e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活 - [注目タイトル Pick Up] ウェイン・ショーター『EMANON』はハイレゾ音源とフィジカルのノベルで楽しむべし / 混声ヴォーカル・グループ、ヴォーチェス8の“魔法の声”
掲載日:2019年2月26日
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注目タイトル Pick Up
ウェイン・ショーター『EMANON』はハイレゾ音源とフィジカルのノベルで楽しむべし
文/國枝志郎

 ディスクは2018年9月に3枚組という大作としてリリースされたサックス奏者ウェイン・ショーターの新作がついにハイレゾ(44.1kHz/24bit)でお目見え。2013年リリースで、じつに43年ぶりとなったBlue Noteレーベル復帰作『ウィズアウト・ア・ネット』(残念ながらハイレゾ未配信)からおよそ6年の歳月を経てリリースされた本作『EMANON』は、1曲目の冒頭のピアノの一撃から聴き手にショックを与えるだろう。15分近くにもおよぶ長尺トラックは、開始後しばらくウェインのサックスとダニーロ・ペレスのピアノによる対話が続いたと思うと、3分前あたりから流麗なストリングス・オーケストラの響きが入ってくる。そう、このアルバムのCDでは1枚目にあたるトラック1から4は、前作と同じカルテット(ダニーロ・ペレス〈p〉、ジョン・パティトゥッチ〈b〉、ブライアン・ブレイド〈ds〉)、およびニューヨークの著名な室内オーケストラであるオルフェウス室内管弦楽団とのコラボレーションである。ビッグバンドをはるかに凌駕するラージ・アンサンブルとウェインらによる引き締まった響きのカルテットは、15分という長い時間軸の中で緊張と弛緩を繰り返し、きわめて精緻なアンサンブルで今まで聴いたことのない世界を描き出して圧巻。これはライヴではなく、今どき豪華なセッション・レコーディング(2016年)であるということも奏効しているに違いない。いっぽうそれ以降のトラック5から10(CDではディスク2と3にあたる)は、カルテットのみの演奏だが、こちらはオルフェウスとのセッションに先立つ2015年、ロンドンはバービカン・センターでのライヴを収録したもの。こちらは前作『ウィズアウト・ア・ネット』のフォローアップとしてのライヴで、よりいっそうアブストラクトな音世界が現出する。ちなみにこのアルバムのフィジカル盤には少年時代から漫画を描いていたというウェイン自身の原作(モニカ・スライとの共作)、ランディ・ダバークのイラストによるグラフィック・ノベルが付随しており、哲学的な内容をともなったトータルアートになっているので、フィジカル盤も手に入れてノベルを読みながら音はハイレゾで楽しむというのがファンならではの聴き方かもしれません(大変ですけど)。


 プリズム〜ザ・スクエア〜はにわオールスターズと渡り歩き、今では作編曲家としてもさまざまな方面で活躍するピアニスト/キーボーディスト、久米大作がプロデュースするアコースティック・ユニット、Birth of Aria。“アリア(歌)の誕生”。素敵なユニット名だよね。このユニットの最初の作品は2017年9月にリリースされた久米大作名義での『Birth of Aria』。そのアルバムの発表時に久米が出したコメントはこうだ。“「ぼくらの音楽が生まれる時間に立ち会っていただきたい。」そんな思いからこのアコースティック・ユニットは生まれました。音楽が誕生する時間は、その音楽が作曲されたときではなく、音が人と人をつないだときだと考えています。音を奏でる演奏者同士も、聴き手ともひとつの音楽でつながり、そこに生命が宿るが如くあたらしい関係が誕生するのです(後略)”。うん、素晴らしい概念だと思う。そのコメントの続きに“今回の作品は生まれたままの音楽を、できるだけそのままお届けしたいと初めてのハイレゾレコーディングに取り組みました”とあるように、そのハイクオリティな音楽をそのまま聴き手に届けるために、久米はハイレゾを最初から志向したのである。それに続く第2作は、ユニット名をあらためてBirth of Ariaとし、『Traveling Music』というタイトルでリリースの運びとなった。参加メンバーは、四家卯大(vc)、藤井玉緒(perc)、牛山玲名(vn)、三浦咲(マリンバ)というアコースティック楽器の名手たち。久米はここにピアノで参加。そして2曲目の「Kioku〜Memory」には、オーガニックな声が美しいカヒミ・カリィがヴォーカルで参加するという豪華さも。すべて久米の作編曲で、しかも前作同様このセカンド・アルバムもハイレゾとしては最高スペック(192kHz/24bit)のみでの配信と、久米がこのユニットにかける意気込みは相当なものだ。ならば次回はぜひDSDにも挑戦していただきたいとお願いを書いておきます(笑)。


