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この駅に行ったら聴きたくなる! 駅名が歌詞に登場する楽曲

2026/08/21掲載
実在する駅名が歌詞に出てくる楽曲が知りたい!
 電車に乗っているとき、ふと聴きたくなる曲があるように、訪れた場所によって「この曲を聴きたい」と思うこともあるのではないでしょうか。なかでも駅は、出会いや別れ、旅立ちなど、さまざまな物語が生まれる場所。そんな駅の名前が、実際に楽曲の歌詞に登場することも少なくありません。

 今回は、歌詞に実在する駅名が登場する楽曲をピックアップ。曲を聴きながら、その駅のホームや街の風景に思いを馳せるもよし、実際に駅を訪れてから曲を聴いてみるもよし。いつもの楽曲が、少し違って聴こえてくるかもしれません。

石川さゆり「津軽海峡・冬景色」|青森駅
 1977年元旦に発表された石川さゆりの代表曲「津軽海峡・冬景色」。作詞を阿久悠、作曲を三木たかしが手がけた本楽曲は、発売から半世紀近く経った現在も歌い継がれる昭和歌謡の名曲です。第19回日本レコード大賞では歌唱賞を受賞し、石川の代表曲として広く知られています。歌詞に描かれているのは、上野駅から夜行列車に乗り、雪の降る青森駅で下車した人々の旅。駅から青函連絡船へと乗り継ぎ、津軽海峡を渡って北海道・函館へ向かうという、当時の首都圏から北海道への移動の一場面が描かれています。現在では青函連絡船に代わって北海道新幹線が津軽海峡を横断していますが、青森駅は今も北海道への玄関口のひとつ。実際に駅を訪れ、かつて多くの人が北海道を目指して乗り継いだ場所に立ってみれば、あらためて「津軽海峡・冬景色」を聴きたくなるかもしれません。



あいみょん「ハルノヒ」|北千住駅
 あいみょんが2019年にリリースした「ハルノヒ」(写真)は、映画『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』の主題歌として書き下ろされた楽曲。野原一家の父・ひろしが、妻・みさえと歩んできた日々や、これから続いていく家族の未来を思わせるような、温かく優しい一曲です。そんな「ハルノヒ」と深い関わりを持つ場所が、東京・北千住駅。映画では、野原ひろしがみさえにプロポーズした場所として北千住駅が登場しており、同時に野原一家が誕生した場所でもあります。楽曲のタイトル「ハルノヒ」も、野原一家が暮らす「春日部」に由来しています。夕暮れ時の帰り道を思わせるような情景や、大切な人の顔が自然と浮かんでくるような歌詞が印象的な本楽曲。家族や恋人など、かけがえのない人との何気ない日常をそっと肯定してくれるような楽曲だからこそ、北千住駅を訪れた際には、ぜひこの曲を聴いてみたくなります。映画を観たことがある人なら、ひろしとみさえの物語に思いを重ねながら駅を歩くのも楽しそうです。



乃木坂46「他の星から」|飯田橋駅
 乃木坂46の6thシングル「ガールズルール」に収録された「他の星から」は、宇宙や重力をテーマにした独特の世界観が魅力の一曲。日常の風景を舞台にしながら、どこか現実離れした物語が展開される、乃木坂46の楽曲の中でも印象的な作品です。ファンの間だけでなく、メンバーからも人気の高い楽曲として知られています。歌詞に登場するのが、東京・飯田橋駅と神楽坂。飯田橋を訪れた主人公が、いつもとは違う街の異変に気づくところから物語が始まり、見慣れた街も、そこに暮らす人々も、宇宙人や為政者によって作られた虚構なのではないか――という、現実と空想の境界が曖昧になっていくような世界へと引き込まれていきます。さらにMVでは、歌詞にも登場する神楽坂の甘味処「紀の善」でも撮影が行われました。飯田橋駅から神楽坂へと歩けば、楽曲の中に描かれた街の風景を実際に辿ることができるのも、この曲ならではの楽しみ方。普段見慣れた街も、「他の星から」を聴きながら歩けば、いつもとは少し違って見えてくるかもしれません。



爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~」|九段下駅
 爆風スランプを代表する名曲のひとつ「大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~」。手紙だけでやり取りを続けていた女の子に片思いする少年の物語を描いた、切ないラヴ・ソングです。少年は初めて彼女に会おうと、自らの貯金をはたいて武道館でのライヴ・チケットを送り、当日を心待ちにします。しかし、約束の時間になっても彼女は現れず、1人でライヴを見て帰ることに。淡い恋が静かに終わってしまうというストーリーが、多くの人の心を掴みました。タイトルにある「大きな玉ねぎ」とは、日本武道館の屋根の上に設置された擬宝珠のこと。遠くから見ると大きな玉ねぎのように見えることから、この印象的なタイトルが付けられています。また、2025年2月には、そんな「大きな玉ねぎの下で」にインスパイアされた映画も公開されました。映画では、互いの素性を知らないまま働く丈流(神尾楓珠)と美優(桜田ひより)が、連絡用のバイトノートを通じて距離を縮めていく物語が描かれています。楽曲から生まれた新たな物語をきっかけに、あらためて「大きな玉ねぎの下で」に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。



