結成10周年イヤー ますます進化するヨナ YONA YONA WEEKENDERS

YONA YONA WEEKENDERS   2026/04/29掲載
 YONA YONA WEEKENDERSが結成10周年イヤーを迎えた。
 “ツマミになるグッドミュージック”を掲げ、2016年に結成。2021年4月7日の“ヨナの日”にメジャー・デビューを果たした彼らは、しなやかさと濃密さを併せ持ったバンド・サウンド、そして、都市生活者の暮らしに寄り添い、穏やかな解放を味合わせてくれる歌によってオーディエンスの支持を獲得してきた。
 2024年末に磯野くん(vo,g)、小原“beatsoldier”壮史(ds)、スズキシンゴ(b)の3人体制に移行した後もライヴを重ね、10周年を迎えた今春にはシングル「トキオ・ダンジョン」「夜半の月」を発表するなど、精力的な活動を継続している。
 本誌『CDジャーナル』に掲載された新コーナー「CDJ的男子専科」では磯野くんのグラビアも話題(?)の彼らに、現在のバンドのモード、「トキオ・ダンジョン」「夜半の月」の制作などについて聞いた。



New Single
YONA YONA WEEKENDERS
「トキオ・ダンジョン」
New Single
YONA YONA WEEKENDERS
「夜半の月」


YONA YONA WEEKENDERS

――2026年4月7日に行なわれた恒例の“ヨナの日”ライヴを拝見しましたが、素晴らしかったです。オーディエンスの雰囲気も最高でしたが、みなさんにとってはどんなライヴでしたか?
磯野くん「メジャー・デビューを祝うワンマンは5回目で、今年はバンド結成10周年ということもあって、さらに特別な1日になったと思います。数えたら持ち曲が60曲くらいあって、セットリストを組むのもすごく時間がかかって。ライヴは本当に楽しくて“一瞬”という感じだったし、すごく充実したライヴになったんじゃないかなと思います」
小原“beatsoldier”壮史「セトリもそうだし、今やりたいことがうまくハマったと思っています。毎年“まだやってないことは何だろう?”と考えながらライヴを作ってるんですけど、今回はスティーヴィー・ワンダーの〈Isn't She Lovely?〉をカヴァーしたんです。反響があったし、そのほかにも過去のワンマンでやった曲のつなぎだったり、プリイントロを新たに付けたり。それにお客さんが反応してくれたのもうれしかったです」
スズキシンゴ「10周年にして過去最大キャパのワンマンだったんです。正直ソールドできなかったくやしさはあるんですが、チーム全体で作り上げることができたいい1日だったと思います。また来年じゃないけど、次もまた面白いことをやりたいという楽しみも増えました」
――確かに“10周年を振り返ってエモくなる”みたいな場面はなかったですね。
磯野くん「そうですね(笑)。年齢を重ねたこともあって、僕は最近泣き虫なんですけどあの日はあまりエモくならなかった(笑)。バンドの体制が変わってから、歌っていてウルっと来ちゃうことがあるんです。メンバーもそうだし、支えてくれる人たちやお客さんの反応を含めて、去年はけっこうそういうフェーズだったのかなと思います。ここまでがんばってきて、今日もライヴをやれている!みたいな。そのときに比べると、今年のワンマンは“楽しい”という気持ちが大半を占めていたと思います」
YONA YONA WEEKENDERS

