽人生が一気にフラッシュバックするようだった。そして1stアルバム『good morning』収録曲「かわいい」が本編ラストを飾り、観客の盛大な拍手に包まれた。
アンコールでは「mother」、そして「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」を披露し、公演は幕を閉じた。彼女がステージ上で身軽に、そして自由に歌い、ミュージシャンが音を奏で楽しむ姿が観客をなんとも言えない多幸感で満たしていた。
藤原は「今晴れやかな気持ちでみんなの前に立てることがすごく嬉しいです!デビューして10年が経って、こんなにたくさんの人に来てもらえて、こんなに大切な仲間に出会えて、本当にいい10年でした!」とライヴを締め括った。
本公演は彼女の10年間の歩みと多くの人々に愛されてきた軌跡を強く感じさせる、まさに10周年イヤーの締めくくりに相応しいライヴであった。
©廣田達也
©上飯坂一
©Kana Tarumi