椎名林檎「歌舞伎町の女王」|新宿駅
 椎名林檎の1stアルバム『無罪モラトリアム』に収録された「歌舞伎町の女王」。デビュー・シングル「幸福論」に続く2ndシングルとしてもリリースされ、椎名林檎の名を広く知らしめた代表曲のひとつです。タイトルの通り、東京・新宿の歌舞伎町を舞台に、夜の街に生きる女性の姿を描いた印象的な楽曲となっています。歌詞には「新宿駅」が登場し、主人公が夜の街へと足を踏み入れていく様子が描かれます。巨大な繁華街を抱え、昼夜を問わず多くの人が行き交う新宿駅。その先に広がる歌舞伎町の華やかさと危うさを背景に、ひとりの女性のこの街で生きていく覚悟を描いた歌詞は、当時から強烈なインパクトを放っていました。今も多くの人が行き交う新宿駅を降り、歌舞伎町へ向かいながら「歌舞伎町の女王」を聴けば、楽曲が描いた街の空気をよりリアルに感じられるはず。時代とともに街の姿が変化していくなかで、1990年代の歌舞伎町を切り取ったこの曲を聴きながら歩いてみるのも、今回のテーマならではの楽しみ方です。



My Hair is Bad「卒業」|渋谷駅
 2016年にリリースされたMy Hair is Badのメジャー・デビュー・シングル「時代をあつめて」の収録曲「卒業」は、椎木知仁(g,vo)が作詞・作曲を手がけた、恋人との別れの切なさを描いた一曲。タイトルからは学校生活の終わりを思わせますが、ここで描かれる“卒業”とは、恋人からも友達からも離れ、2人の関係そのものに区切りをつけること。1番では友達に戻りたい彼氏目線、2番では恋人に戻りたい彼女目線で、それぞれの揺れる心情が描かれています。そんな2人の物語の舞台となっているのが、東京・渋谷駅前。1番では、2人で訪れたものの人の多さからなかなか2人きりになれず、どこかもどかしさを感じている様子が描かれます。そして帰りの電車の中で、偶然目が合った2人が手を繋ぐ――渋谷の喧騒のなかで、2人だけの時間が生まれる瞬間が印象的です。一方、2番では別れたあとに1人で渋谷駅を訪れます。しかし、そこでも街は相変わらず人で溢れ、「一人になれない」という状況が描かれることに。1番では「二人きりになれない」と感じていた渋谷駅が、2番では「一人になれない」場所として登場することで、2人の関係が終わったことをより鮮明に浮かび上がらせています。



ゆず「駅(恵比寿~上大岡)」|恵比寿駅・品川駅・上大岡駅
 ゆずが2003年に発表したアルバム『すみれ』に収録された「駅(恵比寿~上大岡)」。タイトルにもある通り、東京・恵比寿から横浜・上大岡までの道のりを舞台に、恋人と思われる相手との別れから自宅へ戻るまでの切ない時間を描いた一曲です。物語は恵比寿駅から始まります。好きな人と別れた主人公は、品川駅で乗り換え、京急線の“赤い電車”に乗って上大岡へ。朝まで一緒に過ごしたあと、ラッシュアワーとは逆方向の電車に揺られながら自宅へ帰るという、どこか寂しさの残る帰り道が歌われています。恵比寿から品川、そして上大岡へ――。実際の駅名がそのまま歌詞に登場することで、2人の時間が終わっていく感覚がよりリアルに伝わってきます。さらに歌詞には、当時の音楽シーンを感じさせる“ミスチルのCD”も登場。2000年代初頭の東京から横浜へ向かう電車の中で、好きな人との時間を思い返す主人公の姿が浮かんできます。恵比寿駅から品川駅へ、そして京急線に乗り換えて上大岡駅へ。同じルートを実際に辿りながらこの曲を聴けば、歌詞の中に描かれた“切ない帰り道”をより身近に感じられそうです。



