昨シーズンにデビュー20周年を迎え、ソフィア(ブルガリア)でのコンサートを成功させるなど、日本のピアノ界の中心で充実した活動を続けるピアニストの
及川浩治が、ピアノの小品を代表する傑作を選りすぐった〈及川浩治ピアノ・リサイタル〉を9月17日(土)に東京・赤坂 サントリーホールで開催。
昨シーズンは、ロシア国立響との共演や20周年記念リサイタル・ツアー、20数年ぶりとなったソフィアでの海外公演、3年ぶりに復活した及川浩治トリオ“Bee”でのツアーなど、例年以上の目覚ましい活躍ぶりを見せた及川。なかでも、及川にとって10代の頃に留学した“音楽の原点”ともいえるソフィア公演〈ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 / 共演=ソフィア・フィルハーモニー管弦楽団〉では、超満員のブルガリア・ホールにて、スタンディングオベーションを巻き起こす大成功を収めました。
“新たな出発の年”となる21年目のリサイタルで、及川は「別れの曲」や「ラ・カンパネラ」「愛の夢」「月の光」「ラ・ヴァルス」「亡き王女のためのパヴァーヌ」など、ピアノの小品の傑作を演奏予定。及川自身が「若さと夢とロマン、そしてヴィルティオジティ(妙技)にあふれた曲を選択」したと語るように、時に生き生きと、時に繊細に、万華鏡のような輝きを見せる及川のピアニズムを余すところなく伝える内容です。及川は今回のリサイタルに、「色彩豊かなプログラムを通して、さまざまな角度からピアノという楽器の魅力、音の美しさ、そしてピアニストの妙技を皆様にお伝えしたい、と願っています」とのメッセージを寄せています。
「今回のプログラムの中で、ドビュッシーによる2つの曲には、とても思い入れがあります。ファンの皆様には、ドビュッシーと自分があまりリンクしないかもしれませんが、じつは大好きな作曲家です。
昔から〈月の光〉が好きでした。ただリサイタルでの演奏は、ほんの数回しかありません。小さい頃に、父親がこの曲を弾いていた印象が強く残っており、素敵な曲だなあと感じたことを覚えています。その鮮明な記憶が、逆に今まで、この曲を遠ざけていたのかもしれません。
また〈アルペジオのための練習曲〉は、成熟したドビュッシーの“美の極み”を感じていただける曲です。この曲にも、コンクールに出ていた若い頃に演奏していた思い出が詰まっています。
デビュー21年目を迎えた今年は、“新たな出発の年”だと思っています。これらの曲を演奏することで、自分のピアノのルーツを見つめられればと思います。
また、ショパンの若かりし片想いが描かれた〈ラルゲット(ピアノ協奏曲第2番第2楽章)〉や〈別れの曲〉、ヴァイオリンを弾いていれば誰もが知っているバッハの〈シャコンヌ〉や、ピアノ小品を代表する名曲であるラヴェルの〈亡き王女のためのパヴァーヌ〉、リストの〈ラ・カンパネラ〉、〈愛の夢〉などを選曲しました。
色彩豊かなプログラムを通して、さまざまな角度からピアノという楽器の魅力、音の美しさ、そしてピアニストの妙技を皆様にお伝えしたい、と願っています」――及川浩治photo: ©Yuji Hori