【特別企画】Singer――菅原紗由理ドキュメント〜表現の本質を掴む19歳

THE SxPLAY   2010/05/21掲載
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 5月19日にフジテレビ系ドラマ『素直になれなくて』の挿入歌となるシングル「素直になれなくて」をリリースする菅原紗由理。ここでは華麗なるデビューから、一つ一つ確実に大きなハードルを乗り越えてきた彼女の魅力に迫る。ご本人だけでなく、関係者の証言も元に今までのキャリアを振り返り、シンガーとしてのポテンシャルを検証。
「聴いてくれた人の勇気や元気のきっかけになれれば―」
シンガー・菅原紗由理のデビュー秘話



菅原紗由理



 「喜びや、悲しみなど、生きていれば必ず感じる自分のいろんな想いを歌にして皆に伝えることって、すごい特別なことだと思うし、今まで自分自身、恋愛や友人関係のことで悩んだとき、いろんな歌に助けられることが多かったんです。だから私も、自分の歌が、聴いてくれた人の勇気や元気のきっかけになってもらえたら、どんなに幸せなんだろうと思って」


菅原紗由理 歌を志した理由について菅原紗由理は、こんなふうに語る。たとえばデビュー時のインタビューで、似たようなことを話すシンガーは他にもいるだろう。しかし、「聴いてくれた人の勇気や元気のきっかけになってもらえたら」という言葉にこれほど説得力がある歌い手は本当に稀だと思うし、そのことは多くのオーディエンス――「あの日の約束」「君がいるなら」といった楽曲に心を打たれた――によってすでに共有されているはずだ。自らのリアルな感情をまっすぐに響かせることで、聴く者の気持ちをしっかりと揺り動かす。そう、彼女は19歳にして、歌という表現の本質をきちんと掴みとっているのだ。

 1990年、秋田県・横手市に生まれた菅原は、「夏になると川に遊びに行ったりして。また、冬になると“かまくら祭り”というのが行なわれるくらいの豪雪地帯なので、両親と毎年2mくらいある、かまくらを本気で作ったりして遊んでました」という環境のなか、伸び伸びと育つ。また、地元でバンドをやっていたという父親の影響もあり、幼い頃から音楽に親しんでいたという。


 「父にギターを弾いてもらったり歌ってもらったりして……それに合わせて私も一緒に歌ってたなぁ……と。今考えると、ピアノのレッスンに行ったり、歌ったりと、常に音楽に触れているような環境で育ったんだと思います」(菅原)

 中学生の頃には「漠然とではあったんですけど、音楽に関わる仕事をしたいなぁとは思っていた」という彼女は、高校入学後、本格的に音楽の道に進むことを決意する。


 「あるアーティストのライヴをTVで観て、“私もこんなステージに立ちたい!!”と思って。そのライヴのお陰もあって、高校受験のタイミングとともに諦めかけていたオーディションにも、改めて応募するきっかけをくれたんです」(菅原)

 そのオーディションとは、2008年の初めに行なわれたレコード会社フォーライフミュージックエンタテイメント主催による<7DAYSオーディション&30DAYSオーディション>。このオーディションにデモ・テープを送ったことにより、彼女の運命は大きく動き始めることになる。そのときの経緯について、フォーライフ代表の後藤由多加氏は次のように説明する。


 「送ってきてくれたデモ・テープがすごく良かったので、まず当オーディションの“セレクトアーティスト”として選ぶことになりました。また、ちょうどその頃にそのオーディションとは別に“クラシックに日本語を乗せて楽曲制作をする”という企画が持ち上がっており、フランツ・リストの楽曲に日本語詞を乗せるアイディアがあったのですが、いいヴォーカリストが見つからずにいました。そしていろいろと模索する中で、菅原紗由理を起用してはどうかという提案があり秋田から来てもらいました。その企画を進める中で菅原のデモを録るうちに、彼女の声、ヴォーカル力の素晴らしさに改めて気付き、しばらくレッスンをすることになり、それから改めて彼女自身のデビューへと繋がっていきました」(フォーライフミュージックエンタテイメント代表・後藤由多加氏)

 天性ともいえるシンガーとしての高いポテンシャルは、当時からハッキリと際立っていたという。そのポイントはまず、声質の特徴にあったと後藤氏は語る。


 「特に地声からファルセットになるところの高音部の良さ、中音の安定感、そして説得力。ヴォイス・トレーニングをする以前から、そういう力が彼女の声にはありましたね」(後藤氏)

 また、「稀にみるほど、目の力強さがとても印象的でしたね」と彼女の第一印象を語るプロデューサーのSin(中島美嘉松たか子上戸彩などの楽曲を手がけてきたクリエイター)も、その素質を高く評価していたという。


 「後藤社長から、彼女のオーディションのデモ・テープを聴かせていただいたんですよ。まだ粗削りだけど、独特な色を感じました。そして、この声は必ず聴いてくれる人のココロに響くだろうと確信しました」(Sin)

 その後、菅原は秋田と東京を往復しながら、ヴォイス・トレーニングとデモ・レコーディングの日々を送る。まだ高校生だった彼女にとって、ひとりで東京に行き、メジャー・レーベルのスタッフのなかで歌を歌うことは、大変なプレッシャーだったはずだ。


 「あとは、冬休みなど長期休暇はレコーディングのため、東京に2週間ほど滞在したりしていたので、慣れない東京に一人という、その時の孤独感は忘れません」(菅原)

 この頃に感じていたこと、考えたいたことを彼女は、ノートに記しているという。自分のなかに生まれた感情と向き合い、それを言葉にしていくことはおそらく、シンガーとしての表現力に繋がっていったのだと思う(彼女はいまでも、レコーディングやライヴで気づいたことをきちんとメモしている。この性格もまた、きわめてプロ向きだと思う)。


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