はなわ「埼玉県のうた」|東京駅・深谷駅
 「ダンダンダンダダンダンダン」のフレーズでもおなじみ、はなわの「埼玉県のうた」。映画『翔んで埼玉』の主題歌としても知られる一曲で、埼玉県への自虐的なツッコミを交えながら、県民性や名所、名物など、埼玉の魅力をユーモラスに歌い上げています。そんな本楽曲には、埼玉県深谷市にまつわる“駅”のエピソードも登場。歌詞では、深谷の名物である深谷レンガが東京駅の建設に使われていることを紹介し、埼玉の意外な誇りをアピールしています。東京の象徴ともいえる東京駅と、埼玉県深谷市のつながりを知ることができる、ちょっとした豆知識です。ところが、ここで終わらないのが「埼玉県のうた」。深谷駅については、その外観が東京駅を思わせるレンガ造りに見える一方、実際の壁面にはレンガではなくレンガ風のタイルが使われているという、自虐ネタも披露。東京駅には本物の深谷レンガが使われているのに、深谷駅はレンガ“風”――という対比がなんともユニークです。東京駅と深谷駅。歌詞を知ってから両方の駅を訪れてみれば、埼玉ならではのユーモアをより楽しめるはず。東京駅を眺めながら「埼玉県のうた」を聴き、次は深谷駅へ足を延ばしてみるのも面白そうです。



DREAMS COME TRUE「大阪LOVER」|新大阪駅
 DREAMS COME TRUEが2007年にリリースした「大阪LOVER」は、大阪に暮らす恋人との遠距離恋愛を描いた人気曲。大阪を舞台に、なかなか会えない恋人への想いと、いつか大阪で一緒に暮らしたいという女性の心情を、関西らしい言葉や街の風景を織り交ぜながら描いています。そんな主人公が大阪へ向かう玄関口として登場するのが、新大阪駅。歌詞には、新幹線に乗って恋人のもとへ向かう情景が描かれ、大阪に着くまでの高揚感と、会えるまでの待ち遠しさが伝わってきます。東京と大阪を行き来する遠距離恋愛だからこそ、新幹線が到着する新大阪駅は、2人をつなぐ大切な場所として楽曲の中で印象的な役割を果たしています。また、大阪に住む恋人に影響され、少しずつ大阪の街や言葉に馴染んでいく主人公の姿も、この曲の魅力。恋人に会うために新幹線で新大阪駅へ向かう――そんな歌詞の情景を思い浮かべながら実際に大阪を訪れれば、楽曲をより身近に感じられそうです。



SUPER EIGHT「大阪ロマネスク」|梅田駅
 2004年のデビュー当時から20年以上にわたって歌い続けられてきた、SUPER EIGHTを代表するラヴ・ソング「大阪ロマネスク」。大阪の街を舞台に、愛する人への切ない想いを歌った一曲で、長年ファンに愛されてきた楽曲です。歌詞には「梅田駅」をはじめ、「御堂筋」「心斎橋」「難波」など、大阪を代表する街や名所が次々と登場。主人公が大阪の街を歩きながら、愛する人への想いを募らせていく様子が描かれています。実在する地名がいくつも登場することで、大阪の街そのものが一つのラヴ・ストーリーの舞台として浮かび上がるのも、この曲の魅力です。2024年、デビュー20周年を迎えたSUPER EIGHTは、親交の深いピアニスト・清塚信也を迎え、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で「大阪ロマネスク」を披露。長年歌い続けてきた楽曲が、ピアノを中心としたアレンジによって新たな表情を見せました。梅田から御堂筋、心斎橋、難波へ――。実際に大阪の街を歩きながら「大阪ロマネスク」を聴けば、歌詞に描かれた風景と自分の目の前に広がる景色が重なり、楽曲をより身近に感じられるはず。大阪を訪れた際には、ぜひこの曲を片手に街を巡ってみてはいかがでしょうか。



 その他番外編として、大阪府大阪市淀川区にある阪急電鉄・三国駅をタイトルに冠したaiko三国駅」や京急電鉄とのタイアップ・ソングとして制作されたくるり赤い電車」など、歌詞の中に駅名は出てこないものの駅や鉄道とのつながりが印象的な楽曲も。

 駅は、誰かを見送ったり、誰かを待ったり、これから始まる旅に胸を躍らせたり、さまざまな思いが交差する場所。だからこそ、駅や街の風景が歌詞に登場する楽曲には、聴くだけでその場所の情景が浮かんでくるものが多いのかもしれません。知っている駅が歌詞に登場すると、いつもの風景が少し特別に感じられたり、逆にその曲を聴くことで、まだ訪れたことのない街へ行ってみたくなったり。音楽をきっかけに街を歩いてみるのも、またひとつの楽しみ方です。次に電車に乗るときは、いつものプレイリストから少し離れて、目的地にちなんだ一曲を選んでみてはいかがでしょうか。
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