【高嶋ちさ子】いつも頭にあるのはコンサートのアイディア 楽しんでもらうための工夫が詰まった新作アルバム

高嶋ちさ子   2013/09/19掲載
はてなブックマークに追加
 2011年にデビュー15周年記念として発表されたアルバム『アダージェット〜マイ・ベスト・クラシカル・メロディーズ』の続編というべきアルバム『ロマンティック・メロディーズ〜マイ・ベスト・クラシックス』がリリースされた。ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」やメンデルスゾーンの「歌の翼に」など、クラシックのコアなファンでなくても知っているような親しみやすい楽曲を中心とした選曲で、愛用のストラディバリウスが美しい音色を響かせる。そこから見えるのは毒舌キャラとは異なる、優しい人柄とクラシックを愛する心。しかも全曲ポップ・ソングと同じ5分前後にアレンジされている。ここにも高嶋ちさ子のこだわりが感じられる作品になっている。


――多彩で、親しみやすい選曲について、まずは聞かせてもらえますか。
 「アルバムは、コンサートで演奏することを前提に選曲しています。それが8割で、残りの2割は、自分の趣味に走っていますね。ひとりで選ぶと偏りがちなので、選曲のミーティングは、スタッフや父(ビートルズを日本に紹介した初代ディレクターとして知られる高嶋弘之氏。現在は高嶋音楽事務所社長)を入れて。それがヴァラエティ豊かになる理由かと思いますが、多彩と言えば聞こえがいいけれど、すごくバラバラでしょ、私の性格みたいに(笑)。コンサートでも緩急の差が激しいので、お客さんによく、ジェットコースターに乗っているような気分だったと言われます」
――趣味に走った2割は、アメリカ大陸の作曲家の作品になりますか?
 「そうですね。ヴィラ = ロボスとかシェーンフィールドは、アメリカにいた頃に好きになった作曲家で、彼らの作品のなかでも比較的聴きやすい曲を選んでいます」
――どの曲も5分以下という短さにアレンジされていますが、これはどうしてですか。
 「このアルバムは、クラシック音楽の“目次”のようなものだと思っています。たとえばヴィラ = ロボスは知らなかったけれど、いい曲だからネットで検索してみようとか、二次的要素につながることも期待していますし、あくまでも“目次”ですから、聴いていて疲れない程度の短い曲に編曲するのが大切かなと思っています」
――クラシックの入口になりたい、という気持ちがやっぱり強いのでしょうか。
 「よくそう言われるのですが、基本は私のコンサートに来ていただきたい、という気持ちが強いですね。アルバムを聴いてコンサートに来ていただき、ついでにリピーターになっていただく。そのためのアルバムです(笑)」
――そのコンサートは、エンタテインメントに徹していますね。トークで笑いを誘い、共演の12人のヴァイオリニストは踊りまで!
 「アンドレ・リュウさんにしても、海外のコンサートを観たりすると、観客に楽しんでもらうために、知恵を絞って演出を考えているじゃないですか。私はお客さんを驚かせたいという気持ちがあるので、いろいろやってみるわけですよ、踊りとかね(笑)」
――12人のメンバーに聞きましたよ。高嶋さんはトークの採点がすごく厳しいと。
 「お互いに評価し合って、ダメ出しをしていかないと成長しないから。私は父の遺伝でプロデュース能力があるというか、演奏から演出、トークまでいろいろ見えてしまうので、気になって仕方ないんです。本当はプロデュース業をやりたいくらい。地方のコンサート・ホールの音楽監督とか。アイディアは、すごくいっぱいあるのに時間がない。自分が5人欲しいくらいです」
――子育てをしながらでは時間はないですよね。お忙しいでしょ?
 「毎日、もう無理! と思うわけです。料理しながら、ベビーシッターさんに“もう限界”と嘆いたり、“すごく頑張っている私を褒めて”とか言ってみたり(笑)。でも、現実には1年先までスケジュールが決まっているし、母親業を疎かにすると、子供に迷惑をかけてしまう。演奏家としては、すごく練習をしなくては弾けないけれど、弾くと美しい曲をやりたいとも思うわけですが、でも、今はその時期ではないんだと考えるようにしていますね」
――ところで、今夏の猛暑。気になるのが楽器への影響です。愛用のストラディバリウス“ルーシー”は、大丈夫ですか。
 「すごく健康に恵まれた楽器で。購入した時は湿気の管理など細かく言われたのですが、私は聞く耳持たずで、“自分で適応してね”なんて、楽器に対して思っていたんですね。そうやって甘やかさないでいると、楽器もたくましくなるもので、健康体そのものです」
――では、最後に多忙な高嶋さんの今後の予定、ヴィジョンを教えていただけますか。
 「いつも頭にあるのはコンサートのアイディア。それとヴァイオリンという楽器を使って、音楽を通して、何かできることはないかということ。今はネパールとフィリピンの貧困層の教育に貢献できないかと模索しているところです。近いうちに12人のヴァイオリニストと一緒にフィリピンへ行って、実際にどんなことが出来るのか、いろいろ経験してきたいと思っています」
取材・文 / 服部のり子(2013年7月)
高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト
ロマンティック・メロディーズ〜マイ・ベスト・クラシックス


