よりパンクで、よりニューウェイヴ――バンドの本質を徹底的に追及したPOLYSICSのニュー・アルバム『Absolute POLYSICS』が完成!

POLYSICS   2009/09/24掲載
はてなブックマークに追加
 前作『We ate the machine』から1年5ヵ月。その間、国内外を飛び回り、屈強のライヴ・バンドとしてあいかわらずの働きモノっぷりを見せてくれたPOLYSICSが、ニュー・アルバム『Absolute POLYSICS』を完成させた。そのタイトルからも窺えるように、今作で繰り広げられているのは、よりパンクで、よりニューウェイヴ――つまりは、POLYSICSを“徹底的”に突き詰めた世界観。その時間、35分強。彼らのみなぎるエネルギー、パッション、自信をあますことなくパッケージした、ただただ「短ぇ!」では終わらない、濃厚なアルバムだ。
――『Absolute POLYSICS』という、バンドの意思をここまであからさまに出したタイトルも今までなかったと思うんですが、こういったムードになったきっかけっていうのは?
ハヤシ(以下、同) 「きっかけはね、2月にリリースされたインディ時代のリマスター盤(『1st P/A・D・S・R・M!』)で。あれを聴いたときに、このムードを今のPOLYSICSでやったら新しいものができるかもしれないって。でも、意図して昔の感じをやるのもどうかと思ったんで、じゃあここはひとつ、なにも考えずに曲を作ってみようかなって。そしたら〈Beat Flash〉(シングル〈Shout Aloud!〉のカップリング)みたいな曲ができて」
――たしかに、「Beat Flash」は初期のムードと最新のムードを併せ持った曲ですね。
 「だからもう、この調子でなにも考えずにやっていってもいいなあって(笑)。なにも考えない……っていうか、自然に湧き出たものをスタジオに持っていって、みんなでセッションして、新しいものを作ろうって感じになったんですね。ここ何年かは、みんなの手が挙がるような曲を作ろうとか、四つ打ちの曲を作ったらみんな踊りやすいかなとか、ニーズを読んだ曲作りになっていて。それは頻繁に海外ツアーに出てたことが大きいんだけど……言葉が通じないぶんわかりやすいものを作ろうっていうね。で、そういうのは前の『We ate the machine』でひとつやりきった感じはあって」





――『We ate the machine』以降ということでは、DEVOとのツーマン・ライヴもすごく刺激になったんじゃないですか?
 「自分の好きなものは間違ってなかったって思いましたね。DEVOがやってることって昔も今も変わってないんだけど、過去のものを観ている気がまったくしなかったし、DEVOを初めて聴いて、じゃあ、オレもバンドやろう!と思ってPOLYSICSを結成したときの興奮が甦りました。でも、共演した直後は、余韻を引きずりすぎて、ぜんぜん曲ができなかったんだけど(笑)」
――で、『Absolute POLYSICS』なんですが、アイゴン(會田茂一)さんと岡野ハジメさんに数曲プロデュースしてもらってますよね。
 「そろそろ、外からの血を入れるのもおもしろいんじゃないかなって。アイゴンさんは、感覚がギタリストだから、リズム的にはちょっと突っ込んだりしていても“かっこいい音が録れてるんだからOKじゃん!”みたいな感じだったし、岡野さんは6年ぶりにプロデュースしてもらったんだけど、やっぱりリズムの解釈がすごくて。岡野さんには最初〈Young OH! OH!〉のデモを聴かせたんだけど、“変わんないねえ、いい意味で”って言われました(笑)。あと、僕と岡野さんのあいだで“ツーバス”が盛り上がってて、僕はミニストリーKMFDMばっか聴いてて、岡野さんはドラゴンフォースばっか聴いてて、ドラムのヤノにどうやってツーバスを叩かせようかってことばっか考えたりとか(笑)、そういうところでも波長が合ったりして、楽しかったですね」
――アルバムは14曲で35分強と、すごくスピーディーなものになりましたね。でも、勢いだけではなくバリエーションもあって、いつも以上にパンクだし、いつも以上にニューウェイヴ。
 「自分がそもそも好きなスタイルっていうかね。やっぱDEVOとか初期のP-MODELXTCみたいな、ジャンプして、汗かいて、目をひんむいて歌ったり、っていう感じ。結成当時、“それをやるのってどうだろう?”とは思ったけど、やりたいことをやり始めたら、見事に同じようなバンドはいなかった(笑)……そういうことも今回の作品を作ってるときに思い返したし、常に既存のスタイルを壊してやるっていうパンク精神も再確認したし、POLYSICSが機械を使う意義みたいなものをさらに突き詰めていった結果だとか、いろんな要素があって今回のアルバムができたと思いますね。曲の分数に関してはまったく意図してなくて、曲がいちばん良い状態で聴けるようにしようと思ったらこのタイム。そういう意味では、だんだん曲作りに対する考えがシンプルになってるのかもしれないですね」


取材・文/久保田泰平(2009年8月)



【POLYSICSライヴ情報】
9月21日(月・祝)の長崎DRUM Be-7を皮切りに全19都市を廻る秋のジャパン・ツアー〈POLYSICS WORLD TOUR OR DIE 2009!!! 〜秋はウハウハ!ツアーでOH! OH!〜〉がスタート! 10月30日(金)からは早くも次のツアー〈POLYSICS WORLD TOUR OR DIE 2009!!!  AbsoluteでGO!!!!〜〉が新潟LOTSを皮切りにスタート! そして2010年3月14日(日)には初の武道館公演〈POLYSICSメジャーデビュー10周年スペシャルライブ!!〜BUDOKAN OR DIE!!!!〜〉を開催! 詳しくはPOLYSICS公式サイト(http://www.polysics.com/)、武道館公演特設サイト(http://POLYSICSxBUDOKAN.com/)をチェック!
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 魚返明未 日本の新世代ジャズを牽引するピアニストが、新たなトリオでアルバムを発表[インタビュー] みやけん 人気ピアノYouTuber 『俺のヒットパレード!』第4弾リリース!
[インタビュー] Billyrrom 注目の新世代バンドに聞く新章突入と〈HEADZ 〜NEW HOT WAVE〜〉出演への思い[インタビュー] 町あかりの歌謡曲・春夏秋冬 春のテーマは「ディスコ」!
[インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ
[インタビュー] 文坂なの \[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル
[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ![インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー!
[インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015