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輸入盤が海外発売日に日本の店頭に並んでいるのはどうして?

2006/02/17掲載
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輸入盤が、海外発売日と同日に店頭に並んでいるのをご覧になったことはあるかと思います。海外から仕入を行なうのだから、遅れるのが普通では……、と思いませんか? その謎について、今回は簡単に説明させていただきます。
 海外発売日と同時に日本の店頭に並んでいる商品には、共通する点があります。それは、世界的な販売網を誇るメジャー・レーベルの商品であるということです。つまり、基本的にはEMI、Sony BMG、Universal、Warnerの4社に属するアーティストの作品ということになります。もちろん、その系列レーベル(例:Virgin=EMI、Jive=Sony BMG、Geffen=Universal、Reprise=Warnerなど)の商品も含まれます。
 
 それらメジャー4社は、日本にも存在していることはご存知かと思います。日本で言うところの東芝EMI、ソニーミュージックエンタテインメント、BMGジャパン、ユニバーサル ミュージック、ワーナー・ミュージック・ジャパンです(日本ではソニーとBMGジャパンは単独のレコード会社として認識されています)。これらのレコード会社は、いずれも輸入盤のみを扱う部署・系列会社を持っており、そのセクション(以下、便宜上“輸入盤セクション”とします)が日本国内で自社の輸入盤を卸販売しているのです。なお、ビクターエンタテインメントもこの輸入盤セクションを持っており、日本での販売契約を結んだレーベルの商品を取り扱っています。

 当然のことながら、CDは発売日になってからパッケージ化されるのではなく、余裕を持って事前に販売できる形になっています。そこで、海外発売日と同時に日本でも販売できるように、海外の親会社から日本の輸入盤セクションへと商品を手配し、国内のCD店に卸しているという訳です。もちろん、これは同じ系列の会社であるから可能なこと。だからこそ商品の原価は安く抑えることができ、販売価格はお手頃になります。加えて、輸入盤セクションは通常、ある程度のストックを在庫として持ちますので、日本国内でも安定した流通ができるのです。

 しかし、海外で発売されている作品は膨大な数になります。そのため、輸入盤セクションがすべての自社輸入盤を扱うということではありません。“日本で販売の見込める作品”に限定されています。それ以外の輸入盤はCD店が独自に仕入を行ないますので、航空便の関係などにより入荷日にはバラつきが出てしまうのです。従って、海外発売日と同時に店頭に並ぶ商品とそうでない商品が出てしまいます。

 さらに、輸入盤と言ってもUS盤、UK盤、EU盤など数種類のプレスが存在しており(中には日本流通のみを目的にプレスされた輸入盤も存在するほど)、その中でどの盤を扱うのかはケース・バイ・ケース。US盤はCCCDではないのに日本で流通しているのはCCCDのEU盤ばかり、という場合があるのはその為です。もちろん海外のディストリビューターを経由して、CD店が独自にCCCDではない盤を仕入れることは可能ですが、どうしても価格は割高になってしまいます。よほど販売が見込めると判断しない限り、CD店としては二の足を踏むというのが現状ではないでしょうか。

 何はともあれ、時には国内盤より\1,000近くも安いことがある輸入盤が、一日でも早く店頭に並ぶのはありがたい話。ボーナス・トラックや歌詞・対訳にこだわらなければ、お得なのは間違いありません。メリット、デメリットを考えつつ、賢い買い物をしてみましょう。
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