ULTRA SHIBUYAで行なわれた公開インタビュー、その全貌 Verde/

Verde/   2026/06/26掲載
 Alice Nine.のヴォーカルShouがバンド凍結後、ソロ・プロジェクトとしてスタートさせたVerde/(読み:ヴェルデ)がニュー・シングル「Static Eden/」をリリース。これに合わせて、Verde/は初のフリー・ライヴやポップアップイベントを行ない、まだVerde/を知らない人たちに向けて積極的なアプローチを仕掛けて、Verde/の魅力、「Static Eden/」の世界観をさまざまな形で提供していった。そのなかから、ここではポップアップイベント会場となったULTRA SHIBUYAで行なわれたVerde/の公開インタビューを再編集して、「Static Eden/」、さらにはVerde/について語ってもらったトークをテキスト化してお届けします。


New Single
『Static Eden/』
(ROOM EVERGREEN・REG-0008)
――Verde/を立ち上げて2年半。サウンドもライヴの景色も大きく変わったように感じています。
 「そうですね。始めた当初は、Alice Nine.凍結の延長線上での活動だったので、曲も“もっとAlice Nine.でこういう曲を聴かせてあげたかったな”という気持ち。僕の都合で作ったものだったんですよ」
――2024年にリリースした1stアルバム『V/』は、まさにそういうものでしたよね。そうして、2025年11月にVerde/は1st EP『OBSIDIAN/』をリリースしましたが。個人的には、ここがターニングポイントとなって楽曲もライヴも、今のスタイルへとガラリとシフトしていったと思ってるんです。Verde/は当初からサポート・メンバーを優介(ギター/摩天楼オペラ)さん、燿(ベース/摩天楼オペラ)さん、KEN'ICHI(ドラム)さんで固定しているのも特徴的で。この作品のツアーから、Verde/がソロ・プロジェクトでありながらも、このメンバーで鳴らすサウンド、バンドになった。そんな印象なんですよ。
 「ホントにそんな感じです。『OBSIDIAN/』を作る1年ぐらい前に京都でライヴをやったときかな?メンバーでご飯を食べたときに、ケンちゃんがぽろっと“Shouさんがやりたいことをやったらいいんですよ”っていったら“そうだよ、そうだよ”と燿君も優介もいってくれて。僕がやりたいことって何だろうって思ったとき。僕は、仲間のために頑張るのが好きなんですね」
――自分のためではなくて?
 「そういう欲が僕はあんまりないんですよ。でも、仲間のために頑張るのは好きなんですね。それで、ライヴに来てくださる方々も仲間なんで、みなさんにいちばんいいクオリティのものをプレゼントしたいなと考えたとき、サポート・メンバーを単なるサポートとして扱うのではなく、彼らのポテンシャルを120%、130%まで引き出せるようなものをやろうと。そうして作ったのが〈White Noiz/〉(『OBSIDIAN/』の先行シングルとして発売)だったんです。この曲はヴォーカルと同じぐらい優介のギターの旋律の美しさを前面にフィーチャーした曲だったんですけど、その優介が腕を怪我してしまいまして。じゃあ、優介がいないと絶対演奏できない最高の曲を作って待ってるよというモチベーションで〈Nightglow/〉を書いて。最終的には、この曲が軸になって『OBSIDIAN/』が完成したんですね。『V/』にあったような自分、Shouの都合というのはここから全部なくなって、Verde/に関わってくださる方、メンバーや応援してくださる方々が、いかにいいクリエイティブに触れられるか。いかに楽しく輝けるか、過ごせるか。そういう思いを込めた方向に向かったのが『OBSIDIAN/』でした」
Verde/
――たとえば、これがサポート・メンバーが彼らではなかったら、このサウンドにはならなかった?
 「ですね」
――なるほど。サウンドがメタルコアへシフトすると同時に、歌もシャウトやグロウルが増えました。ヴォーカリストとしてはそのへん、どうだったのですか?
 「ヴィジュアル系に入ってきた最初の頃、僕はグロウルがメインの激しいバンドにいたので、メロディを歌ってるよりも、むしろシャウトやグロウルのほうが自然とできるから抵抗はなかったです。でも、こうやってメタルの人に囲まれると、彼らはピッチもいいしリズムもいいんですね。機械みたいに緻密で精密な音楽を人力で、生でやることに美学を感じている人たちだから、ライブではケンちゃんに「昨日はピッチはよかったけど、あそこの歌のリズムが」とか」
――ダメ出しされたりするんですか?
 「はい。毎回すごく大変なんですけど、日々僕も成長できるんです」
――メンバーもサポートを超えた愛をShouさんに注いでくれているわけですね。
 「そう。だから、すごい“バンド”してますよ」
――そうやってVerde/がソロ・プロジェクトからバンドになったところで、2026年にリリースしたのが「Pulse/」と「Static Eden/」。こちらはセットで作った曲だったのですか?
