2020年のABEMA『ラップスタア誕生』で知名度を上げ、昨年は『街録チャンネル』でのインタビューや、
m-flo の
☆Taku Takahashi と共にVTuber音楽ユニットKMNZへ楽曲提供を行う等幅広い活躍を見せる25歳のラッパー・
Itaq が、前作『Savior of Aquarius』から約4年ぶりとなるソロ3rdアルバム『光星人』(ヒカリセイジン)を5月23日(金)にリリース。
『光星人』は、Itaqのルーツと言える宗教を中心としたスピリチュアルな世界観と真正面から向き合い、深遠かつ強靭なリリックを武器に現代日本を“霊的な視点”で克明に描き出した意欲作。共にアルバム『SPRINGBOARD』を制作し、2年間を共に駆け抜けて来たビートメイカーのBEをはじめ、
十影 にも楽曲提供を行うkf13、Badfella$、TAZZRO、Tyga Ichinose、DJ K-1、そしてItaq自身がプロデュースした全21曲を収録。ブーンバップからレイジドリルまで幅広いサブジャンルを横断しつつも、断固として一貫したカラーと壮大な物語を感じさせるコンセプチュアルな大作となっています。
「この心が燃えている / もう二度と後戻りはしないと / この道は一人で行く / もう後ろ髪引くものは無いと」という意味深長なリリックで幕を開ける「貴種流離譚」でアルバムのイントロを飾ると、自らのキャリアの崩壊を音によって表現した「Rebel Angel Skit」を経て、2023年にEPとしてもリリースされた「Carnage」が暗澹たる黙示録の如き世界観を印象付けます。アルバム中盤には、秩父の三峯神社で行われたとある危険な儀式を題材にした「三峯神域」、昨年の東京都知事選挙にも出馬した謎の集団「ネオ幕府アキノリ党」との交流によって生まれた「現代武士団」、そして信仰を共にする松田わかなをコーラスに招き入れ、巨大な使命感とそれに伴う苦悩を謳った「WANTED!!!」等、妖しさと高貴さを同居させたかの様な独自性の高い楽曲が並びます。
Itaqにとっての聖地を巡る中で制作のインスピレーションを得た先行シングルの「預言者」を経て、アルバムの最後を飾る「実在の勝利」では、西田幾多郎や井筒俊彦といった思想家達にも感化されつつ、眩しい光の散乱する創世記的なヴィジョンを音と言葉で表現しました。
アルバムのマスタリングを、ビートメイクからミックス・マスタリングまで幅広く手掛けるマルチプレイヤー・Plueが担当。ハードボイルドな世界観に即したくっきりとした音像に纏め上げました。アルバム・アートワークの3DCGはItaqの実の弟であり、時には異色のラップもこなす鬼才Dirty Kiyomiyaが制作。
伝統的な悟りのモチーフであるストゥーパ(仏塔)を逆転させた「逆ストゥーパ」を荒廃した新宿に出現させ、Itaqの隠された内面を表した架空のキャラクター『光星人』が白い光を放ちながら逆ストゥーパへと落下して行く鮮烈な構図の先に、タロットカードの「吊るされた男」にも通じるメタファーが隠されています。「2025年7月終末説」等の都市伝説や陰謀論が渦巻く中、再び目に見えない力の存在を人々が意識し始めた今年。そんな時代に呼応する、Itaqからの回答が今作『光星人』であると言っても良いです。
このアルバムが音楽シーンや宗教コミュニティにどの様な影響を与えるかは未だ未知数です。
そして、収録曲「貴種流離譚」のMVが公開されました。「貴種流離譚」(キシュリュウリタン)は、kf13プロデュースによる黄金の神殿を思わせる厳粛なビートが響き渡る中、「この心が燃えている」という印象的なフレーズで口火を切ったItaqが、自らの信仰心と不退転の決意について歌い上げるアルバムの1曲目を飾る楽曲。
独自の視点で象徴化された世界を切り取る新鋭の映像作家Austin Liu(オースティンリュウ)がビデオの監督を務め、3DCGをItaqの実の弟であり、時にはラップもこなす「無限大情熱男」ことDirty Kiyomiyaが担当。Itaqのオルターエゴである『光星人』を中心に、極彩色で彩られる信仰と魔境のせめぎ合いや、精神世界と目の前に広がる現実の相剋を存分に描き出し、懐中電灯に象徴される「自分の道は自分で照らす」という静かな覚悟が示された映像作品となっています。
特に終盤に登場する、地下深くから新宿のアスファルトを破壊して突如出現した「逆ストゥーパ」へと光星人が飛び込んで行くダイナミックなカットは必見です。
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