サム・リー×東野珠実(笙)、稲葉明徳(篳篥) 英国と日本、2国の伝統音楽が交わる一夜限りのコンサート

サム・リー(UK)   2014/11/21掲載
MyCDJ お気に入りリストに「サム・リー×東野珠実(笙)、稲葉明徳(篳篥) 英国と日本、2国の伝統音楽が交わる一夜限りのコンサート」を追加/削除する はてなブックマークに追加
クリックすると大きな画像が表示されます
Sam Lee
photo (c)Bernd Ott
 “伝統”という言葉からは、どこか堅苦しい印象を受けたりもするが、伝統的な文化はとてもしなやかで現代的なものを受け入れる懐の深さがある。その良い例がイギリス出身のミュージシャン、サム・リーだ。1980年に生まれたサム・リーは25歳の時、ブリテン諸島に住んでいるトラヴェラーズ(漂泊民)が歌い継いできた伝承歌を聴いて恋に落ちた。そして、彼らのコミュニティと交流を深めて150曲以上の歌を修得。オリジナルの歌詞、旋律、歌い方を大切にしながらも、意外な楽器を組み合わせたり、サンプリングを使ったりと、独自のスタイルで伝承歌を消化したデビュー・アルバム『グラウンド・オブ・イッツ・オウン』を発表。伝統音楽の可能性を切り開いて大きな注目を集めた。そんなサムが12月11日(木)に行なわれるコンサート〈サム・リー & フレンズ with 雅楽〜イングランド伝承歌と和楽器の出会い〜〉で、笙(しょう)の奏者、東野珠実と、篳篥(ひちりき)の奏者、稲葉明徳と共演する。今年9月に来日した際、サムはコンサートについてこんな風に語ってくれた。
クリックすると大きな画像が表示されます
Sam Lee & Friends
photo (c)Bernd Ott
 「まだどんなコンサートになるかはわからないんだ。たぶん、笙と篳篥は即興演奏になるんじゃないかな。どんなコンサートになるのか、自分でもとても興味深いよ」
 これまで世界各地のさまざまな伝統音楽のミュージシャンたちと共演してきたサム。彼にとって異文化の交流は挑戦である以上に大きな楽しみなのだ。サムはさらにこう続ける。
 「異文化の楽器が出会うことで、いかに曲が変わるか。その変化の喜びを知っているので、“伝統的なスタイルに戻さないと”という風には思わずに自分が感じたことを素直に表現したいと思う。“このまま行けばどこへ辿り着くんだろう?”という好奇心を楽しみながら演奏したいし、みんながそう思ってくれるくらい面白いコラボレーションにしたいね」
クリックすると大きな画像が表示されます
東野珠実

クリックすると大きな画像が表示されます
稲葉明徳
 一方、東野珠実と稲葉明徳もユニークなキャリアを持つアーティストだ。東野珠実は国立音楽大学で西洋の音楽を学んだ後、雅楽奏者の道へと進み、ヨーヨー・マが主宰するシルクロード・アンサンブルへの参加をはじめ、坂本龍一山下洋輔などさまざまなアーティストと共演。古楽器からコンピュータまでを駆使して笙の魅力を探求してきた。また、稲葉明徳は9歳の頃から東儀兼彦のもとで篳篥を学んだ生え抜きの雅楽奏者だが、篳篥以外にも東アジアの様々な楽器を巧みに操り国際的に活動してきた。2人とも伝統という枠に縛られない柔軟な感性と経験を持つミュージシャンという点ではサムと共通している。東野はサムとの共演についてこんな風に語ってくれた。
 「アイデンティティを感じる音楽に惹かれて雅楽の道に踏み込んだ私にとって、サム・リーの音楽はペンギン・カフェ・オーケストラとも、シルクロード・アンサンブルとも違う新たな遭遇でした。心を掴むその音楽の秘密は、声、言葉の親近感でしょうか。それとも、声、言葉の霊力? サム・リーの曲には、個性豊かな楽器たちの響きが見事に一体となる風景が描き出されています。その広く深い音楽にアジアを代表するいにしえの楽器、笙や篳篥が対峙する舞台を心待ちにしています」
 英国の伝承歌をレパートリーにしながら、ユダヤ音楽の口琴やインド音楽のシュルティ・ボックス、そして、雅楽の箏など、世界中の民族楽器を奏でるサム・リー & フレンズ。そこに2人の雅楽奏者が加わることで、どんな音の風景が広がっていくのか。想像するだけで期待は高まるが、サムは伝統音楽に対する自身のアプローチをこんな風に語ってくれた。
 「伝統音楽に対するリスペクトは忘れず、同時に伝統音楽のしがらみから解放されて、どんどん実験したほうがいいと思う。伝統音楽はそれくらいのことで壊れてしまうヤワなもののじゃないからね。重要なのは愛。愛を持って接すれば、多少の実験や冒険は許されると思うんだ」
 イギリスと日本の素晴らしい音楽家たちは、愛に満ちた冒険で観客を音楽の源へと案内してくれるに違いない。
取材・文 / 村尾泰郎
クリックすると大きな画像が表示されます
サム・リー&フレンズ with 雅楽
〜イングランド伝承歌と和楽器の出会い〜
www.plankton.co.jp/samlee/index.html

2014年12月11日(木)
東京 マウントレーニアホール渋谷 プレジャープレジャー

開場 18:00 / 開演 19:00
全指定席 3,000円(税込)


[出演]
サム・リー&フレンズ(イングランド / トラヴェラーズ)
東野珠実(笙)
稲葉明徳(篳篥)
トーク・ナビゲーター: 小沼純一


主催: 東京都 / 東京文化会館・東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団) / 株式会社プランクトン
※お問い合わせ: プランクトン 03-3498-2881(平日11:00〜19:00)


※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] ふっと飛び込んでくるワンフレーズ “現場の音楽”HIT『Be!!』[インタビュー] 深くて豊かな音楽を目指した“名盤” 石橋 凌『may Burn!』
[インタビュー] 私は変わり続ける。それは“出会い”を意味しているから――コリーヌ・ベイリー・レイ[インタビュー] 美しさと暴力性、Ramzaの“手”に触れる『pessim』
[インタビュー] 自分の存在を“やり続けること”で知らせる――ISSUGI×MASS-HOLE[インタビュー] ヒップホップとしてかっこよくいられたら――C.O.S.A.『Girl Queen』
[インタビュー] 今のラフィンノーズは超おもしろい――“50代のラフィンロール”を体現した新作『50’s ROLL』[インタビュー] 自分の中にある伝統と革新―― 島 裕介が新世代ミュージシャンを率いて『Silent Jazz Case 3』を発表
[インタビュー] たまには母ちゃんにみたらし団子を買ってかったりしぃや!――SHINGO★西成が3年をかけて辿り着いた『ここから・・・いまから』[インタビュー] “大人ってカッコいい”と思えるような歌 ISEKI×中田裕二『AOR FLAVA』
[インタビュー] 研ぎ澄まされた4人のアンサンブル――ライヴ・ベスト・アルバム『echoes』をリリースしたbohemianvoodoo[インタビュー] 児玉桃、マンフレート・アイヒャーとの出会いとドビュッシー&細川俊夫の音楽を語る
※ 弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015