 「まず『OBSIDIAN/』を作って、このクオリティの曲でライヴをもっとやっていきたいなってことを優介と話してたんです。そのときは、Alice Nine.のことが好きな方は、いつかは凍結が解凍されるのが理想なわけだから、そうなったときはVerde/でAlice Nine.の曲をやる意味はなくなるので、そのときに備えてVerde/の曲だけでめちゃくちゃカッコいいライヴを成立させたいねっていう話になって。“そのためにはシンコペーションのROSIERみたいな曲が必要なので、そういう曲を作ってください”と優介にいわれたんですよ」
――だははは。そんな細かいオーダーが入るのですね。
 「はい。それは今着手しているところです」
――では、「Pulse/」と「Static Eden/」はどんなプロセスで生まれた曲だったのですか?
 「Paleduskの「WIND BACK」っていう変拍子の展開が入りまくる変態ポストハードコアみたいな曲があるんですけど。「そういうハードコア、メタルコア好きな人がライヴに行きたくなるような本物の曲を作りましょうよ」と優介にいわれて、作ってみたら「Static Eden/」ができたんです。
――先に「Static Eden/」ができたと。だから、この曲、カオスな展開があるんですね。
 「複雑で、超ややこしいんですよ。BPM200で(ドラムは)ツーバスだし。ハイパーポップとDjentが混ざったみたいな、めちゃくちゃな曲で。それを優介に聴かせたら“うん。難しいですね”といわれて(笑)」
――優介さんからの愛のダメ出しが(微笑)。
 「ええ。それで“じゃあ、ちょっと直してみるわ”っていって。直してる間に“ボツにした曲があるから一応聴いといて”って、ほかの曲を渡したら、燿君と優介が“これです!”っていってきて。送ったのは〈Pulse/〉のデモだったんですけど“すごくこの曲いいですね”ってなって」
――Shouさんのなかではボツ曲だったものが?
 「そうなんですよ。これは〈Nightglow/〉を作ったときにボツにした曲なんですよ。でも、2人が“すごくいいと思う”っていうので、〈Pulse/〉を先に作って出したんです。そうしたら、〈Pulse/〉は実際にライヴでキラー・チューンになったので、すごくよかったなと思いました」
――「Pulse/」はライヴで演奏しだして、すぐにそのポジションを確立しました。
 「俺はこの曲、ギターのイントロが気に入って残してたんですよ。クーラ・シェイカーとかのオリエンタルなコード感が好きで。僕のなんちゃってオリエンタルを、優介がちゃんと成長させて、本物のカッコいい曲にアレンジしてくれたので、あそこまでの曲になりました。“みんなに通用するかな?”“いいと思ってくれるかな?”って心配なところはあったんですけど」
――凄まじく攻撃力が高い曲です。でも、オーディエンスは最初から横モッシュをしたりして楽しんでましたよね?
 「あそこは“フレーズ的に完全に横に移動したくなるよね”って、優介もデモの段階から把握してました。だから、それをみなさんがすごく楽しんでやってくださってたので、嬉しかったです」
――ああいう横移動する光景って、ステージから見るとどんな感じなんですか?
 「めちゃくちゃ楽しいですよ。見てるほうも」
――ああー、そうなんですね。
 「Verde/のオーディエンスは、みなさん適応能力が素晴らしくて。新曲を演奏しても、すぐに波を乗りこなしてくださるから。オーディエンスのレベルが高いんだと思います」
――その適応能力の高さで、最新曲「Static Eden/」は「Pulse/」とはまたテイストが異なる曲なのに、こちらもすぐに乗りこなしてらっしゃいましたからね。
 「ありがたいです。〈Static Eden/〉は、僕は東京育ちなので、こういうシティ・ボーイにしか作れない曲もあるよというところを、個性として出してみました」
――そこが、難解さのなかにも、洗練されたハイパーポップ感をこの曲に生み出しているところだと思います。サビでオーディエンスがジャンプする光景もポップでいいですよね。
 「優介の“こういう曲作りましょうよ”絵巻のなかに」
――絵巻があるんですね(微笑)。
 「ええ。そのなかに、Alice Nine.の〈RAINBOWS〉みたいに“サビでジャンプがお決まりの曲が必要”というのがあって。〈Static Eden/〉は、難解な曲構成なんですけど、サビで“Static”を繰り返すところでジャンプしたら、みんなも楽しんでくれるかなと思ってやったら、オーディエンスのみなさんすぐにやってくださって。みなさんのおかげで、いまやすごく大切なライヴ・アンセムになった感じです」
――「Pulse/」「Static Eden/」はミュージック・ビデオもShouさんが作られたとか?ソロになったら、作曲に続いて、今度は映像。それらがすべてできてしまうところがスゴい!
