マイルス・デイヴィス 2004/09/27掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
1970年の
マイルス・デイヴィスといえば、69年にリリースした
『ビッチェズ・ブリュー』(写真)のサウンドをステージ上でブリブリ演奏していた頃。バック・ミュージシャンも、
キース・ジャレット(og)、
チック・コリア(e-pf)、
ジャック・デジョネット(ds)、
ゲイリー・バーツ(ss)、
アイアート・モレイラ(perc)など、ジャズ史に燦然と輝く名プレイヤーたちをズラリと揃えて演奏していた時代です。
この年、マイルスは“ワイト島ミュージック・フェスティヴァル”というロック・フェスに参加します。
ジミ・ヘンドリックス、
ドアーズ、
ジョニ・ミッチェル、
ザ・フー……当時人気を誇っていたロック・ミュージシャンたちの間に“ちょこん”となぜかマイルス。
「オレたちはジャズなんて聴きに来たんじゃねえぜ!」とのたまう観客たちを、そのトランペットの音色ひとつで大歓声へと一変させた、まさに“伝説”のステージが、11月25日にDVD化が決定! タイトルは
『マイルス・エレクトリック〜パフォーマンス・アット・ザ・アイル・オブ・ワイト』(VABG-1141 ¥4,935(税込))。またそのワイト島のフェスティヴァルの模様を収録した
『ワイト島1970〜輝かしきロックの残像』(VABG-1144 ¥3,990(税込))も同時発売。
マイルスがこのステージで披露した「Call It Anything(意訳:曲名?好きに呼べ)」は、主に『ビッチェズ・ブリュー』収録の楽曲を怒涛のメドレーで演奏した怒髪天をつくナンバー。“ンドコ・ンドコ”と臓腑をえぐるベース・ラインから切れ味鋭いテーマへとなだれ込む「Directions」。そしてエンディングの「The Theme」を聴き終わる頃には“生きてて良かった”と人生の喜びに体震える、まさに至福の38分間を完全収録! 70年代初期のマイルスのステージを、余すところなく拝めるのは、これが初めてではないかと。
「38分って、それだけかよ」と思ったあなたはアマいアマい。その他にもバックを務めたミュージシャン全員がインタビューに答え、当時を振り返る「ドキュメンタリー」や、コア・ファンにとってマスト・アイテムとなるであろう、67年12月4日から78年3月2日までのスタジオ、ライヴでの「セッション・データベース」などをドーンと収録。さらに、ボーナス・トラックには、バックのミュージシャン全員へのインタビューや、
カルロス・サンタナやジョニ・ミッチェル、
マーカス・ミラーのインタビューまで。総収録時間は120分にも及びます。
マイルス・バンド時代以降、エレクトリック・ピアノを弾くのを頑なに拒みつづけ、同胞のディジョネットと“スタンダーズ・トリオ”を結成して逃げ出したキース・ジャレットがインタビューでどのような話をしているのか、個人的には大いに気になるところです。
●収録曲
「Call It Anything」(以下の楽曲をメドレー形式で演奏)
1.Directions
2.Bitches Brew
3.It's About That Time
4.Sanctuary
5.Spanish Key
6.The Theme