Base Ball Bear、2度目の武道館単独公演を収めたライヴDVDが登場!

Base Ball Bear   2012/04/10掲載
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2012年1月3日に行なわれたBase Ball Bearの武道館単独公演<10th Anniversary tour(This Is The)Base Ball Bear part.2「Live 新呼吸」>。
その名の通り、バンド結成10周年イヤーを締めくくるビッグ・イヴェントとして開催された2度目の大舞台は、昨年発表された4枚目のアルバム『新呼吸』はもちろん、一昨年に“3.5枚目”と銘打って送り出された二部作『CYPRESS GIRLS』『DETECTIVE BOYS』によっても押し広げられたバンドのポテンシャルを頼もしく見せつけてくれた圧巻の画──ということで、このたびのDVD化にあたって、あの日の模様を振り返りながら、リーダー・小出祐介にざっくりと見どころを語っていただきました!




――2回目の武道館だったってこともあるんだろうけど、10周年のアニヴァーサリー感みたいなものはあまり感じさせなかったというか、武道館だからできることをいつもの延長でやってたな……っていうことを当日終わったあとも感じたんだけど。
 「そうですね。武道館だから、結成10周年の最後のイヴェントだからといってすごく大仰なものにはしたくないっていうのはありましたね。武道館って、お金と手間を掛ければいくらでもやりようがあるんですよ。舞台装置やらレイアウトやら、それこそステージのうしろにLEDのパネルを敷いたりだとか、花道があってもいいし、センターステージにしてもいいしって、いくらでもやりようがあるんだけど、なにげなさの延長にある状態っていう空間にしたかったんですよね。それと、武道館でやるライヴの正解を探りたいと思って。これが正しいやり方、在り方だなっていうのをひとつ提案したいなと」
――ステージの組み方がユニークだよね。ステージのうしろ(客席)が丸出しで、最初、そこからメンバーが登場するという(堀之内大介除く)。
 「武道館でライヴをやる場合って、基本的にはステージを幕で仕切るんですよ。円形の空間のどこかしらに黒幕を垂らしてそこにステージを作る。だけど、武道館っていう空間を楽しんでもらいたいっていうのがすごくあったので、今回は黒幕をまず外して、客席にも照明を入れたんです。だから、天上がすごく高く見えたと思うんですよね。通常であればステージの上に照明の吊しがあって……ステージがすごくステージっぽく見えるんですよ。でも、ウチらはあえてうしろを空けて。パッと観た感じ、お客さんが入ってないスペースが丸出しになっているから、最初はちょっと不安になるような始まり方だったと思うんですけど、高さのあるところまで立体的に組んである照明が、武道館っていう“空間”を照らして……」




――武道館そのものをステージにしてるという。
 「そうです。お客さんがいる客席のあいだにも照明が何基か置いてあったりして、だから、僕らがステージにいるんだけど、ステージと客席を並列な扱いにしているというか、お客さんがいるのも僕らがいるのも武道館、っていう空間ですよね。それでそのゾーンを楽しむっていう」
――DVDを観ると、照明もそうだけど、カメラの台数にも驚くね。足もとにまであるし。
 「ありましたねえ。昨年リリースした3枚のシングルのCD-EXTRAで“僕の目”っていうドキュメント・シリーズをやっていて、それって僕がカメラを回してたんですけど、ハンディカムじゃないと撮れない画っていうのがあるんですよね。すっごくいいカメラじゃないと撮れないものもあるけど、ハンディカムじゃないと出ない質感とか画角っていうのがあって、それを今回はたくさん入れ込みたかったんですよ。それこそ、(湯浅)将平の足もとを映してる画だとか、かっこいいでしょ。あれも、普通であれば足もとに対して斜め上あたりから狙ったりするんですけど、あえてステージの床に固定して撮ってるし、しかも魚眼がついてるんで、ああいう特徴的な画になってるんですよ。すっごく臨場感ありますよね。こういうふうにスイッチ踏んでるんだっていうのがわかるし、エフェクター・ボードが揺れるのといっしょにカメラもちょっと揺れるんですよね」
――普通、ここは狙わないだろう?っていうアングルが結構あるよね。
 「ホリ(堀之内大介)のシンバルとかね。ティンパニーを叩いたあとでシンバルに持ち替えるんですけど、“台に置いといて取りにいくより、どこかから自動で出てきたほうがおもしろくない?”ってことになって、ローディーさんがステージのうしろからシンバルを持ち上げてるんですよね。正面から観ると、自動で上がってきてるふうに見えてるんだけど、あえてそれをうしろから撮って、DVDではその画だけ見せてるっていう(笑)」




