CBS・ソニー(当時)に残された日本の文化・芸能の大変貴重な音源をCDで復刻する『ニッポンの響き』シリーズが、9月25日(水)にソニー・ミュージックダイレクトより発売。記念すべき第一弾を飾るのは、
『DAI-DO-GEI』、
『最後の幇間(たいこもち) 悠玄亭玉介の世界』、
桜井敏雄の
『ヴァイオリン演歌』の3タイトル。
『DAI-DO-GEI』(1978年作品 / 初CD化)は、今ではなかなか巡り会えない“大道芸”の数々を収録したアルバム。1978年に行なわれた〈第一回大須大道町人祭〉(名古屋)の様子を、今年没後30年となる
寺山修司の監修のもとで実況録音。“バナナの叩き売り”“ガマの油売り”“薬草売り”“見世物小屋”“のぞきからくり”“人間ポンプ”など、客との丁丁発止のやりとりをそのまま収録しており、アルバムの最初と最後には寺山自身によるナレーションも収録。
『最後の幇間(たいこもち) 悠玄亭玉介の世界』(1979年作品 / 初CD化)は、客がその座敷に“たいこもち”を呼び、芸者を招き……というシチュエーションそのままに、浅草の料亭でお座敷をライヴ録音したもの。なお、“幇間(たいこもち)”とは、酒席において客と店・芸者の間をとりもち、その席を演出する芸人のこと。もはや古典落語の世界でしか出会うことのない“たいこもち”の本当の姿を記録した大変貴重な録音です。
そして最後は“演歌師”桜井敏雄(1909〜1996)の『ヴァイオリン演歌』。1992年、
なぎら健壱を相手に“演歌”の歴史を語りながら、その代表曲を聴かせるスタジオ録音の CDとして発売された『ザ・ヴァイオリン演歌』と、1983年に演歌師仲間が集まり、浅草木馬亭でライブ録音された『復活!ヴァイオリン演歌』(初CD化)をカップリングした2枚組となります。
ここでいう“演歌”は、俗に言う“演歌”とは異なり、明治の頃、自由民権の主張を壮士が演説の代わりに街頭で唄った“演説歌”がルーツの、言わばプロテスト・ソング。やがて“演説歌”も世情を唄うソフトで洗練されたものになり、その座をギターやアコーディオンに乗っ取られるまでは、ヴァイオリンを武器に弾き語る、というのが演歌師のスタイルでした。
昭和に入ると、メディアの普及により演歌師の活躍の場は激減しますが、そんな中、明治からの演歌の名曲を継承し、平成の御代まで演歌師のスタイルを守り通したのが、桜井敏雄その人です。
今では失われつつある日本の文化、芸能の貴重な資料としても大変価値のある音源の数々を復刻する、『ニッポンの響き』シリーズ。第二弾は12月末、今東光『極道辻説法+続・極道辻説法』などが発売予定! お楽しみに!