 プリファブ・スプラウトと聴くと落ち着いてはいられないファンはじつはけっこういるはずだ。ほら、このタイトルを見ただけで「え? プリファブ・スプラウトの新作? マジ?」ってネットの海を彷徨い始めるひとはかなりいると思う。2013年の『クリムゾン / レッド』に続く新作か! と……。だがちょっと待って。じつはこのアルバム、純粋な意味でのプリファブ・スプラウトの新作ではない。本作は、プリファブ・スプラウトの頭脳であり、現在ではユニットの唯一のメンバーでもあるパディ・マクアルーンのソロ名義でEMI傘下のLibertyレーベルから2003年にリリースされたアルバムを、名義をプリファブ・スプラウトに変え、アートワークを変更し、音源にはリマスターを施したもの、というと、なーんだ、じゃあべつにいいか、と思いこんじゃうのはちょっと決めつけが早すぎます。そもそもプリファブ・スプラウトは『アンドロメダ・ハイツ』(1997年)以降のアルバムはほとんどパディ・マクアルーンのソロ・プロジェクトみたいなものだし、実際2001年に本作と同じLibertyからリリースされたプリファブ・スプラウト名義での『ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ』と、2009年に突如リリースされた『レッツ・チェンジ・ザ・ワールド・ウィズ・ミュージック』の間に位置する本作は、その前後のアルバムと比べても遜色のない仕上がりだし、なによりパディ・マクアルーンという頭脳が今回このアルバムをプリファブ・スプラウトの作品と認めてリイシューに踏み切ったのは、このアルバムをひそかに愛聴していたファンにとっても朗報ではないだろうか。もちろん、もともとソロとして作られたこともあって、1曲目が22分もあるし、しかもパディの声は入っておらず、オーケストラと女性の語りで綴られるエクスペリメンタルなトラックだし……、と脅かしているようですがそうではありません。エクスペリメンタルであってもパディならではのポップさはガンガン伝わるし、実際全9曲のうちパディのヴォーカルが聴けるのは1曲だけではあるけれど、プリファブ・スプラウトでしか描けない音風景があちこちに広がっているのは間違いないのである。ちなみに本作はプリファブ・スプラウトの初のハイレゾ(44.1kHz/24bit)リリースである。現在制作中といわれている純粋なプリファブ・スプラウトの新作も期待して待ちたいところだ。


 80年代に“レア・グルーヴ”と称してDJなどを中心にディスコやソウル、R&Bなどの埋もれた音楽を発掘していこうという動きが活発化した際には、ほんとうにさまざまな音源が中古盤として流通したり、CDに復刻されてより多くのリスナーが簡単にそうしためずらしくも優れた音源に触れる機会が圧倒的に増えたと実感したものである。もちろん、DJのいわゆる“ネタ”探しの原点でもあり、そうしたネタがフックとなってその後のヒップホップやハウスの大隆盛にレア・グルーヴがもたらした功績は語りつくせないほどあるだろう。そうした流れはその後すっかり定着し、CDが売れない時代に突入した現代にあっても、まだ見ぬ(聴かぬ)音源を探して世界中を飛び回る愛好家は後を絶たない。売れるか売れないかわからない新譜よりも、むしろ内容は素晴らしいのにプレス枚数が少ないとか当時は理解されずに埋もれてしまったアーティストのアルバムを復刻したもののほうが確実に売れるという事実も現実としてあるわけで、それによって今でもときどきおおっと思わせるレア音源がいきなり復刻や発見されてリスナーを驚喜させるのである。しかも、ハイレゾ時代だからかつてのアナログ音源がハイビット、ハイサンプリングのハイレゾ音源として登場する機会も増え、ハイレゾ愛好家のハードディスク・ライブラリーをどんどん圧迫していくわけだ(笑)。このアフロ・ブルー・パースエイジョンのアルバムもそんなレアな一枚。60年代にアメリカはベイエリアのラテン・ジャズ・シーンで活躍したヴィブラフォン/フルート奏者ユリシーズ・クロケット率いるユニット、アフロ・ブルー・パースエイジョンの、1967年作のアフロ・キューバン・ジャズの未発表秘蔵ライヴ音源が52年の歳月を経てハイレゾ(44.1kHz/24bit)で登場と相成った。LPやCDも出ているけど、やはりこのタイムスリップ感をめいっぱい味わいたいならいきなりハイレゾで聴くべし。アントニオ・カルロス・ジョビンの「イパネマの娘」やクラシックの名曲「アヴェ・マリア」(グノーのやつ)、セロニアス・モンクの「ストレート・ノー・チェイサー」など、激名曲満載。しかしこういうのがいきなりハイレゾで登場するというのも時代ですね。


