無機質なハンマー・ビートで疾走する噂の4人組 YOLZ IN THE SKY

ヨルズインザスカイ   2009/11/10掲載
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無機質なハンマー・ビートで疾走する噂の4人組 YOLZ IN THE SKY
 人力テクノ。生演奏ハウス。などと言ってしまうとやや乱暴だろうか。ノイ!クラスターYMOディスヒートスーサイド、あるいは、ゆらゆら帝国などが思い浮かぶ。大阪在住の4人組、YOLZ IN THE SKY(ヨルズ・イン・ザ・スカイ)。何かと同じ関西ということで、関西ゼロ世代周辺と比較されたりもしてきたが、シンセと思しきギター音、金切り声にも似たヴォーカル、淡々とデッドなビートを刻むドラムとベース、それらが組んず解れつ混合してできあがったサウンドは、どこにもコアがなく、徹底してスカスカで無機質な空間を狙ったような特有の空虚さに満ちている。PANICSMILEの吉田 肇がプロデュースしたニュー・アルバム『IONIZATION』を発表したばかりのYOLZ IN THE SKYから、ギタリストの柴田健太郎に、音作りのポリシーと新作についての話を訊いた。


――ここ最近はかなり多くステージをこなしていますが、ライヴ・バンドとしてのスキルが上がってきているという自覚は結構あるのですか?


柴田健太郎(以下、同) 「いや、それほどでもないですね〜。ただ、今回のアルバムを作るに際しては、リズムは特にBPMを常に一定にできるようにということは意識していました。人力でやってきているので、やっぱりズレが出てしまうんですよね。でも、それを極力なくすように努めました」


――なぜ、リズムをジャストにしたいと?
 「前のアルバムを出してから、ハウスとか──例えば(リカルド・)ヴィラロボスとかを聴いていて。結構いいなあと思って影響を受けていたんです。でも、僕らはバンドやから、機械とかを入れずに徹底して人力でこういう感じをやりたいって思って。ライヴで再現できるようにしたかったんですよね。今は熱いバンドより、ハウスっぽいものの方が刺激的なんですけど、自分たちでやる時は生演奏。無機質な感じと有機的な感じをうまくミックスしたいという意識が出てきたってことなんでしょうね。結成した頃は、あまり何も考えてなくて、もう、ただ初期衝動で(笑)」
――音に対する意識が変化してきた背景にはどういう思惑があったからなのですか?
 「結成した頃はポスト・パンクとかジャーマン系〜クラウト・ロックとかが好きだったんです。でも、実際に演奏する時はプラス、プラス、ばかりで押し切ってたところがあったんでしょうね。メンバーみんなでぶつかりあう、みたいな。でも、音の激しさじゃなくて、“引く”けど過激、みたいなのがイイなと思えてきたんですよね。もともと持っているものが変わったというより、見せ方が変わってきたんでしょうね」


――力技で聴かせるのではなく。
 「そうです。“ここでこう来るか!”みたいな意外性とか。特に僕のパート、ギターはそういうところがありますね。リズムが無機質でスクエアだから、余計にギターで音色とかで工夫するようなことをやろう、という気持が出てきたところもあります。今回の作り方としては、まあ、スタジオでのセッションはセッションなんですけど、まずはドラムがリズムを叩き出して、そこにギターとベースが入ってきて、最後は歌、という感じでした。今まではいっせいにゴシャッとみんなで作っていたんです。やっぱりクラブ・ミュージックを意識していたというのがあったのかもしれないですね。前のアルバムの時にはそういう作り方をしていなかったので」



――音の組み立て方や構造はクラブ・ミュージックだけど、全体的に低音が薄くて、スカスカな印象もある。
 「そうですそうです。そこはギターの音色とかでそうしているところはあります。隙間を生かして弾いてみたり。面白い音、ギターっぽくない音を出してみたりするのも好きです。シンセの音が好きなんで。そうやって自分でヘンな音を探すのが好きなんですよ。そういう意味では、ソニック・ユースのギターの音とかには影響を受けましたね」
――なるほど。確かに金属的なギター音で、鍵盤がいる印象さえありますが、エフェクター類でかなり音を操作することがお好きそうですが……。
「好きですね。一時期はエフェクターを200個くらい持ってました(笑)。とりあえずいろいろと試してみたかったんですよ。で、とにかく試奏せずに買いまくって。試奏したらダメなんですよ。もう音がわかってしまうんで。で、どんどん買って、どんどん絞っていって、厳選して残ったものが今ライヴで使ってるものなんです。アンプやギターも含めて、音に関しては自分なりに、いろいろこだわっています」
――今回プロデュースしているPANICSMILEの吉田肇にも、そういう音へのこだわりはあらかじめちゃんと伝えたのですか?
 「そうですね。まず、吉田さんとは、彼が秋葉原のグッドマンに務めている時に出させてもらってからのつきあいなんですけど、レコーディングを一緒にやりたいって連絡をくれて。とにかくテクノっぽい感じとかでやろうってところは一致していました。特にドラムの音をデッドにしたいというところは最初から決めていました。で、それならってことで、YMOの『テクノデリック』みたいな音にしようって意識で、吉田さんの親戚が持っている、名古屋の山の中の蔵みたいなところでレコーディングしたんです(笑)。そういうところで、これまでの自分たちの作品とは違う仕上がりになったと思いますね。とにかく、バンドとして、常に突き抜けていたいんですよ。あまり横のつながりとかを意識せずに。そのためにも、アルバムごとに他がやっていないようなこと、やりたいことをちゃんと決めて作っていけるような環境でいたいと思っています」


取材・文/岡村詩野(2009年10月)
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