フジファブリック   2011/09/27掲載
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 フジファブリックが、いよいよ新たな一歩を踏み出す!──。フロントマンであった志村正彦の急逝から1年9ヵ月。彼の志を引き継ぐ形で編まれたアルバム『MUSIC』、そして志村の故郷で盛大に催されたイヴェント<フジフジ富士Q>を経て届けられた、本当の意味でのリスタート盤が、通算6枚目となるアルバム『STAR』だ。メンバー全員がソングライティングを手掛けるこのアルバムで、もっとも多くの詞曲を書き、リード・ヴォーカルを務め、バンドのメインを担うことになった山内総一郎(vo、g)を中心に、アルバム制作を振り返ってもらおう!




――まずはアルバムの完成おつかれさまでした! やはり今まで以上に大変な作業でした?
山内総一郎(vo、g / 以下、山内) 「体力的にキツいなってときはありましたけど、いろんなチャレンジもできたし、作るっていう作業自体は楽しくて、大変だった〜ってことはなかったんですよね。それに、前の『MUSIC』にしても<フジフジ富士Q>にしても、バンドの中心人物の不在があって、試行錯誤を経て作り上げたもので、それを乗り越えられたっていう自信も僕らにはありましたし、立ち止まっているだけでは何も生まれないっていうのをより感じていたというか……。バンド名にしても、フジファブリックのままでいこうっていうのは今年に入って決めたことだし、フジファブリックをどうするかっていうより先に、音楽を作りたいとかこのメンバーでやりたいっていう衝動がまずあって出来た作品だと思ってるんです」
――作りはじめたのはいつ頃から?
山内 「アルバムの実作業は、今年に入ってからですかね。3人で曲を作ってから考えようと思ってたので、スタジオに入り始めたのは去年の10月ぐらいからで。スタジオに入る前は、モチベーションは高いけど“果たしてできるんだろうか?”っていう不安もあったんですけど、音を出したら一発で“これは大丈夫!”って思いました。それでまあ、ゆくゆくアルバムが出来ればいいなってぐらいの気持ちで、とにかく曲をどんどん作っていったという」
――リード・ヴォーカルをやるということに関しては、かなりの覚悟だったんじゃないかと。
山内 「自然とそうなっていった気もするんですけど……志村君は歌だけじゃなくほとんどの作詞作曲、特に作詞は全部やってましたから、迷いっていうことではなく、“どうしようか?”とは思ってましたし、最初のうちは作曲者が歌っていたんですよ、3人それぞれ。で、アルバムっていうことを考えるようになったときに、僕からメンバーに意思表示をして。“ここはオレが歌う!”ってなったときに、バンドがちゃんとアルバムに向かって行けたっていうのはありますね」
――志村君の歌は作品を重ねるごとにパーソナルな色合いを濃くしていったと思うんですけど、そこに対する意識は?
山内 「彼の作品は本当に好きだし、一緒にやってきて本当に素晴らしいと思ってたし、自分たちだけでやるにあたって、それを真似するとか意識してやるっていうことはできないことだと思ってます。今、歌ってるのは僕ですけど、フジファブリックのヴォーカリストはいまだに志村君っていう感覚はありますし、そういう気持ちがある以上、このバンド名で行こうとも思いましたし、そのうえで容赦なく音楽を追究していけたらなっていうのは時間を追うごとに強くなっていてますね」
――みなさんのプレイヤビリティはよく知られていることだし、何かやってくれるだろうなとは思ってましたけど、それにしても『STAR』はものすごいアルバムだなって思います。“がんばりましたね!”と気易く労うのが失礼なぐらい。
山内 「ありがとうございます。いやもう、本当に音楽を作りたかったし、早く作品を残したかったんですよ。その気持ちって、バンドを突き動かす原動力になるし、音楽を生む力にもなるなっていうことを再認識したし。3人とも考えてることが一緒で、すごくいい経験をしてるなって。だから、すごく素直なものが出来たなって。バンドが思ってることってこんなに音楽に出るんだなってことを作ったあとに思いましたね。ひとりひとりが出すサウンドも独特なものだなあっていうのも改めて実感したし、イイもんだなあって思いましたよ、音楽は」
 アルバム『STAR』は、浮遊感ある「Intro」をきっかけに、バンドの力強い意気込みをビシビシと伝える痛快なタイトル・ナンバー「STAR」へと続き、作曲した金澤ダイスケいわく「大好きなタイプの曲ではあるんですけど、実はこういう感じの曲ってフジでは作ったことがない」という新機軸のピアノ・ロック「スワン」、“あれからね 色んなことが沢山起こってさ”──志村への私信とも受け取れそうなロック・バラード「ECHO」、ベース、ドラム、鍵盤のパワフルなユニゾン・ビートにユーモラスなギター&マリンバのリフが乗る「理想型」、ベースの加藤慎一が「“どうだっ!”感も……ちょっと(笑)。すごくいいプレイが出来た」というプレイも聴きどころ、キャッチーなギター・リフで攻め立てるフジファブリックらしいハイスピード・チューン「Splash!!」、「オレ、要らないな(笑)」と加藤があえてベースを弾かずに作曲者に徹し、山内のアコースティック・ギターが優しいメロディを爪弾く「アイランド」、バンジョーやマンドリンなど山内が家にあるそれらしき楽器を総動員したというアイリッシュなナンバー「君は炎天下」、「エンジニアの高山(徹)さんが一緒になって遊んでくれた」(金澤)という、フジ特有の情緒的なメロディをメカニカルな風合いのサウンドでくるんだ「アンダルシア」、迷っていた気持ちを素直に表現したという「Drop」、スカパラ・ホーンズをフィーチャーしたウキウキ・チューン「パレード」、再度オープニングへと繋がっていくような包容感あるスロー・ナンバー「cosmos」といった12曲で構成されている。実際に耳にすれば、筆者が形容している以上に、彩り豊かなアルバムであることが実感できるだろう。
山内 「いろいろやってやろうっていう意識ではやってなかったんですけど、それだけにバリエーションが広いですねとか言ってもらえるとうれしいし、自分たち自身を再発見するというか」
――ホント、フジファブリックらしいアルバムだなあと思うし、バンドの特異性を改めて実感させていただきました! “フジファブリックらしさ”について、メンバーのなかで無意識に寄っていくポイントがあるんですか?
山内 「それは意識せずになっちゃうんで、そのなにかっていうのはどんどん変化してるものだと思うし、興味はあるんですけど……あまり深く考えたことはないんです。志村君とずっと一緒に曲を作ってきて、その影響は当然あるんですけど、それが出たっていうのは出来上がったあとにすごく感じましたね」
――ずっと組んずほぐれつ、4人で密に絡み合いながら曲を作ってきた証ではありますね。
山内 「そうですねえ。まず、個人個人好きなことやろうってバンドでしたから、たぶんそうなったのかも知れないですね」
――作品が出来上がったとなると、次の楽しみはライヴってことになりますけど。
山内 「いろいろチャレンジをさせてもらえるうちにどんどん経験したいですね。自分たちも羽を伸ばして音楽をやっていける気がするし、いろいろ壁はあると思うんですけど、いままでいろんな壁を乗り越えてこられたので、きっと大丈夫だろうって思ってます!」