 グ、グリーン・リヴァーの諸作がハ、ハイレゾ化だとぉ? いやこれはびっくり。1991年に出て世間にハードでヘヴィでオルタナティヴな“グランジ”というダーティ・ワードを一般レベルにまで広めたニルヴァーナの『ネヴァーマインド』こそ“グランジ”の代名詞となってはいるけど、オリジネイターはグリーン・リヴァーだ。1984年にアメリカのシアトルでヴォーカル&ギターのマーク・アーム、ギターのスティーヴ・ターナー、ドラムのアレックス・ヴィンセント、ベースのジェフ・アメンらによって結成されたグリーン・リヴァー。同じころにシアトルで結成されたクリス・コーネルを擁するヘヴィ・ロック・バンド、サウンドガーデンなどとともに、彼らの存在こそがその後90年代に入って大きな展開を見せるグランジ・ロックの萌芽となったのである。グリーン・リヴァーは1988年6月にファースト・アルバム『Rehab Doll』をリリースするが、バンド自体はそのリリースを待つことなくすべてのメンバーが音楽性の違いのためにバンドを脱退することで解散していたという、悪い冗談のような話があるのだが、この解散がなければその後のグランジ・シーンはもっと違ったものになっていたかもしれない。グリーン・リヴァーの解散がその後パール・ジャム、マッドハニーというふたつの重要なバンドの結成を導くのだから……。今回ハイレゾ(96kHz/24bit)でのリリースとなったのは彼らの唯一のオリジナル・アルバム『Rehab Doll』(1988年)と、コンピレーション・アルバム『Dry as a Bone』(オリジナルのEP発売は1990年)のデラックス・エディションで、どちらもシアトルの代表的オルタナティヴ・レーベル、サブ・ポップからのリリース。デラックス・エディションということで、オリジナル収録曲に加え、多数のボーナス・トラックが収録されている。どちらかというのであればやはり『Rehab Doll』だろう。切迫しながらも異様なポップさも聞き取れるこのグリーン・リヴァーのサウンドは、粗削りながらその後のグランジの成功を予見させるものが間違いなくあるし、まさかの高音質なハイレゾ化は意外なほど彼らのリアルな息吹きを伝えてくれている。

混声ヴォーカル・グループ、ヴォーチェス8の“魔法の声”
文/長谷川教通


 故郷を“Enchanted Isle(=魔法の島)”と呼べるって、なんて素敵なことだろうか。中世から続く歴史を今に伝える遺跡や伝説。イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド……それぞれの地域に残る民謡を歌うヴォーチェス8の声はみごとなまでに洗練され、有名な「ダニー・ボーイ」のメロディが極上のア・カペラ作品に仕上がっている。映画『ロード・オブ・ザ・リング』で歌ったエンヤの声にも劣らない魅力あるソプラノ。2003年にウェストミンスター寺院聖歌隊の出身者たちによって結成された男声5、女声3の8人で構成されるヴォーカル・グループだ。2005年、イタリアのゴリツィア国際合唱コンクールで優勝して以来、イギリスはもちろんヨーロッパ各地、アメリカ、アフリカ、アジアと精力的に演奏活動を行なっている。日本へは2016年、2018年と訪れている。
 彼らの録音は、たんにマイクの前で8人が歌うというだけのア・カペラではなく、マイクとの距離を変化させたり、録音する場所の響きを生かして奥行き感を描き出したりと、いわば声による空間演出を行なうところが聴きどころ。
 たとえばアルバム『Lux』(=光)ではタリスから現代まで、ヴォーカル・アンサンブル400年の歴史を感じさせるプログラムだが、アレグリの「ミゼレーレ」をぜひ聴いてほしい。声のハーモニーの美しさ、まるで天から降り注ぐようなハイトーンの歌声。その距離感、タイミング、音程……ウーン、これこそ“Enchanted Voices(=魔法の声)”だ。


