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デヴィッド・バーン、多彩なゲストを迎えた7年ぶりの新作『Who Is The Sky?』を発表

デイヴィッド・バーン   2025/06/10 22:21掲載
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デヴィッド・バーン、多彩なゲストを迎えた7年ぶりの新作『Who Is The Sky?』を発表
 デヴィッド・バーン(David Byrne)が、2018年の『アメリカン・ユートピア』以来7年ぶりのニュー・アルバム『Who Is The Sky?』を9月5日(金)に発表します。アルバムのプロデュースを手がけたのは、グラミー賞受賞プロデューサーのキッド・ハープーンハリー・スタイルズマイリー・サイラス)。収録された全12曲のアレンジは、ニューヨークを拠点とする室内楽アンサンブル、ゴースト・トレイン・オーケストラのメンバーが担当しました。アルバムからのリード・シングル「Everybody Laughs」が、マルチメディア・アーティストのガブリエル・バルシア・コロンボによるミュージック・ビデオとあわせて公開されています。

 新作には、セイント・ヴィンセントパラモアヘイリー・ウィリアムスザ・スマイルトム・スキナー、そして『アメリカン・ユートピア』にも参加したパーカッショニストのマウロ・レフォスコがゲスト参加しています。

 リード・シングル「Everybody Laughs」についてバーンは「みんな生きて、死んで、笑って、泣いて、眠って、天井を見つめる。みんな他の誰かの靴を履いている――そんなことしない人もいるけど、僕はやったことがある。そんな色々なことを、グルーヴやメロディに支えられた高揚感を感じられるような形で歌にしようとした。曲の終盤で、セイント・ヴィンセントと僕が一緒に叫んだり歌ったりしているところは特にそんな感じだよ。音楽は、相反するものを同時に抱え込むことができるんだ。今年の初めにロビンと一緒に歌ったとき、それを実感したよ。彼女の曲はしばしば悲しいけれど、音楽自体はとても喜びに満ちているんだ」とコメント。

 また、プロデューサーのハープーンは「すぐにはわからなかったけれど、これらは明らかにデヴィッドの個人的な物語であり、同時に彼独自の世界の捉え方が色濃く反映されている楽曲だと思った。ニューヨークの街を歩きながら〈Everybody Laughs〉のデモを聴いていたときは、本当に幸せな気分になったよ。僕らはみんな同じなんだって思うことができたから。誰だって笑うし、泣くし、歌う。デヴィッドが多くの人の心をつかむのは、たぶん、彼自身もそのジョークの一部になっているからだと思う。彼はこの世界のバカバカしさをちゃんとわかっていて、それを踏まえたうえで、個人的な観察を通じて独自の視点を差し出しているんだよ」と語っています。

 2023年、アルバム・ツアーとして始まり、絶賛されたブロードウェイ公演、さらにはスパイク・リー監督によるHBOの映画作品へと発展した『アメリカン・ユートピア』の時代が幕を閉じる頃、バーンは少しずつ、グルーヴやコード、メロディの断片を書き留めはじめていました。その直前の3年間は混乱に満ちていましたが、そんな中で、歌詞のアイディアやフレーズも書き溜めていたといいます。「いざ制作を始めるときに、少しでもストックがあるほうが始めやすいということに気づいたんだ。そして、気づけば結構たまっていた。アコースティック・ギターを弾きながら、ループやビートに合わせて歌う、そんなごくシンプルな曲たちが少しずつ生まれはじめたんだ」。世界が、そして『アメリカン・ユートピア』のブロードウェイ公演が中断を余儀なくされたなか、彼もまた多くの人々と同じように、自らに問いかける時間を得ることになりました。「自分がやっていることは、本当に好きなことなのか? どうして曲を書いているんだろう? どうしてこの仕事をしているんだろう? そもそも、そこに意味はあるのか?」

 その重い問いに対する彼なりの答えが詰まっているのが最新作『Who Is The Sky?』であり、この作品は、『アメリカン・ユートピア』とそのツアー、そしてグラミー賞を受賞したブロードウェイ公演および映画で明確に提示された“楽観的なテーマ”をさらに発展させた内容となっています。彼はこの作品を通じて、人と人とのつながり、そして混沌とした世界の中における社会的な連帯の可能性を追い求め続けています。『Who Is The Sky?』は、とてもシネマティックで、ユーモアに富み、喜びに満ちた作品でありながら、しばしばメッセージも含まれています。「愛は説明できるものではない」「悟りの意味は人それぞれ違う」「たとえ翌朝の肌が赤ちゃんのようであってもそうでなくても、保湿はしておくに越したことはない」。そして何より、このアルバムでは、前衛性とポップの親しみやすさを紙一重で共存させるデヴィッド・バーンの類まれなセンスが改めて際立っています。

 『Who Is The Sky?』には「これまで以上に『ストーリー性のある楽曲』が多く含まれている」とバーンは言います。いずれも「個人的な体験に基づいたミニ・ストーリー」のような構成になっており、たとえば次のような楽曲が挙げられる:
「She Explains Things to Me」(どうして彼女には全部そんなに明白なんだろう?)
「A Door Called No」(彼がキスを受けたことで、不思議とその扉が開く)
「My Apartment Is My Friend」(最悪な姿も見せてきたのに/僕らはいつも仲良しなんだ)
「I Met the Buddha at a Downtown Party」(かつての精神的指導者が、神格化されることよりも不健康なデザートに夢中になっているパーティの一幕)など。

 「グルーヴにはうるさい」と自他ともに認めるデヴィッド・バーンは、制作の終盤にトム・スキナーや、30年以上にわたってともにレコーディングやツアーを行ってきたブラジル人パーカッショニストのマウロ・レフォスコからの貢献を歓迎しました。ミックスはマーク“スパイク”ステント、マスタリングはエミリー・ラザールが手がけており、完成した作品は、彼自身の言葉を借りれば、「隠すことと、さらけ出すことの両方が詰まっている」。「このアルバムは、誰もが内に秘めている“神話的な存在”になるための機会でもあり、現実を抜け出して、もうひとつの世界に足を踏み入れるチャンス。つまり、“自己”という牢獄から超越し、逃れるための試みなんだ」。こうしたコンセプトは、『Who Is The Sky?』のアルバム・パッケージ全体にも色濃く反映されています。アートワークはシラ・インバーが手がけ、デヴィッド・バーンの姿は放射状のカラーパターンと、ベルギーのアーティスト、トム・ファン・デル・ボルフトによるサイケデリックで棘のような衣装に包まれ、ほとんど見えないほどに覆いつくされています。また、今年後半には『Who Is The Sky?』のツアーが予定されており、バンドは13名編成(ミュージシャン、シンガー、ダンサー)で、『アメリカン・ユートピア』のメンバーも含まれ、全員がステージ上を自由に動き回る構成になります。



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Photo by Shervin Lainez
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