“YUKIの頭の中にある世界”が描かれた ニュー・シングル「COSMIC BOX」

YUKI   2009/11/13掲載
はてなブックマークに追加
 通算19枚目となるシングル「COSMIC BOX」をリリースするYUKI。色鮮やかなピアノに、ベースのうねりが添えられたイントロ。ジャズのセッションを思わせる自由で熱気あふれるサウンドが特徴的なこの曲は、<YUKIの頭の中にある世界>を「COSMIC BOX」と名付けて歌にしたのだという。どこか懐かしくて切なくて、それでいて体の底から湧きあがるような生命力を感じさせる1曲に仕上がっている。彼女がまた清々しく新しい扉を開いたようだ。


――どんな形で今回の制作はスタートしたんですか。
YUKI(以下、同)「〈COSMIC BOX〉は映画『曲がれ!スプーン』の主題歌としてのお話をいただいてから曲を探して作り始めました。この曲はどうしても生バンドでやりたかったので、ミュージシャンを集めるところから始めて。でも最初の段階からはBPM(テンポ)も変わり、もう少しゆっくりな曲だったんですけど、歌を合わせていったら速く、もっともっと速くという風になっていきました」
――ピアノがジャズっぽくてグルーヴ感がありますね。
 「ミナチン(皆川真人)の生ピアノはやっぱりいいですね。すごく好きです。人が生で演奏する意味というのをとても感じて、幸せだなと思いました。私の頭の中で鳴っている音を出してもらうのにすごく時間がかかってしまったんですけど(笑)」




――生の、厚みのある音を求めていたんですか。
 「そうですね。ドラムと、ベースもこれくらい動いていて。テンポがあまり一定ではないように感じるというか、突然変わるようなものもやりたかったし。少し曲から離れた話になるんですけど、ここ3年くらいライヴをやっていて思ったことがあるんです。私は大きな会場でやらせていただくことが多くて、ショウ的な部分を突き詰めていくライヴばかりをやっていましたし、キャパシティとか、リリースの関係もあったりすると、どうしても予定調和にならざるを得なくなって。それがちょっとなぁ、やっぱり予定調和から抜けたいなぁと思っていて。そういうこともすごく曲に影響しています」
――だから歌もすごく生々しくて、気持ちのまま歌ってるのが伝わってきます。
 「すっごく早口で大変でした(笑)。本当はもっとやりたいです。私はもっとはみ出していてもいいなと思っています。それは言葉もだし、ピッチ(音程)も。すごく綺麗に歌うことも可能だけど、そうではないことをやりたかったから」
――歌詞では“誰かが残したシャベルを コックピットにして還ろう”という部分の“還ろう”を最後に繰り返し歌っているところが印象的です。
 「“還ろう”という言葉が好きですね(笑)。やっぱり自分が一番居たいところにいるべきなんです。それはやっぱり場所ではなくて、どの人と居るかだなと思います。だから家族のことも歌っているのかな。きっと……何も不思議なことはないんだなと思うんです。それは自分の体の変化とか、子供を授かるということも神秘でもなんでもなくて。本当に昔から繰り返されていることで、繋がっていっている、いろいろな人たちが紡いでいっているもので。そこにはもちろん喜びはあるんですけど恐れのようなものはなくて、それを……受け入れているんだと思います。人はこうやって生まれて、ずっとずっと続いていくんだなって。続いてほしいという気持ちもありますけど」
――「COSMIC BOX」はそうした、今のYUKIさんが伝えたい気持ちがダイレクトに伝わってくる歌になりましたね。一時期はYUKIさんとリスナーの間に曲があって、そのひとつのクリエイティヴな世界を共有するような関わり合いだったと思うんですけど。また何か直接的なやり取りができる季節に突入してるんじゃないですか。
 「それはそうかもしれないですね。なぜなら今の私は、自分の作品の発表に怖いものはないですから(笑)。そのくらい〈汽車に乗って〉から正直に作っていこうと思ったので。だから他の曲も早く聴いてほしいなと思います。今はやっと、“歌を歌うっていうのはこういう感覚だよな”って、凄く心地いいんです」
取材・文/上野三樹(2009年3月)
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ
[インタビュー] 文坂なの \[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル
[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ![インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー!
[インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音
[インタビュー] 思い出とともに甦る名曲の数々 藤あや子のカヴァー・アルバム[インタビュー] 紫 充実の新作を発表、海外フェスへの出演決定と結成55周年に向け勢いを増すバンドの現在と未来
[インタビュー] RISA KUMON バイリンガル・シンガー・ソングライター  ユニバーサルなアルバムでデビュー[インタビュー] HAIIRO DE ROSSI ジャズ・ラップの金字塔 10枚目にして最高傑作
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015