 パーヴォ・ヤルヴィがNHK交響楽団の首席指揮者に就いたのが2015年の8月。いよいよ成熟への階段を上りはじめたのだろうか。初めの頃こそヤルヴィの要求に食らいついていくといった緊迫感が聴き手を楽しませてくれたのだが、マーラーの編成が大きくて複雑きわまりないオーケストレーションを、これほど高い完成度で演奏できるとは、ヤルヴィとN響のパートナーシップがきわめて高いレベルに達していることを示している。2017年春のヨーロッパ・ツアーでも第6番を演奏し、ベルリンやケルン、ロンドンの聴衆を唸らせたのもうなずける。この成果が2021年8月までという契約期間の延長につながったのだろう。この録音はツアーに先駆けて横浜で収録されたライヴだ。ヤルヴィの解釈はあくまで理性的で、楽譜に書き込まれたディテールをクリアに描き出す。終楽章の緊密なアンサンブルとアグレッシヴな打楽器と金管……研ぎ澄まされた音は激しくとも荒々しさの一歩手前でコントロールされている。極限のバランス感覚ではないだろうか。恣意的な鮮烈さや感傷的な盛り上がりで聴衆の耳を刺激するような表現とはまったく無縁なのだ。
 圧倒的なダイナミックレンジ、細部を明瞭にとらえる解像度の高さをきっちりととらえた録音の良さ。DSF2.8MHz/1bitと96kHz/24bitで配信されているが、この音源についてはDSFファイルをオススメしたい。



 “GRAND PIANO RECORS”というレーベル。グランドピアノと銘打つくらいだから、ずばりピアノの専門レーベルに違いない。2012年に設立され“ピアノのための希少なレパートリー”をすばらしい演奏で録音していて、しかも採り上げる作曲家が面白い。サティやエネスクなどはまだ知られているとして、フィンランドのクーラとかロシアのチェレプニン……など、おそらく“そんな作曲家がいたの?”と新発見の連続だろう。それにしても希少な作曲家の希少な作品を配信で聴けるのは音楽ファンとして嬉しいし、意味のあることだろう。
 今回はミハイル・グリンカを採り上げよう。「ルスランとリュドミラ」序曲は有名だが、ピアノ作品となると聴く機会がとても少ない。1804年、貴族で富裕な地主のもとロシア帝国に生まれ、少年の頃から音楽に興味を持ち、サンクトペテルブルクを訪れたジョン・フィールド(初めて「ノクターン」を書き、ショパンに大きな影響を与えた)にピアノを学んでいる。そんなグリンカがどんなピアノ曲を書いていたのだろうか。
 第1集は『ヴァリエーション』。もともと彼は音楽家になるつもりはなく、公務員として働きながらサロンで演奏するために変奏曲を書いたりしていた。30代半ばでイタリアに移住し、そのころ流行っていたオペラのテーマを使った変奏曲を書いて人気を博していたという。いかにもサロンふうなオシャレでチャーミングな曲が並んでいる。その後ロシアに戻り、やがてロシア的な音楽を書きたいと考えるようになっていく。
 第2集は『ダンス』で、こちらはワルツやポルカ、マズルカやフランスふうのカドリーユなど、優雅で愉しげな曲ばかり。演奏するインガ・フィオリアはトビリシ生まれのグルジア系ドイツの女流ピアニスト。7歳でコンチェルト・デビューを果たし、モスクワ音楽院やケルン音楽舞踏大学で学んだ期待の若手で、とてもクリーンな音色と華やいだ雰囲気で聴かせる。