取材・文/久保田泰平(2011年8月)


【ツアー情報】

<ホシデサルトパレード TOUR 2011>

●日時:11月26日
●会場:なんばHatch
●時間:開場17:00 / 開演18:00
●料金:1Fスタンディング(整理番号付き)/2F指定 4,200円(ともに1Drink別 )
●問い合わせ先:YUMEBANCHI 06-6341-3525
●チケット発売日:10月15日(土)

●日時:11月27日
●会場:名古屋 ダイアモンドホール
●時間:開場17:00 / 開演18:00
●料金:スタンディング 4,200円(税込・整理番号付き・1Drink別 )
●問い合わせ先:JAILHOUSE 052-936-6041
●チケット発売日:10月15日(土)

●日時:12月3日
●会場:札幌 Penny Lane24
●時間:開場17:30 / 開演18:00
●料金:スタンディング 4,200円(税込・整理番号付き・1Drink別)
●問い合わせ先:ウエス 011-614-9999
●チケット発売日:10月15日(土)

●日時:12月10日
●会場:広島 CLUB QUATTRO
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:スタンディング 4,200円(税込・整理番号付き・1Drink別 )
問い合わせ先 : 夢番地(広島) 052-936-6041
●チケット発売日:10月15日(土)

●日時:12月11日
●会場:福岡 DRUM LOGOS
●時間:開場17:00 / 開演18:00
●料金:スタンディング 4,200円(税込・整理番号付き・1Drink別 )
●問い合わせ先:キョードー西日本 092-714-0159
●チケット発売日:10月15日(土)

●日時:12月16日
●会場:Zepp Tokyo
●時間:開場18:30 / 開演19:30
●料金:1Fスタンディング(整理番号付き)/2F指定 4,200円(共に1Drink別)
●問い合わせ先:ディスクガレージ 03-5436-9600
●チケット発売日:10月15日(土)

●日時:12月18日
●会場:仙台 Darwin
●時間:開場17:00 / 開演18:00
●料金:スタンディング 4,200円(税込・整理番号付き・1Drink別)
●問い合わせ先:キョードー東北 022-217-7788
●チケット発売日:10月15日(土)
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