コントラバス奏者、溝入敬三の2019年と2025年の録音。コントラバス奏者が一人で演奏・朗読・歌唱する「小吉の夢」を含む自作自演曲と、松平頼暁、湯浅譲二、一柳慧が溝入のために書いた作品をもって、コントラバスの表現の深みを追求している。

ありそうで意外に少ないソルの大ソナタ2曲を完全収録。原はオリジナル19世紀ギターにガット弦を張り、指頭奏法を採用している。若き作曲家の表現意欲に満ちたこの大曲を、原は余すところなく表現し切っている。

オルガニスト、椎名雄一郎が北ドイツ・オルガン楽派の巨匠ブクステフーデのオルガン曲を演奏した作品集。ドイツの二つの教会に現存する2台のアルプ・シュニットガー製オルガンを用い、ブクステフーデが理想とする壮大で華やかな音響世界を再現している。

ベテラン堀の久々のアルバムはベートーヴェン中期の傑作群。堀の構成力、的確な音楽造形の力がよく出た演奏となっている。静謐さとダイナミズム、そのバランスの良さは、個々の作品への深い理解のたまものだろう。

ネムツォフは1980年ドイツ生まれの作曲家。この曲は、ユダヤ教の神秘主義思想カバラの創世神話をテーマとしている。ロックやノイズ、そしてオーケストラ音響と多層的な響きを追求した、70分におよぶ大作だ。

ショパンの前奏曲の間に、バスク生まれの現代作曲家ラスカノの前奏曲を組み合わせた意欲的なアルバム。ショパンのロマン派世界にラスカノの実験的なアンサンブル作品で呼応する。興味深くも刺激的な一枚だ。

これは珍しい作品。内田光子が日本人歴代最高位の2位に輝いた1970年のショパン・コンクールでの演奏が、2枚のCDにまとめられた。第1次予選からファイナルまでを収めた、内田が“世界の内田”となった瞬間の記録だ。

第1集の発売時に各誌で取り上げられ話題となった作品の続編。本作もまた大きな話題を呼び、好評を博すだろう。2022年から2024年にかけて委嘱、初演された作品で、前作とは作曲家のかぶりはなし。好奇心が膨らむ。

33歳で急逝したルーマニアの俊英ウルスレアサによる、第1次から第3次予選までの演奏から収録している。残念ながら最終選考には残らなかったが、ポーランド国営放送特別賞（聴衆賞）を受賞した。豊かな音楽性が聴き取れる。