 Warner Classicsレーベルに続いてUNIVERSALレーベルもMQA音源をリリース開始。いよいよMQAエンコードが一般化するのだろうか。早速ネマニャ・ラドゥロヴィッチのアルバム『バイカ』(セルビア語でおとぎ話)を聴こう。彼はセルビア人で1985年ユーゴスラヴィア生まれ。戦火の中、ベオグラードで成長した。長髪にひげ面で、まるでロック・スターのような出で立ちが話題のヴァイオリニストだが、たしかに独特のテンポ感やアクセント、音色感を持っていて、東欧系や南ロシア系のプログラムになるとほかの演奏家には真似のできない雰囲気を醸し出す。ハチャトリアンのヴァイオリン協奏曲ではもう第1楽章から快刀乱麻のスピード感とキレの良さ。第2楽章のノスタルジックで何とも切ない歌わせ方や間のとり方がじつに巧い。クライマックスでのオケとヴァイオリンの乱舞も鮮烈。オケはチャイコフスキーの協奏曲でも共演したボルサン・イスタンブール・フィルハーモニー管弦楽団だ。
 「シェヘラザード」はヴァイオリンと弦楽四重奏+ピアノというセドラーによる編曲版だが、とても濃密で妖艶な表情づけが印象的で、さらにピアノが入ることで音色の多彩さやアタック感も出てくる。何度聴いてもハッとさせられる。すばらしい編曲だ。クラリネット三重奏曲では、なんとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のトップ、アンドレアス・オッテンザマーが加わっている。パーカッションも加わったラストの2曲はまさにターキッシュダンスのノリで、これぞネマニャの面目躍如。
 再生はiMac(OSはEl Capitan)にAudirvana Plus(Version3.2.15)をインストール、USB-DACはメリディアンのMQAデコードに対応したExplorer2。MQA音源とflac音源を比較試聴したが、いくぶんMQAのほうが音像が明確になるものの、その差はきわめて小さい。ところがアルバム全体のファイル・サイズでは、flac音源が1.67GBなのに対してMQA音源が889MBと半分近くになる。96kHz/24bitでこの差だが、192kHz/24bitになると4分の1近くにもなる。それなのに音質はほとんど変わらない。ポータブルのDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やストリーミング・サービスなどでは、このMQAエンコードの効率の良さはきわめて有利だと言えそうだ。






 日本コロムビアから注目のレーベルが出現。その名も“Opus One”。20代の若いアーティストを積極的に発掘して、彼らの“作品1”として録音し世に送り出していく。最近の若い世代の演奏能力はきわめてレベルが高くなっている。ただし、技術的に図抜けていても、聴くものの心をとらえ、大きな感動をもたらすパフォーマンスを発揮できることが必須。そんな芸術とエンターテインメントを融合させることのできる才能を求めるというのだ。第1期は5人の演奏家がデビューした。プログラムにかならず邦人の作品を入れるというコンセプトも興味深い。
石上真由子:ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタを弾く石上真由子は、すでに優秀なコンクール歴を持ち、国内外のオケとも共演している。また長岡京室内アンサンブルのメンバーとしても活躍する。聴き手に挑みかかるかのような強烈な音色と生々しいまでの鮮烈な録音。
鈴木玲奈:ソプラノの鈴木玲奈は華やかなコロラトゥーラの技術と美しい声。音程も安定している。聴き手を魅惑する天賦の才能。「今日もひとつ」ではしっとりとした抒情が素敵だ。日本音楽コンクール優勝をはじめ数々の受賞歴。オペラやコンサートのステージで活躍する。
古海行子:古海行子は昭和音大ピアノ演奏家コースに在学。第4回高松国際ピアノコンクールで優勝する。ときにはダイナミックに、ときには揺らぐようなロマンティシズムを映し出すシューマンの難曲、ソナタ第3番で聴かせる伸びやかで瑞々しい感性がすばらしい。
秋田勇魚:秋田勇魚のギターには音の周りに漂うような空気感がある。テクニック偏重の演奏からはけっして感じられない音の世界がある。ロンデーニャでは颯爽とした風を、アクアレルでは郷愁を誘う風景を音色で魅せる。多くのコンクールで優勝した期待のギタリスト。
笹沼 樹:なんて豪快なチェロだろうか。190cmを超える長身で奏でる浸透力のある音色と骨太の感性が笹沼樹の武器だろう。カサドの「親愛の言葉」では冒頭から聴き手を豊かさで聴き手を包み込む。低音弦の強靱さも凄い。スケールの大きなチェリストへ成長してほしい。

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