――新曲「トキオ・ダンジョン」「夜半の月」がセットリストに入っていたことも、“この先のYONA YONA WEEKENDRES”を示唆していたと思います。「10周年イヤーのタイミングでどんな曲を出すべきか?」ということも考えたのでは?
磯野くん「それはやっぱり考えました。去年、新体制でツアーを回って、10周年を迎えるにあたって、“これからどう羽ばたいていくか?”という議論をずっとしているんです。いろいろ話したんですけど、最終的にたどり着いたのは“音楽そのものだけじゃなくて、生活とつながっていること”だったんです。もともと僕らの音楽は生活と地続きだと思っていて。10年間いろんなことがあったし、楽しかったり迷ったりしてきたんですが、そうやって積み重ねたものを音にしていこうとあらためて考えました。それに僕らみんな上京組なんですけど、ちょうど春にリリースするし、東京の混沌みたいなものをテーマにした曲があっていいんじゃないかなと思いました。まずはテーマに沿ったデモ音源をいくつか作って、みんなに聴いてもらったんですけど、“最初に出すのはこれがいいんじゃないか”ということで〈トキオ・ダンジョン〉になりました」
小原「5~6曲まとめてデモが送られてきて、その中から〈トキオ・ダンジョン〉と〈夜半の月〉を録ることになったんです。〈夜半の月〉はわりとストレートで、サビが4つ打ちで、覚えやすくてノリやすい曲。〈トキオ・ダンジョン〉は異色なんですけど、先に出すのはこっちのほうがいいんじゃない?と思いました。リリース前にイントロだけアップしたら、お客さんの反応がすごくよくて。ワクワクしてくれているのが伝わってきたし、やっぱりこっちだねとなりました」
磯野くん「もともと僕らはミドルテンポの曲が多いんですけど、この曲のリズムは今までにない感があるんです。ジャングルビートっていうのかな」
小原「正確にはジャングルビートではないんだけどね。デモの段階ではラテン系ヒップホップみたいな打ち込みのビートが入っていたんです。生音でどうやろう?といろんなパターンを試しているうちにこうなりました。ジャンルで説明するのは難しいんですけど、尖りすぎず、気持ちよく聴ける曲になったと思います」
スズキ「ベースラインもデモとはだいぶ変わってます。デモに入っているベースラインを弾けば、たぶん“YONA YONAっぽいね”という感じになったんですけど、そうじゃないラインを選んだので。どう感じるかは聴いてくれた人に任せますけど、自分としては新しいところを見せられたんじゃないかと思っています。こういうリズムの曲はやったことがなかったし、今後にもつながる気がします」
磯野くん「僕らも新しいことをやりたかったんでしょう(笑)。10周年っていうと過去を振り返ったり、エモーショナルな気持ちになりたい瞬間もあるんですけど、周りの先輩たちを見ると20年、30年とバリバリやってらっしゃる方々ばかりですからね。僕らも節目ではあるけど、“まだまだやってやるぜ!”という前のめりな気持ちを出したかった」
――振り返ってる場合じゃない、と。この10年くらいの東京の変化もめちゃくちゃすごいですが、みなさんの東京の印象も変わってきてますか?
磯野くん「僕はすごく変わりました。物理的に街の風景が変わっていくことよりも、自分の内面的なこと。僕は岡山県の玉野市の出身で、高校のときは“とにかくこの田舎を抜け出して、東京に行きたい”という気持ちが強かったんです。上京したばかりの頃は東京タワーや浅草寺のデカい提灯を観に行ってましたし、電車が数分で来ることにも“やっぱりすごいな”と思っていて。地元の友達にマウント取るために吉祥寺に住んでみたりしたんですけど(笑)、結婚して子供ができて、“憧れの場所”から“生活の場所”に変わりました。そういう変化も〈トキオ・ダンジョン〉に出ていると思います」
小原「僕は逆に最近、東京から出ていきたい気持ちもあるけどね」
磯野くん「逆にね」
小原「僕はもともとそこまで東京に憧れていたわけではない部分もあります。この5年くらいは“東京じゃなくてもいいな”という気持ちが強くなっていて。どこにいてもネットで買い物できるし、東京は家賃も高いし。でも、結局は抜け出せないのもわかっている。まさにダンジョンです(笑)」
スズキ「〈トキオ・ダンジョン〉に“赤い鉄塔 小さくなった?”という歌詞があるんです。東京タワーのことだと思うんですけど、僕は毎日、東京タワーが見えるところで仕事をしているんです。このダンジョンからは抜け出せそうにないですね」
――YONA YONA WEEKNEDRESは都市のバンド、東京のバンドというイメージもありますけど。
小原「18歳くらいで上京して、今、30代半ばだから人生の半分くらい東京にいますからね」
磯野くん「だいぶ長いよね」
YONA YONA WEEKENDERS
YONA YONA WEEKENDERS
YONA YONA WEEKENDERS

