【斎藤圭土】 音楽家たちとのかけがえのない出会いと絆が結実した作品集

斎藤圭土   2013/11/14掲載
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斎藤圭土
“音楽家たち”
 レ・フレール斎藤圭土が、自身で作曲した楽曲をさまざまなアーティストとレコーディングしたアルバム『音楽家たち』をリリースした。本人が演奏するピアノだけでなく、弦楽カルテット、声楽家、オーケストラ、ヴァイオリニストとの共演など、かつてないほどスケールの大きな世界観が繰り広げられている。とくに英国ロイヤル・オペラハウスの第一ソロ・コンサートマスターを務めるヴァイオリニスト、ヴァスコ・ヴァッシレフとのコラボレーションは、今後デュオでのリサイタルやレコーディングも予定されており、このアルバムを通じて大きな実を結んだ。卓越した演奏家との出会いによって、急成長を遂げている彼に話を聞いた。

――『音楽家たち』には多くの素晴らしいプレイヤーが参加していますね。レ・フレールのオリジナル曲が、コラボレーションによってどんどん発展していく様子が伝わってきました。アレンジはどのように進めていったのですか?
 「小編成のものは僕自身が書いたり、オーケストレーションやカルテットに関してはイメージを伝えて編曲家の方にお任せしたものもありました。そのままオリジナルの楽譜を渡して演奏家の方にアイディアを出していただくこともありました」
――ヴァイオリニストのヴァスコ・ヴァッシレフさんとの共演は、とくにエキサイティングに感じられました。
 「このアルバムに参加してくださるヴァイオリニストを探していたとき彼と出会ったんですが、著名で忙しい方にもかかわらず、とても熱心にレコーディングに参加してくれました。編曲もその場その場でどんどん発展していって、それにつられて僕の演奏もどんどん変わっていきましたね。とにかくパワフルな人なんです。すごいスケジュールで活動していて、ほとんど眠っていないんじゃないかな? 僕の楽曲に関しては"全部好きだ"と言ってくれましたし、どの曲も完璧に解釈してくれた。もうすでに10曲以上共演しているんです(アルバム収録は3曲)。これをきっかけに、ユニットを組むことも決まっているんですよ」
――すごい展開ですね! 新しいユニットも誕生してしまうとは……本当に意気投合してしまったんですね。
 「来年ツアーとレコーディングが決まっているんですが、肝心のユニット名がまだ決まっていないんです。ヴァスコはとにかく温厚でユーモラスで、人間的な魅力があるし、いろいろ提案もしてくれて、キャパシティが大きい人なんですね。音楽的にはもちろん、人間的な相性が合ったというのも大きいです」
――デュオでの活躍が楽しみです。東京交響楽団のソロ・コンサートマスター、大谷康子さん率いる“大谷康子弦楽四重奏団”ともたくさんの曲で共演されていますね。
 「大谷さんとは4、5年前に知人を介してホーム・パーティで出会ったんですが、今回こういう形で共演できてとても嬉しく思います。このアルバムのために新しく編曲した〈静かな生活〉という曲を大谷さんに演奏していただいたんですが、この曲は僕が今までお世話になった父親的な方々に向けて書いた曲で、とても思い入れのある一曲なんです」
――そんなうふうに、斎藤さんが人との絆を大切にされているのが、音楽からも感じられます。
 「ブギ・ウギ・ピアノの道に進むきっかけを与えてくれたアクセル(・ツヴィンゲンベルガー)との出会いもそうですが、僕の人生には実の父親以外に、父親のように僕を導いてくれたり、支えてくれた人が何人かいるんですよ。今回のヴァスコは父親というより兄くらいの歳ですけど、そういう絆にはなぜか恵まれているんです」
――なるほど。アルバムではニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルとの共演も華やかですね。「Boogie Back to YOKOSUKA」はレコーディングのハイライト的な曲だったのではないですか?
 「今年3月に出したアルバム『レ・フレール管弦楽団』でも共演しているんですが、今回はブギ・ウギ・ピアノと西洋のオーケストラとの初めての大規模なコラボレーションになりました。ジャズとクラシックの融合だとガーシュウィンの〈ラプソディ・イン・ブルー〉がありますが、ブギ・ウギ・ピアノとオーケストラの協奏曲は世界初ではないかと思います」
――斎藤さんご自身も、音楽家としてすごい拡大・発展の時期に突入しているという印象を受けます。
 「クラシックを学ぶために15歳でルクセンブルクに留学をして、20歳でブギ・ウギ・ピアノに転向して……自分しかできないものを探してきたし、これからもそれは続いていくと思います。新しい奇をてらった音楽ではなく、僕が聴衆として聴いても美しいと思える音楽をやりたい、というのは常にありますね。今回のいろいろな出会いは、そこにマッチした縁だったのかなと思っています」
取材・文 / 小田島久恵(2013年10月)
斎藤圭土 コンサート・スケジュール

KIRIN presents
レ・フレール ノエル・ド・キャトルマン2013
・2013年12月1日(日)
北海道 札幌 Zepp Sapporo
開演 15:00
・2013年12月8日(日)
東京 お台場 Zepp DiverCity TOKYO
開演 15:00
・2013年12月14日(土)
福岡 Zepp Fukuoka
開演 17:00
・2013年12月22日(日)
愛知 名古屋 Zepp Nagoya
開演 15:00
・2013年12月23日(月・祝)
大阪 なんば Zepp Namba OSAKA
開演 15:00

KIRIN presents
ベスト オブ レ・フレール ツアー
・2013年11月23日(土)
京都 京都劇場(完売)
開演 16:00
・2014年01月11日(土)
岡山 倉敷 倉敷市芸文館
開演 18:00
・2014年01月18日(土)
高知 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
開演 18:00
・2014年01月26日(日)
福岡 北九州市立響ホール
開演 15:00
・2014年02月15日(土)
鹿児島 鹿児島市民文化ホール 第2ホール
開演 18:00
・2014年03月07日(金)
神奈川 横浜 みなとみらいホール 大ホール
開演 18:30
・2014年03月15日(土)
東京 葛飾 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
開演 17:00
・2014年03月30日(日)
長野 松本 まつもと市民芸術館 主ホール
開演 16:00

[詳細]
レ・フレール オフィシャルサイト
lesfreres.jp
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