前作『V I N C E N T』以降の個人的・創作的な変化の時期を記録した本アルバムの幕開けを飾る「Soulmates」は、まさにそのスピリットを体現した一曲。温かく没入感に満ちたサウンドと流動的なリズムを通して、FKJの直感的な作曲能力を際立たせると同時に、『Tyber』という新たな世界への入口となります。
2022年に発表された『V I N C E N T』は大きな成功を収め、FKJはその後、コーチェラ、レッドロックス、ロンドンのハマースミス・アポロ、パリのル・ゼニスなど世界有数の会場を巡る大規模なツアーを開催しました。しかし、その成功の裏で彼自身の人生は大きく揺らいでいました。そんな時出会ったのが、ヒンドゥー教の思想に基づく「33歳は人生が大きく飛躍するか、下降線をたどるかの分岐点」という概念。深く掘り下げてみると、多くの友人たちも同じ年齢に似た困難を経験していたことが分かったといいます。
また、コロナ禍の孤独な時間のなかで『V I N C E N T』を制作する一方、世界が再び動き始めると、次々と舞い込むオファーに応えながら走り続ける日々に精神的な余裕をなくしたとも。彼は友人の導きで参加したリトリートで、「Tyber」と名付けた木のような存在と出会い、時間の概念が溶け去るほどの深い体験をします。FKJは「あの体験が、人生のその章を閉じてくれた。すべてが変わり、何もかもが元の場所へ戻ったように感じた」と語っています。
アルバムは、ロンドン、ロサンゼルス、パリ、ブラジル、メキシコ、フィリピンなど世界各地で制作され、それぞれの土地の空気が作品のサウンドに自然と刻み込まれています。各楽曲は、FKJの人生の断片を写し取ったポラロイド写真のような存在で、「Soulmates」では、前作でコラボレートしたカルロス・サンタナを彷彿とさせるギターが真夏の陶酔感を描き、「Changes Rising」はどん底の時期でも「すべては移ろう」という希望を反映。「Little Little Voice」は自己破壊的な衝動から内なる声へと意識が向かう瞬間を表現し、アルバムを締めくくる「In Heaven」はパートナーへの深い愛情を捧げた楽曲となっています。
[収録曲] 01. Journey 02. Clear 03. How Much Does It Take To Shift It All 04. Burst 05. Leaving 06. Changes Rising 07. Heavy Heart 08. I Want U 09. Soulmates 10. Open 11. Little Little Voice 12. In Heaven