2023年に15年ぶりの共演録音となる『
ヤナーチェク、ブラームス、バルトーク: ヴァイオリン・ソナタ集』を発表した
パトリツィア・コパチンスカヤ(vn)と
ファジル・サイ(p)が、共演作第3弾『パトコップ&サイ~プロコフィエフ、シマノフスキ、サイ、コパチンスカヤ』を10月16日(金)に発表します。コパチンスカヤとサイの自作曲も収録。かつては深く結びついていた演奏と作曲という2つの行為をふたたび統合しつつ、音楽を通じて現代社会を多角的に問い直す試みとなっています。
オープニングに置かれたサイの「Lost Screams(失われた叫び)」はコパチンスカヤに献呈された作品で、現代の葛藤や恐怖、そして静かな抗議を鋭く描き込んでいます。続く「神話」は
シマノフスキの芸術的転換期の作品で、古代ギリシャの神話を独自の印象主義的な色彩感で捉え直したもの。コパチンスカヤの「UniSolo(共に、しかしソロのように、の意)」は到達点を定めない音楽的プロセスとして構想された作品で、ステージ上での調律(A音)から展開する内省的なアプローチであり、ピアノとの緊張感あふれる即興的な対話が特徴です。そして第二次大戦期の過酷なソ連体制下で書かれた
プロコフィエフの「ヴァイオリン・ソナタ第1番」では、そこに刻まれた恐怖や抑圧を、現代における独裁や人権蹂躙といった危機に直接的に通底するメッセージとして緊迫感をもって提示します。異なる時代背景を持つ4作品が「脅威、記憶、希望、変容」というテーマで結びつき、時代に翻弄されながらも声を上げる人々の対話を鮮明に描き出しています。
録音は2026年4月26日仏・エヴィアン=レ=バンのラ・スルス・ヴィヴにて。国内仕様盤には伊東信宏による日本語解説が封入されています。