先行リリースされた1曲目の「Keys To Your Civic」は“なんとなく生きてるんじゃないですか?”というドキッとする日本語のスピーチの一節を大胆にサンプリングしたイントロから物語が始まります。斬新かつ思い切った演出が意表を突く、スピード感溢れるノンストップ・ロック・チューンは、資本主義に囚われてしまった世の中を風刺します。同じく、先行シングルである「N.P.D」は人間のいやらしさや陰謀をラスト・ダイナソーズ独特の視点で描き、過去と未来が交差する、音楽という枠を超えた〈オーディオ・シネマ〉とも言える5分31秒の大作となっています。
続く「Self-Serving Human Being」、「Paranoia Paradise (feat GLAZE)」は、舞台となっているディストピアの都市で住民が絶え間ない混乱に巻き込まれている様子を描きます。テキサス出身のポストパンク・バンド、GLAZEをフィーチャーしたリード曲でもある「Paranoia Paradise (feat GLAZE)」の曲中では、ラスト・ダイナソーズらしいアップ・テンポな前半と打って変わって、後半にはイージーリスニングなインストビートの後ろでラジオから本EPのメイン・テーマである“自己中心主義”を議題にした「他人のことなんて気にせず自己中心的にならないとこの世界では生き残れない」、「少数の頭の良い人が操るこのディストピアの世界では、自己中心主義やエゴセントリズムの問題は大きな課題だ」という内容の会話が聞こえてきます。