本作は、自分の居場所を探す孤独な少年が、息をのむような大きな愛を知るまでの20年間を描いた作品です。内山監督が『佐々木、イン、マイマイン』よりも前から執筆を続けてきた構想十余年のオリジナル脚本。2025年11月に開催された第26回東京フィルメックスでは、日本作品で唯一、コンペティション部門に選出。マティアス・ピニェイロ監督ら審査員から「静寂と変化、柔らかさと硬さが内包され、バランス感覚に満ちた映画である」と評され、審査員特別賞を受賞。そして、2026年2月に開催された、世界三大映画祭の一つである第76回ベルリン国際映画祭では、パノラマ部門に正式出品され、ベルリン国際映画祭ディレクターのマイケル・シュトゥッツから「観る者の心に長く余韻を残す作品」と高く評価されました。続く5月に開催された第4回横浜国際映画祭では、作品賞にあたるグランプリ、そして最優秀監督賞、最優秀男優賞(北村匠海)、優秀女優賞(宮沢りえ)と4冠を受賞、7月のダナン・アジア映画祭 アジア映画コンペティション部門にて審査員特別賞を受賞。第28回台北映画祭(台北電影節)では、世界で最注目すべき映像作家に焦点を当て、その監督の作品群が上映される”Filmmakers in Focus”に内山拓也監督が選定されました。近年、”Filmmakers in Focus”にて特集された日本人は2016年に濱口竜介監督、2020年に大林宣彦監督。このように、日本での劇場公開を前に、国内外の映画祭で大きな反響を呼び続けています。
そんな息子と母のドラマを盛り上げるテーマ・ソングとして起用されたのは、ロック・バンド“NOT WONK”の加藤修平(g / vo)によるソロ・プロジェクト“SADFRANK”の「Hymn To Love」。2020年にリリースされた、エディット・ピアフの珠玉の名曲「愛の讃歌」(英題: Hymn To Love)のカヴァーとなります。『しびれ』を撮るにあたり、キャストやスタッフへの世界観の共有としてピアフ版「愛の讃歌」を聴いてもらっていたという内山監督。その理由について、監督は「楽曲自体は恋人に宛てたものですが、この普遍性は時代や国境を超えて、家族、親子、友人、国など様々な解釈がなされ、愛についての象徴として広く届いており、自分にとっては“母”への愛として浸透しています。『しびれ』は“ 愛の讃歌” であると思っています」とコメント。なお、SADFRANKの「Hymn To Love」は、監督が北村に渡していた役作りのための“プレイリスト”にも収録されていたとのこと。監督と北村、2人にとって創作の“源“でもあった大切な楽曲です。