【カルロス・ヌニェス】来日公演直前! スペインの多様な地域がステージで一堂に会する史上初の試み

カルロス・ヌニェス   2013/10/01掲載
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Carlos Nunez
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 スペイン・ガリシア地方に根づくガイタ(バグパイプ)の名手というだけでなく、インター・ケルティックな音楽シーンを代表するキーマンの一人であり、『ゲド戦記』アレハンドロ・アメナーバル監督の『海を飛ぶ夢』といった映画音楽の仕事でも知られるようになったカルロス・ヌニェス。この10月には、バスク地方の伝統楽器チャラパルタを奏でる2人組のオレカTXとフラメンコ・ピアニストのP・リカルド・ミーニョが共演するステージを日本で披露する。公演に先立ち来日したカルロスに話を聞いた。
――これまでのキャリアを総括するような2枚組ベスト『ディスカヴァー』が日本でもリリースされました。デビュー当時から、音楽的取り組みに関して変わった点はありますか?
 「音楽の作り方やスピリットについては変わっていません。けれども、世界中を旅してきましたからね。ずっと音楽的な旅を続けて、ブラジルでアルバムを制作したり、映画音楽に携わったり、交響楽団とクラシック音楽を演じたりしてきました。10月に日本で行なわれるコンサートは、スペインの多様な地域が一堂に会するものとなります。ケルトとバスク地方の音楽、アンダルシア地方のフラメンコがステージで一緒になるというのは、史上初の試みだと思いますよ。日本ではいつもほかとは違うチャレンジを求められます。そのアイディアをヨーロッパに持ち帰ると、とても驚かれるんです」
――仙台藩の伊達政宗から命を受け、スペインに到達した支倉常長の遣欧使節団が出帆して今年で400年。日本スペイン交流400周年記念にちなむイベントということにもなるわけですが、日本との交流も意識した内容となるのでしょうか?
左がガリシアの、右が三陸のホタテ貝
 「もちろん。ひとつのシンボルとなるのがホタテ貝です。ホタテは、ガリシアの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを巡礼する人のシンボルであり、当地ではとても重要なものなんです。その貝殻は楽器としても用いられるのですが(2枚の貝殻の凹凸部を擦り合わせて音を出す)、今回、三陸の恋し浜を訪問し、子どもたちにガリシアでホタテを使い、どのように演奏するのか見せました。恋し浜では、ホタテの貝殻に自分の願い事を書いて掛けておくのだといいます。そのホタテを楽器とすることで、ガリシアと三陸という、いずれもリアス式海岸のある場所に住む人間の繋がりを示すシンボルとなるのではないかと思います」
――バスクとフラメンコの音楽家だけでなく、自身のバンドも従えての来日となりますか?
 「はい。アイルランドの女性フィドル奏者で、若きスター候補のタラ・ブレーンが私のバンドの一員として参加することになります。素晴らしいプレーヤーで、チーフタンズが次のアメリカ・ツアーで私から彼女を奪っていくみたいですよ(笑)」
――年代的にも後進を育成するような立場になっているのではないかと思いますが。
 「私が若いころ、チーフタンズがしてくれたように、新人を押し上げていくことができればと思っています。チーフタンズと演奏できるなんて、私にとっては大きな夢が叶った、人生を変える出来事でしたから」
――一方で、今年の4月には1930年生まれのガイタ奏者エンリケ・オテーロが亡くなりました。古老から伝統を受け継いでいくことも大切になりますね。
 「エンリケ・オテーロは私の音楽学校の先生でした。クラシック音楽の学校で初めて教壇についたガイタの演奏家だったんです。もう一人の私の先生リカルド・ポルテーラは、ガイタ奏者というのは宝物の守護者なんだよ、と教えてくれました。ガリシアでは、伝統が長きにわたって継承されてきています。ガイタの奏法などについても、古くからの知恵がいまだに生きている。それが、ガリシアの宝ということになるかと思います」
取材・文 / 長嶺 修(2013年9月)
カルロス・ヌニェス 特別公演
日本スペイン交流400周年記念
カルロス・ヌニェス 特別公演


■ 10月12日(土)
東京 すみだトリフォニーホール

〒130-0013 墨田区錦糸1-2-3

■ 10月13日(日)
埼玉 所沢市民文化センター ミューズ アークホール

〒359-0042 埼玉県所沢市並木1-9-1

■ 10月14日(月)
静岡 焼津文化会館

〒425-8585 静岡県焼津市三ケ名1550

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