「蘇州夜曲」「愛国の花」などのヒットで知られる歌手の
渡辺はま子が、1938(昭和13)年に録音したものの、発売されることのなかった幻の音源「あの日のわたし」が発見され、8月23日(水)に発売のアルバム『
渡辺はま子の世界〜蘇州夜曲』に収録されることが明らかになりました。
渡辺はま子は1933(昭和8)年に歌手デビュー、1937(昭和12)年にコロムビアに移籍。翌1938(昭和13)年には
古関裕而作曲の「愛国の花」が大ヒットし、同年発売の「シナの夜」、1939(昭和14)年発売の「広東ブルース」「いとしあの星」、1940(昭和15)年発売の「蘇州夜曲」の大ヒットによりチャイナ・メロディの女王と呼ばれるようになります。
このたび発見された「あの日のわたし」は、作詩・
野村俊夫、作曲・
江口夜詩の作品で、カップリングに収録された佐々木章の「地震・雷・火事・女房」が時局に合わず内務省から発売禁止対象となったため、その余波で発売されなかったという楽曲。同曲の音源はレコード会社にも残されておらず、今回のアルバムを監修した日本大学の刑部芳則教授が、作曲した江口夜詩のお孫さん宅の史料群の中から、レコード店頭などでの試聴用に作られた見本盤を発見したため、収録の運びとなりました。
なお、渡辺はま子の「蘇州夜曲」をはじめ、ブギの女王・
笠置シヅ子の「東京ブギウギ」、ブルースの女王・
淡谷のり子の「別れのブルース」などの作品を作曲した
服部良一の作品を集めたアルバム『
服部良一の世界〜青い山脈』も8月23日に同時発売。令和5年秋放送予定の「NHK連続テレビ小説『ブギウギ』」ヒロインのモデルとして注目される笠置シヅ子と、“ブギウギの時代”の魅力を発信する「笠置シヅ子とブギウギの時代 特設サイト」では、関連作品やアーティストの情報が公開されています。
[コメント]渡辺はま子「あの日のわたし」は、発売中止となったため、これまで聴くことのできない幻の曲でした。今回、奇跡的に見本盤のレコードが見つかりました。
『渡辺はま子の世界』のCDに収録されて、多くの人たちに聴いていただくことができるようになったことを嬉しく思います。――刑部芳則