――本来だったら必要ないかも知れない画がてんこ盛りだなあ(笑)。そこがパッケージになったときのおもしろさなんだけど。
 「ホント、本来であればつまんでもいいじゃないの?っていうところも使ってるし、ムダも含め、あの日の記録にはなってるかな」
――印象的なシーンといえば、「転校生」のときの小出クン&堀之内クンのバトル。堀之内クンのキメ顔をジャストなタイミングでズームインするし(笑)。
 「リハのときにもずーっとあの顔してたんですよ。ブレイクを目合図でやってるから、堀之内の顔を見ておかないといけないんだけど、リハのときからその調子だったんで、何回やっても笑っちゃうんですよね。それをリハのときにDVDの監督の遠藤主任が見てて、こいつ絶対本番でもやるなって思って指示してたみたいなんですよね。メインのカメラで、ブレイクの瞬間にズンッて寄る。これ、見事にタイミングもバッチリで、もうウソみたいなズーム(笑)。何テイクも撮ったんじゃないかっていう」
――堀之内クンの顔もナイスだけど、ここのギター。カッティング上手いなあ、ってつくづく感心したんだけど。
 「事務所の会長いわく、“カッティングは山下達郎さんと小出くんが一番だ”って(笑)。歌いながらカッティングできるやつは信用できると。いやもう、ありがとうございます!って感じですよ。関係ないですけど、今度、東京女子流の<ヒマワリと星屑>の生演奏やらせてもらいたいです(笑)。土方(隆行)さんじゃなく、この曲だけギターは僕で(笑)」(※小出クンは本サイトの東京女子流特集にコメントを寄せていただいてます)
――小出クン的にいちばん印象深かったシーンはどこ?
 「そうですねえ……まずは、ゲストが来てくれたところかな。DVDだと、山口(一郎:サカナクション)くんの場面は諸事情によって収録されてないんですが、山口くんと、あっこ(acco:チャットモンチー)と呂布が来てくれて。友達がいるっていうだけで、武道館もすごくリラックスする空間になるというか。曲が変わっていくごとに緊張感は当然あるんですけど、次はゲストが入る曲だと思うと楽しみというか、それだけで曲に入るときの気持ちが違うから、それはありがたかったですね」
――そういえば、1曲目が「夕方ジェネレーション」っていうのはちょっと予想外でした。緩やかな始まりだし。
 「セットリストを決めてるときに、まあ、これだなと。さりげなく入ろうと。導入の部分って、大バコになればなるほど必要だなって思うんですよ。武道館ぐらい大きいステージだと、始まっていくよ、始まっていくよ、っていう流れを作ったほうがいいんじゃないかって。<夕方ジェネレーション>はCDの音源よりサイズが短くなっていて……リサイズしてる曲っていうのが今回は結構あるんですよね。これって前回のツアーの流れで出てきた発想で、曲をリサイズするとかそれまで考えたことなかったんですけど、曲を都合のいい尺にして繋げていく。でも、メドレーのようにするのはイヤ。メドレーではないけど、リサイズされた楽曲を自然に繋げていって良い感じで聴かせる。それをメドレーっていうのかも知れないですけど(笑)、それをスマートにできたらいいなあと」
――そのなかでも「スイミングガール」〜「海になりたい」〜「海になりたい part.2」と繋げていくシーンは、空間演出も含めてハイライトだね。
 「(照明が)あんなことになってたのかって、これは映像を見て思いました。こんな感じになってたんだなあって、思ってた以上に感じましたね。これは普通に吊しの照明だったらできないなって」
――「未知との遭遇」の1シーンみたいに、ヒヤーッていう感じで光が射していく(笑)。
 「そうですね、ヒヤーッて感じはしましたね、たしかに(笑)」




――そのあと、「新呼吸」から「changes」の流れがまたスリリングで。
 「<changes>という曲を2008年に作って、翌年に『(WHAT IS THE)LOVE & POP?』っていうアルバムを出しましたけど、その頃は、なんで<changes>みたいな曲を作ってしまったんだろう?というような気持ちに苛まれてたから、それとは真逆のベクトルで『(WHAT IS THE)LOVE & POP?』を作ったんですよね。で、そのあとに3.5枚目(『CYPRESS GIRLS』『DETECTIVE BOYS』)を作ったんですけど、その頃には音楽を楽しむ余裕が出てきたというか、自分に余裕ができてきて。なので、去年<yoakemae>を作ったあたりで、言いたいことが<changes>に近くなってたんですよね。そういう自分自身の<changes>を感じつつ、その気持ちでもって『新呼吸』を作って。極端な話、『新呼吸』のいちばん最初に<changes>が入っててもいいんですよ。<changes>に始まり、苦悩があり、さらに紆余曲折があって、それで最後に<新呼吸>という曲で<changes>に繋がるパスを出してるというか、最初の問いが解になったのを感じた3年間だったし、<changes>に繋がる──<changes>のなかにたまたま“深呼吸”っていう言葉が入ってるんですけど──<新呼吸>っていう曲を考えつくとは思わなかったし、その言葉が最終的に自分に返ってくるっていう不思議な体験ではあったし、こうやって人間は変わっていくんだなって。あれだけ暗いことばっかりしか考えてなかった人が、暗いところから脱出できたかもしれないとか、脱出したいとか、変わりたい、変われるのかなって思ったりする、そういう動機で曲を作り出していって、そういうアルバムができて、最終的に“変わってく”って言ってる<changes>に辿り付くっていう。だから、この流れをライヴでやってみたかったんですよ」
――“福”音声(副音声)のほうで、また武道館やりたい!って言ってるけど。
 「今回やってみて、前回の反省点はクリアできたかなって思うんですけど、それでも、これはまだやれることがあるな、という感じ。今回の武道館が決して不正解だとは思ってないし、今回でひとつの正解を出せたなって思うけど、これをブラッシュアップすることもできると思うし、別のベクトル、出発点は同じでも別のベクトルでっていうやり方もあるなと。次はいつかなあ……? 2回ともお正月だったんで、今度は夏にやりたいですけど、こればかりは。その前に、次の作品をまず出さないとですね」
取材・文/久保田泰平(2012年3月)
ライヴ撮影/古溪一道
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