9月13日(金)石川・石川県立音楽堂
9月14日(土)福井・ハーモニーホールふくい
9月16日(月・祝)新潟・りゅーとぴあコンサートホール
9月18日(水)【めざましクラシックス】神奈川・横浜みなとみらいホール
9月19日(木)茨城・常陸太田市民交流センター
9月21日(土)栃木・栃木県壬生町中央公民館
9月22日(日)群馬・伊勢崎市文化会館
9月28日(土)東京・オリンパスホール八王子
9月29日(日)千葉・千葉県南総文化ホール
10月1日(火)茨城・茨城県立県民文化センター
10月6日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
10月12日(土)茨城・鹿嶋勤労文化会館
10月13日(日)東京・秋川きららホール
10月14日(月・祝)愛知・愛知県日進市民会館
10月17日(木)茨城・茨城県立県民文化センター
10月19日(土)岡山・高梁総合文化会館
10月23日(水)茨城・茨城県立県民文化センター
10月26日(土)大阪・ザ・シンフォニーホール
10月27日(日)東京・かつしかシンフォニーヒルズ
11月15日(金)北海道・札幌コンサートホールKitara大ホール
11月17日(日)埼玉・深谷市民文化会館
11月23日(土)神奈川・平塚市中央公民館
11月24日(日)宮城・仙台市民会館
12月7日(土)三重・三重県亀山市文化会館
12月8日(日)京都・宇治市文化センター大ホール
12月12日(木)静岡・三島市民文化会館
12月14日(土)福岡・福岡国際会議場
12月17日(火)東京・サントリーホール
12月21日(土)和歌山・新宮市市民会館
12月22日(日)愛知・愛知県芸術劇場コンサートホール
12月26日(木)【めざましクラシックス】銀座


※詳細は高嶋ちさ子オフィシャル・サイトへ
www.j-two.co.jp/chisako/
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] みやけん 人気ピアノYouTuber 『俺のヒットパレード!』第4弾リリース![インタビュー] Billyrrom 注目の新世代バンドに聞く新章突入と〈HEADZ 〜NEW HOT WAVE〜〉出演への思い
[インタビュー] 町あかりの歌謡曲・春夏秋冬 春のテーマは「ディスコ」![インタビュー] Arvin homa aya  実力派シンガーの話題曲 アナログで連続リリース
[インタビュー] ジェイコブ・コーラー × kiki ピアノ 凄腕師弟コンビ[インタビュー] 文坂なの \
[インタビュー] 人気ジャズ・ピアニストが立ち上げた新レーベル 第1弾は田中裕梨とのコラボ・シングル[特集] いよいよ完結!? 戦慄怪奇ワールド コワすぎ!
[インタビュー] you-show まずは目指せ、新宿制覇! 新宿発の楽曲派アイドル・グループがデビュー![インタビュー] 想像を超えた創造。タフでラフでラブな一枚 崇勲×ichiyonのジョイント・アルバム
[インタビュー] 千住 明、オペラ・アリアをヴァイオリンで 千住真理子とともに20年以上前の編曲スコアを再録音[インタビュー] 思い出とともに甦る名曲の数々 藤あや子のカヴァー・アルバム
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015