1996年5月13日、
奥田民生プロデュースのもとシングル「
アジアの純真」(作詞:
井上陽水 作曲: 奥田民生)で鮮烈なデビューを果たした
PUFFY。「アジアの純真」はミリオンヒットを記録し、その後も「
これが私の生きる道」「
渚にまつわるエトセトラ」「
愛のしるし」など数々のヒット曲を連発、日本のポップミュージック・シーンに唯一無二の存在感を刻み続けてきました。
そして、デビューからちょうど30周年記念日となる2026年5月13日に、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて〈One Night “Birthday” Carnival〉を開催。その公演の模様をお届けします。
[ライヴ・レポート] 1996年5月13日に「アジアの純真」でデビューしたPUFFYが、ちょうど30周年を迎えた同日、LINE CUBE SHIBUYAで記念ライヴを行った。超満員の会場が暗転すると、「それが私の生きる道」のリミックス・ヴァージョンに乗せてスクリーンに歴代の写真が投影され、一気に熱気が高まる。そして、真っ赤な照明に照らされたステージに2人が現れ、エモーショナルな名曲「誰かが」を歌い始めて幕を開けた。
ステージに向かって右が大貫亜美、左が吉村由美という定位置に立ち、その周りを4人のバンドメンバーが囲むようにサポートする。上手から新井弘毅(ギター)、渡辺シュンスケ(キーボード)、山口美代子(ドラムス)、そしてバンマスでもある木下裕晴(ベース)というお馴染みの顔ぶれだ。続く縦ノリのパンク・スタイルの「妖怪PUFFY」では、サウンドは完全にロックバンド仕様。亜美・由美も激しく体を揺らしながら息の合ったヴォーカルを聴かせる。
「実は30年前の今日も渋谷にいた」というトークから、「新しい歌から懐かしい歌までたくさん歌うよ」と言って、オールドスタイルのロックナンバー「パフィーのツアーメン」、アッパーなビートの「SUNRISE」、少しブルージーな「DE RIO」と続く。最新のアーティスト写真と同じカラフルなパッチワーク風の衣装をまとった2人は、ときにソロを取り、ときにユニゾンとハモリを使い分けるなど、PUFFYならではのヴォーカルスタイルを見せつける。バンドのアクションも徐々にアグレッシヴさを増し、いつしか観客も総立ちとなった。
ひと盛り上がりしたところで、「昨日何してた?」「何食べた?」という脱力トークで和ませる。このあたりがPUFFYらしい。観客に「遠くから来た人いる?」と問いかけ、「台湾!」というファンの声に大いに盛り上がった。「新しめの曲をやるよ」と言って披露したのは「CHOEGOIST」。レゲトン・ビートにラップ風ヴォーカルが乗るユニークなナンバーで、スクリーンに歌詞が映し出される趣向だ。続く「ナイスバディ」で一気にロックンロール・サウンドへと転じ、オーディエンスは拳を突き上げてヒートアップ。さらにソウルフルでメロウな「プールにて」でクールダウンするなど、緩急の付け方も巧みで、2人の歌のキャッチーさが際立つ。
ここでスペシャルゲストの奥田民生が登場。「30周年ってマジ?なんか恥ずかしくない?」という爆笑トークで盛り上げ、3人がヴォーカルを交互に取る「パフィーのHey! Mountain」を披露。さらにステージ中央にソファとちゃぶ台風のテーブルが置かれ、民生を挟んで3人が座り、ギター1本で「これが私の生きる道」を演奏するというサプライズも。後半では由美と亜美のハーモニカ演奏も飛び出した。続いて、3人のみで「誰がそれを」を熱唱。3人によるアコースティック編成はレアな試みということもあり、大きな拍手が送られた。
バンドメンバー紹介を挟み、民生が去った後のステージには、ギターのmasasucksがここから参加。「君とオートバイ」で再び勢いを加速させ、「JOINING A FAN CLUB」とハードな楽曲を畳みかける。続いて、黄色いヘルメットと白い軍手を着けた謎のダンサー4人が登場する「モグラライク」、キッチュな東京を映し出した映像とともに披露される英語曲「Tokyo I’m On My Way」と展開していく。
そしてダンサブルなディスコ・ビートから、大ヒットチューン「渚にまつわるエトセトラ」へ。テンションは最高潮に達し、そのままダンス動画でリバイバルヒットの記憶も新しい「愛のしるし」へとなだれ込む。会場中が大合唱となり、一体感に包まれたところで、2人はファンへの感謝を伝え、ピアノから始まるしっとりとした「Bye Bye」で本編を締めくくった。
長い拍手のあと、Tシャツに着替えたメンバーとともにPUFFYが再登場。さらに奥田民生も戻り、ヴォコーダーが用意される。演奏されたのはもちろん、「30年間歌っていない時がなかった」という大切なデビュー曲「アジアの純真」。この日のクライマックスにふさわしいスペシャル・ヴァージョンとなった。そして「初めてPUFFYとしてレコーディングした曲です」と紹介して披露された「とくするからだ」で穏やかに幕を閉じる。大歓声とスタンディングオベーションに包まれながらステージを去ったPUFFY。しかし最後に「おまけ」として、亜美がカラオケで歌う映像が流れる遊び心も忘れない。こうしたところも実にPUFFYらしい。
30年という長い年月を活動し続けてきたPUFFY。ミリオンヒットの連発や世界進出という実績を持ちながらも、常に自然体でマイペースな存在であり続けている。山あり谷ありの歩みの中で、2人が変わらずユニゾンで仲良く歌い続けてきたことは特筆すべきだろう。これからも続くアニバーサリー企画を含め、今年はPUFFYらしさを存分に味わえる1年になりそうだ。





文: 栗本斉
撮影: 三浦憲治