 「ミュージック・ビデオは初めてだったので、マネージャーにカメラを渡して、こう撮って、あっちからも撮ってとかいいながら、自分の頭の中にあるものを作品にしていった感じです。撮影したあとは、1秒間に24フレームだから、その絵を一つひとつ見ては編集していって。VFXも勉強しましたね。〈Pulse/〉は初めての作品だったので、いろいろ撮る技術が追いついてなくて、完成してみたら絵がせわしなくて。たぶん、見ると目が疲れちゃう作品になっちゃいました」
――今後も映像のほうは自分でやっていきたいと考えてらっしゃいますか?
 「そうですね、極力。映像があると、みなさんに曲のイメージが伝わりやすいので。でも、その都度普通の映像会社さんにお願いしてしまうと、大変なコストがかかるんですよ。応援してくださる方々に負担をかけないためには、コストをいかに抑えて活動するかが重要になってくるので。とくに僕は、頭のなかに表現したいことがあふれているので、それなら、自分の手を動かしてやるのが1番手っ取り早くていいのかなと今は思っています」
Verde/
――ここからはVerde/のポップ性についてお伺いします。Verde/になって以降、Shouさんはすべての楽曲を制作してらっしゃるわけですが、どんなに激しいメタルコアや難解な展開のある曲をやっても、そこにはかならずメロディックなパートがあって。そのメロディこそが、Verde/の楽曲にポップな導入口を作っていると個人的には思っているのです。ポップ性、メロディに対してのShouさんの考えを聞かせていただけますか?
 「僕は、初めてヴィジュアル系を好きになったのが中学3年生のときで。LUNA SEAだったんですけど。LUNA SEAさんはパブリックイメージは硬派な印象がありますけど、因数分解すると、めちゃくちゃポップなんです。ロックを聴いていない中学生でも“めっちゃカッコいい!”ってすぐにわかるぐらい。それをロックで体現できるって、本当にカッコいいことだなというのを子供の頃にリアルに見せていただいたので。バンドを始めた当初から、わかりづらい、高尚なことをやってるのがロックではいちばんカッコいいんだっていうところからは、一歩外に出たいという考えはずっとありました。だから、曲を作るときも、このコードにはこの音をのせるとキャッチーに聞こえるというのは考えながらメロディを作ってます。味のある、メロディがいい音楽が好きなんです」
――なるほど。どんな曲でも、ポップで、メロディックな入り口がかならずあるところは、Verde/の生命線になっているのかなと思います。
 「嬉しいです。そうなったらいいなと思ってます。でも、今すごい研究してるのがリズムなんです!リズムでポップにするというのにトライしたくて。サブリナ・カーペンターのような」
――「エスプレッソ」とか大好きですけど。
 「暴力的なまでにポップだけど、あれはベース・ラインとかリズムが本当にポップで、音もめちゃくちゃいいんですね。ああいうものを取り入れられないかというのを研究しています。そこは、Verde/を始めるときに、ジャスティン・ビーバーをメタルのドラムで叩いたような曲をやってみたいなと思ったのに繋がっていくんです。デヴィッド・ゲッタやSkrillexとか、あきらかにリズムがメタル・バンドのドラムなんですよ」
――すごくわかります!そこにジャスティン・ビーバーばりのポップ・センスあるメロディをのせたら、たしかに面白いですね。聴いてみたい。
 「カッコいいし、それをやってみたいと思ったんです。Verde/をやりだしてからは、去年、武瑠とヨーロッパを回ったんですけど。武瑠の音楽は基本的に4つ打ちなんで、そのグルーヴの強さ。リズムは言語を超えるんだっていうのがわかったんです。それもあって、リズムでポップさを出すことをもっと勉強すべきだなと今は考えているところです」
――なるほど。では、このあとは今後のVerde/についても教えてください。まず、7月5日。Shouさんの誕生日であるこの日は、東京キネマ倶楽部で〈Shou&[ kei ]Joint Show 堕天國-Lost Paradise-〉を開催されます。こちらは、ゲスト・ミュージシャンを招いて、Verde/名義ではなく、Shouさんが盟友である[ kei ]さんと一緒にライヴを行なうという、いつもとは異なる特別な公演だそうですが。
 「これは、僕が大好きな[ kei ]ちゃんはこんなに素敵なんだよ、ヤバくない?って。[ kei ]ちゃんをみなさんに売り込むライヴになります(微笑)。だから、曲目も[ kei ]ちゃんが弾いたらハマりそうなAlice Nine.の曲とか、BAROQUEの曲とか、[ kei ]ちゃんの曲とか。[ kei ]ちゃんが弾くギター、作る曲はこんなにいいんだぜというのを僕の歌とともにお伝えしたいなと思っています。ゲストでくるアッキー(AKi/ベース/シド)とこれならいけるよって話した曲のリストが、バンドキッズ的な集大成ソングばかりなので、超豪華な文化祭をお届けします。誕生日だから、僕のわがままを許してねという感じですね。あと、[ kei ]ちゃんとは曲も作ってます」
――「Lunaris/」に続く共作曲を?
