コンピュータを使ったバーチャル・オーケストラが奏でる、オリジナルのピアノ協奏曲。4楽章ながら全37分という短めの演奏時間だが、比較的親しみやすいメロディを持つ。なかなか面白いアルバムになっている。

アルメニアのヴァイオリニスト、セルゲイ・ハチャトリャンによるイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲を収録。イザイが特定の優れたヴァイオリニストに捧げた六つのソナタを、ハチャトリャンがオリジナリティあふれる世界観で弾きこなす。

ハーゼルベック、ウィーン・アカデミー管によるベートーヴェン。その一連の録音はいずれも好評だが、本作のヴァイオリン協奏曲は、シュミットを迎えた、なんとカデンツァ全編ヴュータン作。刺激的な演奏を聴かせている。

イザベル・ファウストのソロによるブリテンのヴァイオリン協奏曲を収録。フルシャ指揮、バイエルン放送響と対峙する。「起床ラッパ」や組曲、「2つの小品」なども収録し、ブリテンの鮮烈な才気を感じられる一枚となっている。

ヴァンスカ、ミネソタ管によるマーラー・シリーズ。サンプソン、ワグナー、イムラーなどソリスト陣も充実している。ここでもヴァンスカならではの緻密で深い譜読みで、この巨大な曲をまとめ上げている。

コジマ録音設立50周年を記念して、作曲家・近藤譲が1976年に発表した作品が初CD化。強烈な弦楽四重奏曲の表題曲や5楽器によるアンサンブル作品をピアノソロのために編曲した高橋アキ演奏の「視覚リズム法」など、4曲を収録している。

アラールによるバッハの鍵盤楽器全集第9巻。本作はハス制作のチェンバロ（1740年製）を使い、ソロ、協奏曲、カンタータと多彩な内容になっている。アラールはこの楽器の特長を生かして、いきいきとした音楽を展開している。

サイトウ・キネン・フェスティバルにて、マーカス・ロバーツ・トリオとの共演で話題となった演奏会のライヴ収録だ。トリオによる即興を交えたロバーツのピアノとのスリリングな共演は聴きものだ。

小澤征爾初となるショスタコーヴィチの交響曲。得意とする曲であること、久しぶりのステージ、そして小澤肝煎りのサイトウ・キネン・フェスティヴァルという三つの要素が重なり、生命感にあふれる熱演が繰り広げられている。

チリの軍事政権批判の歌をジェフスキーが見事にピアノ曲にした「不屈の民」は、出ているCDがいずれも名演ぞろいだが、ここに新たに名盤が加わった。ベラルーシ出身のシバイエヴァが、渾身の演奏を繰り広げている。

小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラによる歌劇「青ひげ公の城」のライヴ録音。2011年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本で、4公演中2公演しか小澤が指揮しなかった公演の貴重な記録だ。2016年度レコード・アカデミー賞大賞受賞盤。

小澤征爾とサイトウ・キネン・オーケストラによるバルトークの名作2曲。古典的な均整感を漂わせながら民俗的要素を抽象的に昇華し、絶望や苦悩を表現した“弦チェレ”と、オーケストラの各パートを独奏楽器として起用した“オケコン”を収録。

病気療養から復帰した小澤が、2010年ニューヨークのカーネギー・ホールでライヴ収録したブラームスの第1番。盟友サイトウ・キネンo.と、カーネギー・ホールの聴衆を熱狂させた演奏が、存分に堪能できる。

ブラームスの第2番は2度目の録音で、ラヴェルはいずれも唯一のもの。円熟期の小澤による澄み切ったブラームスが感動的だ。ラヴェルは小澤の感度のいいリズム感と多彩な音色感が冴え冴えとした名演だ。

小澤の2種ある「戦争レクイエム」のうち、最初の録音。戦争の不条理を描いたブリテンの傑作を、充実したソリストたちと合唱団を率いて、過度に劇場型にならずに、しかも緊張感を持続しつつ、見事にまとめ上げている。

小澤征爾が病気療養より復活を遂げた2010年12月のニューヨーク公演から、最終日の「戦争レクイエム」を収録。80分余りの大曲のため休憩をはさんでの演奏となったが、高い緊張感を保って振り切っている。一期一会の快演。

小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラによるブルックナーの交響曲第7番を収録。ロマン派の真骨頂であるブルックナーを取り上げ、ワーグナーへの追悼の意を込めた楽章も含め、大規模で重厚な音色を繰り広げた一作だ。

2001年9月第10回サイトウ・キネン・フェスティバル松本でのライヴ録音。ベートーヴェンの交響曲の中でも室内楽的な第4番と第8番に、レオノーレ序曲第1番を併録。翌年の第9番のライヴ録音で小澤とSKOのベートーヴェン交響曲全集が完成した。

93年の交響曲第7番にはじまり、97年にはウィーンで、1998〜2002年はサイトウ・キネン・フェスティバル松本でベートーヴェンに取り組んできた小澤征爾。2000年第9回フェスで演奏された第5番「運命」と第2番、珍しい「葬送行進曲」を収録。

2016、2017年のセイジ・オザワ松本フェスティバルからのライヴ収録。交響曲第7番は23年ぶり、レオノーレ序曲第3番は19年ぶりの再録音だ。小澤の気迫にオーケストラが見事に応えた、感動的な演奏が繰り広げられた。

小澤の3種ある「第九」のうち、2度目の録音。ライヴ録音で、最も充実した演奏が繰り広げられている。各ソリストも合唱団も充実し、円熟した小澤の構成力も統率力も優れ、それに十分に応えるオーケストラも素晴らしい。

2007年のサイトウ・キネン・フェスティヴァルでのライヴ録音。幻想交響曲は、小澤の得意曲目で、熱気あふれる演奏が会場を興奮のるつぼと化している。対して、ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」での精妙極まりない演奏も印象的だ。

病気療養から復帰した小澤が、2010年カーネギー・ホールでライヴ収録した、十八番の幻想交響曲。オーケストラと一体となって、情熱的に、あるいは抒情的に「幻想」の多様な姿を見せ、小澤復活を印象付けた。

小澤征爾が5年ぶりにオーケストラ・コンサートを指揮したということで大いに盛り上がりを見せた、2014年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本のライヴ。オーケストラの感動的な熱演で、記念すべき一夜となった。

2008年9月に松本で行なわれたフェスティヴァルでの熱演を収録。マーラーの「巨人」は小澤征爾3度目の録音となる。サイトウ・キネン・オーケストラを駆使して、スケールの大きな迫力のある演奏を聴かせている。