KOKIA、広大なチュニジアの風景にインスパイアされ完成 “生きる”ことの本質に迫る新作『REAL WORLD』

KOKIA   2010/03/30掲載
はてなブックマークに追加
 配信三部作として発表された「君をさがして」「single mother」「孤独な生きもの」を含むKOKIAのニュー・アルバム『REAL WORLD』。チュニジア〜サハラ砂漠への旅、そこで経験した想像を超える風景にインスパイアされた本作には、“生と死”“女性”“地球”といった深遠なテーマをナチュラルに含みながら、荘厳で美しいサウンドスケープが描かれている。純度の高いヴォーカルともに未知の風景に出会い、生きることの本質に気づかされる――このアルバムにはそんな“効果”が確かに備わっている。


KOKIA



――今回のアルバム『REAL WORLD』は、去年、KOKIAさんがサハラ砂漠を訪れたときの経験が強く反映されているそうですね。
KOKIA(以下、同) 「はい。現地に行ったときは、まだアルバムの影も形もなかったんですけどね」
――え、そうなんですか? じゃあ、どうしてサハラ砂漠に行くことになったんですか?
 「去年の秋くらいに“次のアルバムは来年の3月くらいに出したい”っていうのは決まっていたんですけど、なかなか曲のイメージが湧いてこなかったんです。“さて、どうしようかな”って笑いながら焦っていたんですけど、ちょうどその頃、パリ在住の日本人カメラマンの方とお食事をする機会があって、その方が“ぜひ、KOKIAさんに行ってほしい場所があるんですよね”って教えてくれたのが、チュニジアのサハラ砂漠だったんです。そのとき、“これは行ったほうがいい”ってすごく思ったんですよ。ここで自分を奮わせないと、何も起きないんじゃないかって」
――創作を活性化する何かが必要だった、と。
 「私はずっと“まず映像やビジュアルが頭のなかにあって、それを音にしていくんです”"っと自らの作曲過程について話してきたんですけど、それであれば実際に今回のように、出会った風景にインスパイアされて曲を書くというやり方があるのでは?と思いました。それは自分にとっても“ニュー”だったし、同時に自分らしいやり方でもあるのかなって」
KOKIA――旅行中にも曲は生まれてきたんですか?
 「そうですね。サハラ砂漠だけじゃなくて、チュニジアを旅行しているときに出会った風景のすべてが、自分の想像を遥かに超えていて――。アルバムの1曲目の<Birth>は、チュニジアのショット・エル・ジェリドっていう5,000キロ平方メートル続く塩の湖の光景がもとになっているんです。撮影のために朝日が昇るのを待っていたんですけど、“ここはホントに地球なの?”って思うほどの美しい光景を前にした時、涙が出てきちゃったんですよね。この光はすべての人に平等に注がれる。自然は何の見返りを求めず、すごいエネルギーを私たちに与えてくれているんだって思ったら、“ありがとう”って感謝せずにはいられなくなって」



――すごい体験ですね、それは。それがKOKIAさんのなかに吸収されて、楽曲として表現されていくっていう。
 「経験したことがあまりにも大きすぎて、それを自分のなかで落ち着かせるのにちょっと時間がかかりましたけど(笑)。でも、このアルバムの半分以上はチュニジアを旅行したあとに生まれた曲なんです。<Birth><REAL WORLD><最終上映><Love is us,Love is Earth><孤独な生きもの><音の旅人><私が見たもの>、それから<この地球がまるいお陰で>もそうですね」
――どこかでテーマが繋がってますよね。“生と死”という根源的なことも強く感じられるし。
 「いままではどちらかというと、“生きる”ということをクローズ・アップすることが多かったんですよね。死に対しては、漠然とした恐怖しかなかったんですけど、サハラに行っていろんなことを感じているうちに変わってきて。宇宙のなかの小さな一部というか、あのスケールのなかでは、自分の存在は一瞬でしかないんだなって受け入れることができたというか」
――アルバム最後の「The woman」も印象的でした。まさに女性そのものを歌っていて。
 「チュニジアに出発する前、自分のなかで“こんなアルバムにしたい”っていうキーワードを書き出していったんですけど、そのときはアルバムを“The woman”というタイトルにしようと思ってたんです。(曲が出来なくて)悩んでいた時期でもあったし、ミュージシャンとしてはもちろん、“ひとりの女性としてどう生きていったらいいか”ということも考えなくちゃいけないなって。私はワーカホリックって言われるくらい仕事が好きなんですけど、“アルバムをリリースして、ツアーをやっていて”っていうのをただ繰り返すだけじゃどんなに頑張っていてもダメだなって思い始めていたんですよね。大きな意味でいうと、すべてを受け入れて、包み込んで、慰めてあげられるような女性でありたいなって。そういう存在として世に放たれていると思うんですよ、女性はみんな」
――サウンドのスケールも歌の世界観も大きく広がって。また新しい表現に辿り着いたアルバムだと思います。
 「何て言うか、経験がすべてなんですよね。試練もそうだし、素敵なこと、素晴らしいことを含め、想像を超えた経験から生まれるものを伝えてゆきたいと思っているので」
――なるほど。でも、砂漠での撮影は大変だったんじゃないですか?
 「大変でした、スチールもムービーも。ずっと砂が舞ってるから、目を開けられないんですよ。私もデジカメを2台持っていったんですけど、砂が入ってしまって、10分くらいで動かなくなっちゃいましたね(笑)」
取材・文/森 朋之(2010年3月)



KOKIA concert tour 2010『音の旅人』

■4月10日(土)福岡イムズホール
※指定席完売しました。若干の立ち見席有り、下記にお問合せ下さい。
※お問い合わせ キョードー西日本 092-714-0159
http://www.kyodo-west.co.jp

■4月18日(日)名古屋・テレピアホール
※完売しました。

■4月24日(土) (大阪)大阪ビジネスパーク 円形ホール
※完売しました。

■4月30日(金) (東京)渋谷Bunkamura オーチャードホール
開場17:30 / 開演18:30
料金¥6,500(全席指定)
※お問合せ サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
(全日10:00〜19:00)
http://www.sunrisetokyo.com/

【追加公演】
4月25日(日)大阪ビジネスパーク 円形ホール
開場17:30 / 開演18:00
料金¥6,000 (全席指定)
※お問い合わせ:Songs / 06-6353-6601
http://www.songs.jp
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ
[インタビュー] 文坂なの \[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル
[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ![インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー!
[インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音
[インタビュー] 思い出とともに甦る名曲の数々 藤あや子のカヴァー・アルバム[インタビュー] 紫 充実の新作を発表、海外フェスへの出演決定と結成55周年に向け勢いを増すバンドの現在と未来
[インタビュー] RISA KUMON バイリンガル・シンガー・ソングライター  ユニバーサルなアルバムでデビュー[インタビュー] HAIIRO DE ROSSI ジャズ・ラップの金字塔 10枚目にして最高傑作
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015