 「はい。これは、最初から[ kei ]ちゃんありきで作った曲なんですけど。昨日、やっとギターが入ったものが戻ってきて、それがすっごくいいんですよ。めちゃくちゃ号泣ソングです。〈Pulse/〉とも〈Static Eden/〉ともまったく違うんですけど、でもすごい好きな人が絶対いる曲で、[ kei ]ちゃんも人とコラボした曲のなかではいちばん好きっていってました。〈Reimei/〉というタイトルの曲なんですけど。こちらは、会場限定でCDを販売します」
――8月から都内で開催する〈Verde/ Monthly GIG“NEO TOKYO TRIBE”〉は、どんなものになるのですか?
 「今は、Verde/としてのライヴ活動を空けたくないんです。でも、メンバーはすごく忙しいので、地方に行くのは難しい。けど、東京での定期的なライヴ活動ならできると。あと、Verde/の仲間の輪を広げたいというのがありまして。今年1月に(MUCCの逹瑯主宰による)ヴォーカル会で、人との繋がりがいろいろ生まれたので、その人と一緒に歌ったら面白いなっていうのを、Verde/を応援してくださる方にプレゼントしたいなと思って、ライヴごとにゲスト・ヴォーカルを招きます。9月18日、10月24日の公演にはKAZAMI(キーボード/DaizyStripper)君も参加してくれるので、楽しくなりそうですよ」
――ゲスト・ヴォーカルで参加する方々はROY(零[Hz])さん、一聖(BugLug)さん、夕霧(DaizyStripper)さん、Ricko(JILUKA)さんと、タイプはさまざま。Verde/の楽曲は基本、コーラスが多くて。メイン・ヴォーカルとの掛け合いでフロアのテンションを上げていくような曲が多いので、ライヴではShouさんとゲストの方でそこを歌ったりするシーンも見られそうですか?
 「もちろん」
――ああいう掛け合いパートは、曲を作るときからあるんですか?
 「はい。メロディを思いついたらそれがずっと鳴っているんです」
――Shouさんが3~4人いないと再現できないようなものが?
 「ふたりぐらいでいけますけどね」
――あ、すいません(苦笑)。
 「〈Kafka/〉を作ったあたりから、掛け合いをするものが多くなっていったんですけど。〈Kafka/〉は、もともとはSHINとしゃべってるときに“なんか一緒にやりましょうよ”といわれて作ったんです。でもそれは、事務所的な問題で実現できなくて。じゃあひとりで歌うしかないなってことで歌いだした曲なんです。SHINに合わせて作ったから、キーが高いからしんどいんですけど」
――「Kafka/」が掛け合いの曲を作るきっかけになったのですね。
 「そう。あの頃からそういう曲が多くなった。あと〈Lunaris/〉って曲があるんですけど」
――あれもサビで掛け合いのコーラスが入りますよね。
 「そうなんです。あの曲は、当時ENHYPENにハマってて」
――“ヴァンパイア”というダーク・ファンタジーのコンセプトの設定のなかで、物語を紡いでいっているグループですね。
 「はい。そのなかに、恋愛曲があって。それがすごくいいなと思いながら作ったんですけれど。彼らはダンス&ヴォーカルグループだから、メロディが忙しいんです。そういうのも影響を受けて、サビがああいう感じになったのかもしれないです」
――なるほど。NEO TOKYO TRIBEでは、Verde/の新曲も聴けたりするのでしょうか?
 「そうですね」
――下半期もVerde/の活動にも注目ですね。
 「12月5日にはVerde/3周年のワンマンを開催するので、そこに向けての冬のツアーも計画していますし、リリースも計画しています。でも、僕がこんなに曲を頻繁にリリースしたり、ライヴ活動ができるのは、受け取ってくださる方がいるからで。みなさんが受け取って、投げ返してくださるから、僕はこの界隈でみんなに驚かれるほど曲を出しまくれてるんですね。今僕は、たまらなく幸せで、仲間ともすごくいい関係で活動できているので、みなさんとはこの幸せなキャッチボールを続けていけたらと思っていますので、今後のVerde/にも期待していてください」

取材・文/東條祥恵
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