【鈴木重子interview】ライヴを重ね発展させてきた“親密な響き”ーピアニスト木住野佳子とのデュオ・アルバムをリリース

鈴木重子   2011/01/27掲載
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【鈴木重子interview】ライヴを重ね発展させてきた“親密な響き”ーピアニスト木住野佳子とのデュオ・アルバムをリリース
 シンガー鈴木重子とピアニスト木住野佳子が出会って、おおよそ5年が過ぎた。その間、二人は幾度となく共演し、ゆっくりと曲線を描くように、共に歩み、コミュニケートし、互いに共感できる確かなものを見つけてきた。それは何だろう。彼女たちが探し当てたものが、新作デュオ・アルバム『with you』には収められている。二人は響き合い、歌声とピアノの音が一心同体となり……新作はそれらの結晶である。


――心鎮まる音楽ですね。お二人の息がピタリと合って、何か空気を共有している感じです。
 鈴木重子(vo/以下同)「木住野さんとのコラボでやり始めた最初の頃は、彼女のピアノ・トリオ+私のヴォーカルというかたちだったんですけど、2年目だったか3年目だったか、ピアノとヴォーカルだけでやってみようかという話になりましてね。二人だけだと互いの音がすごくよく聴こえて自由になれると思いましたし、それでやってみたら面白くて……。その後はいろんなコンサート・ホールやライヴハウスにも出演するようになりました。何度も何度もライヴやリハをやって、それらの繰り返しの中で培われた信頼感、そして、費やされた年月や労力、また、私たちの音楽を聴いてくださった方々の共感。そういうものが作ってくれた空気感かもしれませんね」
――音楽的な志向が似ていますね。
 「私たちは誕生日が一日違いの天秤座です。もちろん、異なるところもいろいろとありますが、バイオリズムも含めて似ているところも多く、二人の大きな共通点の一つが、選ぶ曲のジャンルが多岐にわたっていることです。私たちはジャズはもちろん、ボッサ、ポップス、日本の曲、さらにはクラシックなど、幅広いジャンルから気に入った曲を選びます。また、今度の新作でもそうですが、アレンジも含めた曲へのアプローチも、ジャンルにとらわれないで、私たちにしかないやり方で演奏したい、といつも思っています」
――新作でも、ジャズのスタンダードとして知られる曲のほか、(アントニオ・カルロス・)ジョビンのボサ・ノヴァやビートルズ時代のジョージ・ハリスンの曲、また、日本の懐かしい佳曲も歌っています。そして、二人のオリジナル曲もいい曲ですね。
 「二人で収録曲を決めていったときに、“やっぱりオリジナル曲も作って、入れたいよね”という話になり、作ってみたんです」
――アルバム冒頭の「my favorite things」は、静謐な空気の中、鈴木さんのア・カペラで始まり、木住野さんのピアノのイントロへと移行し、その後、二人の心通うデュエットが展開していきます。
 「ア・カペラのアイディアは私なんですが、その後に続くイントロはこんなふうに、と考えてくれたのは木住野さんです。今回のレコーディングでは、木住野さんも私もいろいろと感じたこと、ひらめいたことを互いに伝え合い、リハを実際にやってみながら、さらに発展させていき、そして、その作業を繰り返すことで、段々と形が決まっていった曲が多いんです。でも、そういう方法でやったからこそ、(曲の)世界観が深くなった。(レコーディングに)感謝しています。……たぶん、二人に一番共通しているのは、“自分がやる音楽への誠実さ”みたいなものかもしれませんね」
――その「my favorite things」と次の曲「a nightingale sang in berkeley square」は2曲が切れ目なくつながっているように聴こえます。さらに、3曲目の「falando de amor」と4曲目の「one note samba」もそうですね。
 「どちらもつながっているものとしてレコーディングしたんです。〈my favorite〜〉と〈a nightingale〜〉の間にある1分半ほどのピアノ演奏は、じつはインタールードなんです。あえて、そのことは掲示していませんが。1曲目と2曲目、3曲目と4曲目、どちらも木住野さんのピアノのすぐそばにマイクを置いて歌っています。つまり、両方ともライヴ録音状態なんですね。じつは、このレコーディングのとき、以前にも何回かあったんですが、“神様が降りてきた!”みたいな、そんなふうに感じる瞬間を体験しました」
――新しい年を迎えての抱負は?
 「いつでも私の内側にあふれるぐらいの音楽があって、それがどんな形になっても自然と外に出てくるような、そういう歌い手になっていきたいと思っています。そして、自分の声と体に向き合って、もっと自分を解き放っていきたいですね。ある意味、たとえば、自分が“音楽”が降りてくる透明なパイプみたいなものだとしたら、そのパイプをなるべくきれいに磨いて、滞りのないようにするのが、私の音楽家としての仕事であるようにも思います」
取材・文/上村敏晃
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