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鬼才指揮者テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ、初来日記念トークセッション開催

テオドール・クレンツィス   2019/02/13掲載(Last Update:19/02/14 09:50)
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鬼才指揮者テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ、初来日記念トークセッション開催
 全世界で旋風を巻き起こしているギリシャ出身の鬼才指揮者、テオドール・クルレンツィス(Teodor Currentzis)と、クルレンツィスによりロシアを中心に各地から集められた精鋭により結成され、現在はロシア・ペルミのレジデント・アンサンブル / ペルミ国立オペラ・バレエ劇場の第1オーケストラでもある楽団ムジカエテルナが、初来日ツアーを東京・大阪で開催中。2月12日(火)には〈クルレンツィス×ムジカエテルナ 初来日記念トークセッション〉が東京・六本木 アークヒルズカフェで行なわれ、編集者の若林 恵による司会と井上裕佳子による通訳のもと、クルレンツィス、本ツアーにソリストとして出演しているヴァイオリニストのパトリツィア・コパチンスカヤ(Patricia Kopatchinskaja)、ペルミ・オペラ・バレエ劇場ゼネラル・プロデューサー兼ムジカエテルナ事務局長のマルク・デ・モニー(Marc de Mauny)が登壇し、音楽観や日本の印象などを語りました。トークセッションの全貌はYouTubeで視聴できます。

 トークセッションの冒頭でクルレンツィスは「日本ではたくさんのコンサートが常に行なわれている。これだけ情報が蔓延しているなかでも、新しい方法、音楽に触れていただける機会を提供できることを嬉しく思っています。私たちが価値があると思っているものはなにかというと、クラシック音楽に新しい情報を吹き込むことではないでしょうか。そしてこのクラシック音楽が将来的にも栄えるような、その種を植えていかなければならないと思います。私たちの仕事は、この新鮮な空気を送り込むということ。そうすることにより、音楽の理解というものに、新たな次元が加わればと思うのです。私たちの演奏は賛否両論です。ですが私たちはけっしてそうではなく、どちらかというと保守的だと考えています。というのは、私たちは作曲家が本当に求めていたものはなんなのか、そこに自分たちの信念をもって音楽を奏でているからです。なので、作曲家の方が私たちの演奏を聴いたらハッピーでいてくれる、満足していただけるのではないかな、という演奏しかしておりません。世の中というのは、商業的になっているのかもしれません。自分の信念で物事をしなくなってきている。なので、信念をもってなにかをする人を見ると、逆に奇妙に映るのかもしれない。でも私たちは、それが重要だと思っています」とコメント。

 続けてコパチンスカヤは「私は日本が大好きです。来るたびに、もっと日本に来たいなと思います。日本のみなさまはやはり、耳がほかとはちょっと違うのかなと、演奏するたびに感じるのです。ほかとは違うなにか、フィルターを持って音楽を聴かれている、そういうような力を感じます。日本のみなさまは、理解、感性が違うのかなと思います。たとえば歌舞伎や能を、私はまったく理解しておりません。ですがなにか、魅了されるものはあります。みなさまの持っているエネルギーというのは、西洋人とはまったく異なると思います。日本のみなさまの緊迫感の理解度、そして静寂の理解度、動きの理解度、そういったことはすべて謎めいている。それと比べると、我々はまるで象のような感性だなと感じてしまうんです」と日本の印象について語りました。

 モニーはムジカエテルナ初来日の手応えについて「いまのところすばらしい経験をさせていただいています。今年はムジカエテルナにとっても変革の年だと思っています。なのでこのツアーを日本で始められるということは、私たちにとっても、新しい地平線を迎えている気分です。立地的なことだけでなく、文化的にも、精神的にも、意味のあることなのではないかと思っています。私たちは、今まで日本で2箇所のホール(注: 東京・渋谷 Bunkamuraオーチャードホール、東京・錦糸町 すみだトリフォニーホール)で公演させていただきました。ロシア、ヨーロッパ外でコンサートするのは初めてのことなのですが、私の記憶のかぎり、ここ数年間の間で、楽章の間で拍手が起こらなかった、めずらしいコンサートだなと(笑)。日本のお客さまの集中、音楽家や音楽に対するリスペクトや感謝の気持ちというのは、我々にとってもかけがえのない、すばらしい環境です。これだけ熱心に聴いてくださるかたとの出会いというのは、大きな喜びでもあります。今回のプログラムはチャイコフスキーが多いのですが、やはりチャイコフスキーの音楽といえば、愛情にあふれていますよね。なので、この日本の聴衆のみなさまと出会えたことを、二人の恋人が初めて出会ったときに“お互いのためにいるのだな”と思うような、あるいは昔から知っている人と会うような、そういう気持ちになりました」とコメントしました。

 クルレンツィス&ムジカエテルナは今後、2月13日(水)に東京・赤坂 サントリーホール(チケット完売)、2月14日(木)に大阪・フェスティバルホールでコンサートを行ないます。



テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ
www.musicaeterna2019.jp

2019年2月13日(水)
東京 赤坂 サントリーホール
開演 19:00
※チケット完売

2019年2月14日(木)
大阪 フェスティバルホール
開演 19:00
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