Wi-Fi接続でロスレス伝送を可能にした次世代モデル ワイヤレスとは思えない圧巻のサウンドパフォーマンス

2026/10/02掲載
ハイファイマン
HIFIMAN Arya WiFi


HYMALAYA DACを内蔵し、Wi-Fi・BT・有線に対応


 ワイヤレスヘッドフォンというと、Bluetooth内蔵モデルと思いがちだが、本機はその名の通り、Wi-Fi接続に対応するモデルだ。Bluetoothより伝送帯域が広く、ロスレス伝送が可能な設計になるなど、音質的には期待の大きいもので、次世代ワイヤレスヘッドフォンとして注目されている。


 本機はミドルクラス帯のAryaをベースとして、自社開発の「HYMALAYA Mini DAC」を左右独立で内蔵。ヘッドフォンアンプ回路はもちろん、多くのストリーミング音楽配信サービスに対応する機能まで盛り込まれている。ヘッドフォンとしては、独自の「ネオスーパーナノ振動板(第二世代)」を採用。回転式ヒンジの採用や軽量化を果たした新型複合素材ヘッドバンドなどを採用している。外観は、標準的な保護カバーが付いたものではなく、UNVEILEDに近いものになっている。未使用時の保護カバーが付属しないため、厳密にはUNVEILEDではないようだが、それに近い構造になっていると思われる。当然、音漏れはかなりあるので、ワイヤレスヘッドフォンと言えども、屋外では少々使いにくい。また、Wi-Fi接続のほか、Bluetooth接続(SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC対応)、USB-Cによる有線接続が可能だ。


 接続後は各音楽配信サービス用の再生アプリなどから再生操作を行う。iMacやiOS機器の場合はAirPlayでArya WiFiを選択すればいい。Qobuzでいくつかの曲を聴いてみたが、ワイヤレスとは思えない音質だ。Bluetoothも今やかなり音質がよくなっているが、ハイレゾ音源を有線で聴く時と比べれば、圧縮による細かなニュアンスの減った感じ、空間感が平面的になるといった落差を感じてしまうが、そういった差をほとんど感じない。プレーヤーと紐でつながっていない快適なワイヤレスなのに、明らかに優れた音質であることに少々驚かされる。


HIFIMAN Arya WiFi


ジャンルを選ばない万能な高音質と、快適な装着感


 ウラジーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送響による『チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」』の第3楽章を聴いてみたが、ややテンポの速い演奏はもちろん、各楽器の質感や打楽器の打音でのバチで叩いた感じや太鼓の膜が震える感じなどまできめ細かく再現される。音場感としても、平面磁界型ならではの広がりがあり、しかも天井の高さやホールの響きが目に浮かぶような立体的な空間感が感じられる。ワイヤレス接続であることに改めて驚かされる情報量の豊かさだ。


 グスターボ・ドゥダメル指揮ウィーン・フィルによる『ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」』の「鶏の足の上に建つバーバ・ヤーガの小屋」を聴くと、空間の響きまでわかるような空間感はもちろんのこと、木管楽器の質感など音色もリアルだ。純粋にヘッドフォンの実力としてもなかなかのもので、広がりの豊かな空間と質感の豊かできめ細やかな描写、低音の力感も十分にある。比較して聴いたわけではないが、Arya UNVEILEDとほぼ同等の実力はあると感じた。また、人気のヒット曲やヴォーカル曲を聴いたが、ヴォーカルは自然でニュアンスも豊かだし、最近のヒット曲に多い電子楽器によるベースも重量感や包み込むように空間を埋める感じもしっかりと出る。個々の音の定位も立体的で、ステージの見通しも良い。音量を上げても音圧感が不足するようなこともなく、大音量でも歪み感が増すような荒っぽい音になることもなく、パワーアンプ回路の実力にも不足はない。これで、Wi-Fi接続時のバッテリー持続時間は6.5 〜 7.5時間ならば、実用上の不満もない。


 USB接続やBluetooth接続も試してみたが、USB接続での音質差は接続機器の違いなどはあるものの、ほとんど差は認められない。Bluetooth接続(LDACを使用)では情報量や空間感などの差はあるが、一般的なBluetooth内蔵モデルと比べても十分に優秀な音質であることがわかる。このあたりはDAC回路やアンプ回路の実力の高さだろう。


 重量は452gとやや重くなってはいるが、新型のヘッドバンドはホールド感も良く、装着してしまえば、ことさらに重いというほどのことはない。屋外でどこでも気軽に高音質を楽しめるというモデルではないが、屋内であってもケーブルを気にせず装着したまま自由に歩き回れるワイヤレスの軽快さは十分に味わえる。次世代を予感させるワイヤレスだ。


HIFIMAN Arya WiFi
イヤーカップの操作部。音量調整、機能切り替え、電源の3つがある。機能ボタンでBluetooth、Wi-Fi、USBモードが切り替えられる。


HIFIMAN Arya WiFi
独自開発された「HYMALAYA Mini DAC」を左右それぞれ1基ずつ搭載している。


HIFIMAN Arya WiFi
極薄のNEOスーパーナノ振動板を採用し高速応答と低歪みを追求。磁気回路はステルスマグネットと強化型を半分ずつ併用し、回折を抑えつつエアフローと磁力を両立させた。


文:鳥居一豊 Kazutoyo Torii

ハイファイマン
HIFIMAN Arya WiFi

236,500円
●形式:オープン型・Wi-Fi Streaming
●ドライバー:平面磁界駆動型
●対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC
●再生周波数:8Hz ~ 55kHz
●重量:452g

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