1890年2月25日に「ヱビスビール」が誕生したことにちなみ、2012年に2月25日を「ヱビスの日」として記念日に制定しています。
「ヱビスビール」は、サッポロビールの前身となる日本麦酒醸造会社が、1889年に目黒村三田(現・東京都目黒区三田/慶應義塾大学のキャンパスがある港区三田ではありません)に醸造場を完成させた翌1890年に「恵比寿ビール」の名前で誕生しました。本場ドイツから醸造設備や醸造技師を呼び、“本物のおいしさ”にこだわった本格的なビール作りをスタートすると、発売から1ヵ月後の内国勧業博覧会で最良好の評価を受けました。
好景気の影響もあって、売れ行きが増えると、目黒村と渋谷村(現・渋谷区恵比寿)の3万坪強の土地に工場を拡大。1900年のパリ万博で30ヵ国以上の出品のなかから「恵比寿ビール」が金賞を受賞し、国際的な評価を獲得すると、翌1901年に「恵比寿ビール」出荷専門の貨物駅が作られました。駅名は土地名ではなくブランド名をとって「恵比寿停車場」に。当初はビールの積み下ろし専用の駅でしたが、5年後の1906年に渋谷寄りの場所に旅客駅となる「恵比寿駅」が誕生しています。
「ヱビスビール」が1990年代よりCMソングとして使い出したのが、「第三の男のテーマ」(THE THIRD MAN THEME)です。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞では3部門にノミネートされた1949年の
キャロル・リード監督の傑作映画『
第三の男』(写真)にて、
オーソン・ウェルズが演じた役柄の曲「ハリー・ライムのテーマ」として書かれました。演奏したのは、オーストリアとイタリアにまたがるアルプス山脈東部に広がるチロル地方の民族楽器ツィター奏者の
アントン・カラス。やさしくほのぼのとした音色が特徴のツィターが、殺伐とした風景が映し出されるサスペンス・スリラー映画に流れるというギャップも、名シーンの妙を生み出しています。
そんな「ヱビスビール」の定番CMソングとしても認知されると、2005年よりJR恵比寿駅の発車メロディに「第三の男のテーマ」が使われるようになりました。実は山手線では、内回り(品川・東京方面)と外回り(渋谷・新宿方面)で、楽曲のアレンジが異なります。恵比寿に行く機会があった際は、耳を澄ましてみるのも面白いかもしれません。
CMで使われた「第三の男のテーマ」は、アントン・カラス版だけでなく、さまざまなアーティストのヴァージョンが用いられてきました。
加藤登紀子、
かまやつひろし、
細野晴臣、
上原ひろみ、
カヒミ・カリィ、
キリンジらがそれぞれのテイストで歌唱・演奏。特に2007年にはヱビス「ザ・ホップ」の「グリーンベンチ」篇として、
坂本美雨&
山田タマル、
宮本文昭&
宮本笑里、
つじあやの、
曽我部恵一&
ASA-CHANG、
小山田圭吾&
ヤン富田、
ゴンチチ、
近藤房之助、
THE CHILL(
立花ハジメ&
紺野千春)、
高田漣の9組14名が登場。続く「グリーンベンチ 夏」篇では
クラムボン、
畠山美由紀&
青柳拓次、
ワタナベイビー&
かせきさいだぁ、
マイク真木のほか、CM初の海外アーティストとして
ハー・スペース・ホリデイ(マーク・ビアンキのソロ・ユニット)が参加。「グリーンベンチ 秋」篇では、
ハナレグミ、
Leyona、
Salyu、
高木正勝といった面々がCMを彩りました。
その後も、
夏川りみ、
秦基博、2009年には
pe'zmokuがサンバ・ヴァージョンを演奏。2010年からは
原由子、
スーザン・ボイル、
武田カオリ、2012年には
川上つよしと彼のムードメイカーズがスカ・アレンジを演奏というように、さまざまなアーティストが「第三の男のテーマ」を奏でています。