“吹きすさぶ風がよく似合う4人の男”──奇跡の再ブレイクを成し遂げたフラワーカンパニーズに訊く!

フラワーカンパニーズ   2010/02/12掲載
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 吹きすさぶ風がよく似合う4人の男――(TVアニメ『サイボーグ009』主題歌「誰がために」からの抜粋含む)。雨にも負けず、風にも負けず、とにかく足を止めることなく己の信じるロック道を歩き続け、気がつけば20年。あたりを見回せば再び熱い視線が注がれている4人の男、フラワーカンパニーズ。そんな彼らが、まだまだ世に潜在するファンに向けて、その名もズバリなオールタイム・ベスト・アルバム『フラカン入門』をリリースした。石森プロ全面協力という、本人たちも驚きの装丁をまとった本盤には、“良い曲、良い演奏”という極めてシンプルなパッションで貫かれた17曲アンド・モア……。やっぱイイわ、フラカン!


――『フラカン入門』というタイトルがニクいなあと思いました。結成20年にしてまだまだ新しいリスナーを取り込もうという、バンドを取り巻く状況が上向きだからこそのタイトルですよね。
グレートマエカワ(b / 以下、グレート) 「上向きっていうか、自分たちなりのやり方っていうのが最初のメジャーからインディになったあとぐらいからわかってきて、今はようやく地に足を着けてやれてる感じですね」
――選曲はファン投票の結果をそのまま反映させたそうですね。曲順も得票順ということで。
鈴木圭介(vo / 以下、圭介)  「“初めての人に薦める時にハズせない3曲は?”っていう基準で選んでもらってるから、“ハズシ”がないんですよね。ただ単に“あなたの好きな3曲は?”ってことだったら、すごく個人的なお気に入りも選ぶと思うんですよ。RCサクセションで3曲って言われて<雨上がりの夜空に>を選ばなかったりするでしょ? 好きだけどあえて入れないみたいな」
――全時代の曲が満遍なく選ばれているところは、コンスタントに良い作品を積み上げてきた証拠でもありますし、なによりファンが循環しているっていうことですよね。
グレート 「そうですね。ずっと聴いてくれてる人もいるし、一度離れたけど帰ってきた人、10年ぶりにライヴに来ました!っていう人も最近やたら増えてて、それはうれしいですよ。その昔は女の子ばっかりだったライヴのお客さんも、最近は半々。若いコもいればオレらより年上らしき人もいて、そういう意味ではいろんな人に届くようになってきたというか、ライヴやっててもいろんな顔が見えるから、その空間はすごく気に入ってますね」
――昔は良かった、みたいな声が聞こえてこないですよね。
グレート 「そこはね、自分たちでいうのもなんだけど、明らかに今のほうがいいんですよ(笑)。無鉄砲なところは昔のほうがあったと思うんですけど、やっぱり今のほうがね。そこは自信があるところではあります」






――こうして新旧の曲を並べて聴くと、良い意味で時代を感じさせないというか、一貫したスピリットを曲のなかに感じることができますね。とはいえ、長い活動のなかで気持ち的に揺らいでいた時期もあったかと思うんですが。
圭介 「デビューして最初の2枚は、名古屋時代の曲と東京に来てすぐに作った曲。そのあとの2枚は、東京にしばらく住んでからの自分を素直に出せた2枚。で、その時の2枚は試行錯誤……ヒットさせなきゃいけないっていうプレッシャーも感じたし、プロとしての苦しみを感じながら作ったアルバムでしたね。結果的に、そこでの苦しみは大きかったんですけどね」
――現在のフラカンがあるというのは、苦しみつつも進むべき道を見失わなかった、ってことなんでしょうね。
グレート 「“揺らぐ”とか“ブレる”っていうのはしょうがないことだから、まあ、そこは絶えず修正していけばいいだけで、結局、コアの部分は変わらないと思ってるし」
――“揺れ”も“ブレ”も人間クサさの証というか、それを経たからこその生々しさっていうものが、フラカンの音楽にはありますよね。
グレート 「うん、生々しいと思いますよ。やってる側として、そこは昔から意識してたことだけど、最近はよりそういうものが表立ってると思いますね」
――結成以前、中学時代からの友達同士だということは、やはり固い結束力にも繋がってるんでしょうか?
竹安堅一(g) 「バンドのメンバーという以前に、友達として人格を選んでるわけですからね。イヤなヤツらだと思うことはないですよ。そのぶん関係性がヌルくなることもありますけど(笑)」
圭介 「音楽だけで評価できないというかね」
グレート 「でも、結果的にはいいことのほうが多かったかな」
――ズバリ、20年続けられている原動力って何なんでしょう?
グレート 「まあ、“飽きてない”っていうのがいちばんですね。ライヴやることだったり、曲を作ることだったり、演奏することだったりっていうところに。もういいかなあっていう達成感がないから。一個一個のライヴで“今日はいいライヴできたなあ”とかっていう達成感はありますけど」
圭介 「もうやめてもいいかなあっていうのはないね。むしろ、いいライヴやったらもっといいライヴをやりたいって思うし、悪いライヴやったらやったで、次はいいライヴをやりたいって思うし。結局、そんな感じで続いちゃってる感じですね」






――フラカンには、“円熟味”という言葉が良い意味で似合わないですよね。


グレート 「長くやっていろいろわかったこともあるけど、何事にも熟れてないからじゃないですか(笑)」
圭介 「あいかわらずあたふたやってる(笑)」
グレート 「性分なんですよね、それって」
――そんなみなさんの、今後の野望は?
圭介 「もちろん、バリバリ売れたいっていうのはありますけど」
グレート 「深くは考えたことはないというか、目先のことを解決させていくことも大事だから、まあただ、ツアーは続けて、良い曲を発表していくっていう、そこは揺るぎないかな」
ミスター小西(ds) 「今またメジャーのレコード会社から出せるようになって、“広がってるな”っていう感じを実感してるので、そこをまた徐々に。自分たちの足でツアーを回ったりとか、やってること自体が大きく変わることはないですけどね」


取材・文/久保田泰平(2010年2月)



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