シンガー・ソングライターとして、大きな成長が垣間見える――阿部真央のニュー・シングル「ロンリー」が登場

阿部真央   2010/06/08掲載
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 恋愛中の寂しさ、“会いたい”という切実な気持ちを、心地よいポップネスをたたえたメロディとアッパーな響きを持つバンド・サウンドによって描き出す。ニュー・シングル「ロンリー」によって阿部真央は、その鮮烈な個性を改めて示した。「心が赴くままに曲がかけるようになった」という彼女はいま、シンガー・ソングライターとして大きな成長の時期を迎えているようだ。



――新曲「ロンリー」はすでにライヴでも披露されているナンバーですが、曲を書いたのはいつごろなんですか?
阿部真央(以下、同) 「2009年の1月くらいかな。ちょうどデビューの時期だったんですけど、“遠距離恋愛中に彼に会えない”っていう寂しさから出来た曲なんです。お互いに好きなんだけど、そばにいることができない、目を合わせることもできない――そういう気持ちを切り取った唄ですね」
――めちゃくちゃリアルな動機ですね、それ。“どうしても、この気持ちを歌にしなくちゃ”っていう感じだったんですか?


 「というか、それしか感じることがなかったんですよね。状況を楽しむ余裕もなかったし、周りの人たちに対して膜を張っていたところもあって。虚勢を張ってましたね、あの時期は。阿部真央のイメージを守ろうとしてたし、苦しい時期でした」
――ポップな曲を書かないといけない、っていう気持ちもあった?
 「ありましたね。<ふりぃ>(1stアルバム『ふりぃ』のタイトル・チューン)のイメージが強かったと思うし、自分でも“疾走感があるアップチューンを書かなくちゃ”って思い込んでて。でも、うまく曲が書けなくなっちゃったんですよね、結果として。で、なるべく心が赴くままに書こうって思うようにして。いまはだいぶラクになりました」
――「ロンリー」もそうですけど、寂しくて切ない気持ちをポップに表現するのも、阿部真央さんの特徴ですよね。
 「確かに。“真夏の夜のロンリー”っていうサビのフレーズが最初に出てきたんですけど、“楽しいけど暗い”っていうのが好きなんですよね、きっと。最終的に切ないところに落とし込むのも好きですね」






――ライヴで歌ってるとき、“このときは寂しかったな”って思ったりする?
 「いや、それはぜんぜん(笑)。初めてライヴで歌ったときも、お客さんと一緒に楽しく盛り上がってたし。でも、刺さる言葉もちゃんとあるんですよね、この曲って。ワーって楽しんでるんだけど、なかには“あ……”って聴き入ってる人もいて。そういうところまで見えるよようになったんですよね、今回のツアーで」
――なるほど。2曲目の「GET MY WAY」はパンキッシュなロック・チューン。パンクって好きですか?
 「パンク、よくわからないんですよね。SUM41ってパンクですか?」
――パンクですね、たぶん。
 「じゃあ、好きです(笑)。この曲、高校生のときに書いたんですよ。どうしても英語しか乗らなくて、そのまま歌うことにしたんですけど、リズムやメロディ、音の流れを楽しむ曲なのかなって」
――歌ってることはかなり強烈ですよね。「ほっといて!」みたいな。
 「そうですね(笑)。“こうしたほうがいい”って促そうとする大人に向けて歌ってるんですよ、これは。“あなたの夢は実現しない可能性が高いから、保険のために勉強しておきなさい”っていう人がほとんどだったので。“そうですよねえ。わかってますよ”って言う感じでしたけどね、私は。表面上は聞いてるふりして、内面では葛藤してるっていう……。いま以上にイヤでしたね、自分のことが。もっと素直でも良かったかなって」
――でも、曲の内容はホントに素直じゃないですか。
 「素直になってきた、って言ったほうがいいかも。<いつの日も>をリリースしたことが大きかったと思いますね。イメージに関係なく、いろんな自分を見せられるようになったというか」
――なるほど。3曲目の「S.O.S」はアコギの弾き語り。これはもう、阿部真央さんのベーシックなスタイルですよね。
 「最近、改めて“弾き語りっていいな”って思うようになったんですよ。ホントにシンプルなスタイルだから、声もスッと入っていくし、“こういう表現方法があってよかったな”って。もっともっとスキルを上げて、また弾き語りだけのライヴもやってみたいですね」
取材・文/森 朋之(2010年5月)
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