――このタイミングだからこそ生まれた楽曲ですよね。そして「夜半の月」は先ほどのお話にもあったように、これまでのYONA YONAらしさを踏襲した曲なのかなと。
磯野くん「バンド名がYONA YONA WEEKENDERSなので、夜っぽさがある、夜を歌った曲も多いんですけど、この年齢になって、それぞれ置かれている環境も変わってきたなかで、今一度"夜の曲"をやってみたいと思ったんです。サウンド的には"僕ららしさ"もありつつ、さらに進化した感じになっていると思います」
小原「自分としては、かなりサラッとやれた印象があります。デモの時点で完成度が高かったし、余計なことを足したりせず、素直にやったほうがいいんじゃないかなと思いました。気づいたら出来上がってたぐらい」
磯野くん「確かに録音はスムーズだった」
小原「初期の感じに近かったのかもしれない。バンドを始めた頃は30分で1曲できたりもしたんですけど、〈夜半の月〉も似たような感覚がありましたね」
スズキ「じつは僕は新しいことも試してるんです。サビでスラップしているんですけど、このバンドでは今まであまりやってなかったんです。このバンドは歌が最大の武器だし、ヴォーカルのジャマをしないようにシンプルなベースを弾くようにしているんですけど、〈夜半の月〉のレコーディングの前日に“スラップが合うんじゃないかな”と思って」
磯野くん「あ~そうだった(笑)」
スズキ「いきなり弾き方を変えたからレコーディングでは苦戦したんですけど、ここでも新しい自分を見せられたかなと思います」
――「夜半の月」をライヴで披露したとき、バンド結成前夜の頃の話をしてましたよね。その時期の思いも反映されているんでしょうか?
磯野くん「それもあるんですけど、この10年を振り返ったときに、あらためて“一貫してライヴをやってきたな”と思って。そのことで自分たちも救われてきたんです。演奏することの楽しさだったり、それに呼応してくれるお客さんだったり、バンドに関わってくれる人たちもそう。歌詞にある“ここまで来い”には、ずっとここで待ってる、これからも続けていくから、いつでも来てくれよ、というメッセージを込めています」
小原「上京したときからずっと、ライヴがベーシックになっている活動をやってきましたからね。こういうインタビューもそうだし、制作やレコーディングもすべてライヴに向けてやっているし、そこはずっと変わらずにあります。ただ、一つひとつのライヴに対する向き合い方、ステージで何をやりたいか?は変わり続けているんです。それも10年間まったく同じです」
――ライヴごとのテーマだったり、やりたいことだったり。
小原「そうですね。“今日はこういう演奏をしよう”と思っていたけど、いざ始まったら磯野がすごくノッているし、ちょっと変えてみるか、となったりすることもあります。セトリを決めたり、ライヴの準備段階でも考えることがいろいろあるし、やってみたいことを差し込む楽しさもあります。もちろんお客さんに対しても、“こんなふうに感じてもらいたい”ということがありますからね。考えたり試したりするのも楽しいです」
スズキ「今のご時世、サブスクもあるし、AIで作曲もできちゃうじゃないですか。でも、よく言われることですけど、ライヴの体験だけはコピーできない。そこが僕らが勝負できる場所なのかなと思います。それはすごく感じます」
YONA YONA WEEKENDERS

――音楽的なところではどうですか?ヨナの日のライヴで披露したスティーヴィー・ワンダーのカヴァーもそうですが、やはり軸になっているのはブラック・ミュージックだと思うのですが。
磯野くん「ルーツはR&B、ブラック・ミュージックです。最近よく話しているのは、僕たちなりのソウル・ミュージックというか、生活に根差したソウルをやりたいということ。ライヴはもっと心が赴くままにやっていいんじゃないかと思ってるんですよ。泣いちゃうのもそうですけど(笑)、ライヴは毎回違うものだし、その一回しかない刹那的なものでもある。それをより楽しめるようになったらいいなと思ってます」
――そのときの感情や思いをそのまま表現するのがソウル・ミュージックだと。
磯野くん「そのうえで、“今はこういうことをやりたい”というのが反映されたら面白いのかなと思っています。僕らはずっと生感を大事にしてきてるし、“バンドで鳴らす”というのは今後も変わらないと思うんですけど、そこをベーシックしながらいろいろ進化させるのもいいと思うんです。〈トキオ・ダンジョン〉をライヴでやるときは同期の音を使ってるんですけど、それも10年目にして初めての試みでした。実際にやってみたら思った以上に面白かったし、まだまだやれることはいっぱいあるなと思いました」
小原「もっといろんなものを差し込んでいくと思います。聴きやすさやノリやすさを意識していた部分もあるんですけど、次第にそれだけじゃなくなってきました。〈トキオ・ダンジョン〉もそうだし、次にレコーディングする曲でも少しずつ自分たちの幅を広げていきたくて」
――リズムの色味も増えそうですね。
小原「僕は“beatsoldier”なので(笑)、武器は多いほうがいいじゃないですか。生ドラムじゃない音楽もガンガン聴いてるし、いろんな要素を取り入れることで、お客さんにも“こういう感じもいいな”と思ってもらえたらいいなと」
スズキ「YONA YONA WEEKENDERSのジャンルって何?となると、いわゆるシティポップみたいな感じがあるだろうと思っていて。でも、10年目を迎えて何をやってもいいんじゃないかというところに来たのかもしれません。こうじゃなくちゃいけないという概念も壊していきたいです」
――やはり、この先に進むための10周年イヤーなんですね。
磯野くん「そうですね。なんていうか、今、すごく楽しいんです(笑)。10年目にして、結成当初の感じが戻ってきた。スタジオに集まって、ゼロの状態からセッションして、いろんなことを試ながら曲を作ったり。そういう気持ちで音楽をやれてるのがすごくいいなと思っています」

取材・文/森 朋之
撮影/松林寛太


Live schedule
名古屋公演
2026年6月13日(土)
OPEN 17:00 / START 18:00
会場:今池Tokuzo
チケット:
https://www.jailhouse.jp/live/isono-kun-oneman-recital/

東京公演
2026年6月14日(日)
[1st] OPEN:17:30 / LIVE START 18:15
[2nd] OPEN:19:45 / LIVE START 20:30
会場:BLUE NOTE PLACE
チケット:
https://www.bluenoteplace.jp/live/isono-kun-260614/

最新インタビュー・特集
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。