ヴァイオリンのギドン・クレーメルとピアノのマルタ・アルゲリッチという2大スターによる、ベートーヴェンのソナタ集。繊細なクレーメルと大胆なアルゲリッチが、個性を生かしながら絶妙に融合していく演奏が楽しめる。

ベートーヴェンがヴァイオリンのために書いた優美な協奏作品を、同楽器の“女王”の独奏で聴く魅惑のアルバム。ムターは、四半世紀前にカラヤンの指揮で協奏曲を録音していたものの、本作では一段と風格を増した熟成度の高い演奏を繰り広げている。

バーンスタインがニューヨーク・フィルから引いて、徐々にヨーロッパのオケを指揮していた頃の録音。バーンスタインはVPOと相性が良く、VPOの長所を最大限引き出しつつスケールの大きな演奏を聴かせている。

カラヤン4度目、最後のベートーヴェン交響曲全集となった録音から「運命」と「田園」。60年代のカラヤンを挙げる人も多いが、この80年代の演奏も、カラヤン美学に貫かれた完璧な演奏が繰り広げられている。

クライバーのベートーヴェン第1作と第2作をカップリング。どちらも発売当初、大きな衝撃を与え、話題となった。早めのテンポ、細部の彫琢、ウィーン・フィルの特徴を最大限引き出す指揮ぶりが新鮮だ。

ウィーン・フィルとの蜜月時代に完成させたベートーヴェン交響曲全集からのカップリング。いずれもウィーン・フィルの美質を生かして、大いに歌わせ、激しいダイナミズムも創り出し、スケールの大きな演奏を繰り広げている。

カラヤン4度目、80年代の最後の全集からの一枚だ。ソリストたちは、例によってカラヤンの眼鏡にかなった一流の歌手たちを集め、合唱団もカラヤンお気に入りのウィーン楽友協会。これが総決算の演奏か。

ヨーロッパに活動の拠点を移してウィーン・フィルとは特別な関係を築き、ベートーヴェン交響曲全集を完成させ、その掉尾を飾った記念すべきライヴ録音。歌手、合唱団、オケ一丸となった入魂の演奏が繰り広げられている。

シェイクスピアの喜劇『真夏の夜の夢』からインスピレーションを得てメンデルスゾーンが作曲した劇音楽「真夏の夜の夢」を、小澤征爾指揮のボストン交響楽団が全曲演奏。国内盤は松本隆が執筆した台本を吉永小百合が朗読していることでも有名だ。

ミルシテインがメンデルスゾーンとチャイコフスキーの二大人気協奏曲をアバド＆ウィーン・フィルの柔らかなバックとともに奏でた貴重な一枚。ミルシテインの完璧なテクニックと光輝な美音を活かし、両曲に内包されている気高い美しさを伝えている。

60年代にも同じカップリングで録音している。この80年代の録音は、古楽演奏が盛んになった時代だが、カラヤンはカラヤンの“美”を創出。BPOの機能性を生かしつつ、モーツァルトの美を追求している。

13の歌劇の序曲集。いずれも全曲盤からの収録で、6つのオーケストラをベーム、ハーガーが振っている。序曲本来のオペラティックでいきいきした演奏が繰り広げられ、序曲本来の味わいに浸れる一枚だ。

サンタ・チェチーリア管、マーラー・チェンバー管、ボストン響のそれぞれ首席奏者たちとの協奏曲集。アバド晩年に組織した、やりたいことだけをやるというモーツァルト管を振っての、融通無碍のモーツァルトだ。

ピリス2度目の全集からの分売。中期の代表曲3曲と後年の幻想曲ニ短調を加えたアルバムだ。ピリスの魅力は、なんといっても、その表情の濃やかさ。1音1音がいきいきと語りかけてくるようだ。

グルダの70年代の名演と言われる録音。60年代からモーツァルト演奏に装飾音など即興的な演奏を試みていた、グルダの魅力が全開している。アバドの積極的なオーケストラ・ドライヴも、グルダの演奏を引き立てている。

ゼーフリートらを擁した1955年録音の「レクイエム」もいいが、ベーム円熟期の1971年録音の、マティスらを擁した本作は、ベームの名盤と言っていいだろう。ベームは遅めのテンポで、宗教的な崇高さを醸し出している。

ベームの名盤のひとつ。ハイライトだが、名歌手たちの名唱は存分に味わえる。プライのフィガロ、マティスのスザンナ、ヤノヴィッツの伯爵夫人、フィッシャー＝ディースカウの伯爵、トロヤノスのケルビーノと、文句のつけようがない。

名盤の登場だ。この録音が名盤たるゆえんは、ベームの統率力はもちろん、歌手陣にある。クラス、ヴンダーリヒ、フィッシャー=ディースカウ、オットー、リアーなど、名歌手たちの競演に注目だ。

オーストリアの指揮者、カール・ベームがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とともに挑んだモーツァルトの交響曲全集から、第40・41番を収録。好対照な名作を、晩年の巨匠が紡ぐ味わい深い演奏で楽しめる。

アバドがロンドン響の首席指揮者時代の録音。いささかロマンティックなモーツァルトだが、40番のドラマティックな表現。41番の細部にまできめ細かな表情を持たせた読みの深さなど、これはこれで名演奏と言える。

韓国のピアニスト、イム・ユンチャンによるラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」。2022年の“ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール”優勝時のライヴ録音で、深い音楽性と驚異的なテクニックを味わえる。

2021年発売の『高橋悠治：作品集「歌垣」』に続く第2集。2020年と翌2021年のライヴ収録で、2つの演奏家会には高橋自身が立ち会っている。「オルフィカ」（1969）をはじめとした代表作を集めた集大成的アルバムだ。

ルイージの4枚目は、N響とは初めてのブルックナーで、2度目の第8番。ルイージが高く評価してきた初稿版を用いての第8番は、N響としても初となる。前評判も演奏後の評価も高い、渾身の演奏が繰り広げられている。

フェランデス2枚目のソロ・アルバム。本作は“夜の音楽”をテーマとしたコンセプト・アルバムになっている。「日が沈むと世界が変わると感じていた」作曲家たちによる、メランコリックでファンタスティックな音楽だ。

2023年の来日で、その才能が日本の聴衆にもしっかりと刻まれたシャニによる、メンデルスゾーンの「スコットランド」とシャニ自らが管弦楽版に編曲した「無言歌集」。シャニの透徹した譜読みが存分に生かされている。